味な話の素  No.251 2004年04月号(9931-10000) Since 2003/04/29
HOME    3月号    Back Numbers
10000回 [70] 2024/04/30 Tue 10000
 本日、当コラム[味な話の素]は10000回目となりました。2003年4月29日から7672日目で達成しました。昨日29日が21年目の記念日でしたが、4月末日にちょうどになるよう調整しました。
 これまで、回数などは自然に任せておけいばいいという気持ちでいました。ところが、昨年の12月ころ、「コラムの誕生日である4月29日に[10000回]も記念になるなあ」との思いが浮かんだのです。そこで、慎重に(?)計画を立て、4月30日を10000回にするために、1日のコラム数を調整してきたのでした。
 それにしても、われながら生来の粘着質には苦笑いを禁じ得ません。コロナ禍の巣ごもりの期間では、100回を超えた月も複数ありました。スタートしたときは50代の元気な現役でした。それが今では後期高齢者です。そうは言いながらも、取り上げたい[ネタ]はなくなりません。これからも[継続するつもり]でいますので、皆さま、よろしくお願いいたします。
日産自動車問題(14) [69] 2024/04/29 Mon 9999 昨日 [67] の続き
 組織における事故やトラブル、不祥事などが発生すしたとき、まずは「誰も問題の気づかなかったのか」と疑問に思う。とりわけ[法令違反]と言われるものであれば、「誰も気づかない組織」など想像することができない。そこでは問題だと気づく、いや問題だと認識した人間はいたはずである。
 それでも問題の行為を止められないのはどうしてなのか。まずは「問題を指摘すること自身が難しい」可能性である。職場の中で行われている行動に疑問を呈することを躊躇させる力があれば、それに押されてしまうのである。もう一つは、「問題を指摘しても取り上げられない状況」の存在である。それが、ただ採用されないだけではなく、そのことで自分の立場が危うくなるようなことがあれば、あるいは、そうした可能性を感じれば、「気づいていても発言しない」ことになる。それは「発言すること自身が難しい」空気を濃厚にする。そうなると、「発言すること」がむなしくなる。
「現場の声」[68] 2024/04/29 Mon 9998 4月22日 [53] の続き
 「78.□□□は前日までに出してほしい」
 これは、予め作業行程が決定している際にも段取りに関わる情報が当日の朝になって出される状況にあることを指摘するものである。その日の作業に関わる情報がギリギリになって伝えられては対応に問題が生じることもあるだろう。
 これほど単純な要請がインタビューで出てくるのである。それが慣習化し、その部署の常識になっている可能性がある。そうなると、多くの構成員がおかしいと思っていても言わない状況が生まれる。現実にはそうしたケースが少なくない。さらに、「言っても仕方がない」といった空気があれば、そもそも「言う気にもならない」のである。
日産自動車問題(13) [67] 2024/04/28 Sun 9997 昨日 [65] の続き
 組織のトップとしては、「知らなかった」も「聴いていない」のいずれも問題であることに変わりない。ましてや、「知っていたけれど甘く考えていた」は問題以前の問題である。もちろん、現実として重要なことが上層部に伝えられないケースはいくらでもある。そもそも、組織運営に関わる情報のすべてが細大漏らさず上がってくれば、意思決定過程に支障が生じる。また、組織の運営には[権限委譲]も欠かせない。そうでなければ上層部の暴走を引き起こす可能性もある。しかしながら、それらを考慮したとしても、公正取引委員会から[法令違反]だと指摘されるまでの問題が伝わらなかった免罪符にはならない。
日記の中の母(19) [66] 2024/04/28 Sun 9996 4月21日 [50] の続き
 8月21日 火曜日 研究所へ行く、給料をもらう。20日ぶりに寮へ寄って、着替などをとってきた。博多・▢▢の往復もなんだかなれてきてしまった。四国電力の人と昼食。10月が調査である。また、9月にDNTのトレーニングの相談があった。母は今日は調子がよさそう。昨夜に引き続き病院に泊まる。
 わたしはこのとき博士課程の院生だったが、「集団力学研究所 研究員」の名刺を持っていた。これに対して[給料]というものを支給されていた。それまでの日給バイトから昇格したのである。四国電力ではリーダーシップ調査をすることになり、その打合せで担当者が福岡まで来られた。その後、国鉄宇野駅と高松を結ぶ宇高連絡船で四国電力の本社に出かけた。このときは三隅先生のお供だった。
日産自動車問題(13) [65] 2024/04/27 Sa 9995 昨日 [63] の続き
 いまの世の中、組織の責任者が「昔は良かったのに」は説明にならない。今週、地方自治体の首長2人がハラスメントが理由で辞職した。記者会見で具体的な行為についての質問を受けると「記憶にない」と伝家の宝刀を抜いていた。ここで否定すれば、何らかの証拠、たとえば録音などが出てくれば嘘が明らかになる。しかし、今日の科学水準では、「記憶がない」ことを「嘘」だと実証することはできない。
 そう言えば、録音を突きつけられて、「私の声のようですから発言したのでしょう」といった主旨の答をしている議員がいた。自分の声であることは認めても「記憶にない」は嘘ではないという筋書きである。トップの会見では「自分には伝わらなかった」という釈明も少なくない。この場合、「本当は聴いていた」「本当に聴いてなかった」のいずれかである。前者であれば、「嘘」をついていることになる。後者は嘘ではないが、トップとしては、責任転嫁そのものである。
「とんぼ返り」のおしまい[64] 2024/04/27 Sa 9994 4月25日 [60] の続き
 何事も適度が大事です。「とんぼ返り」も、やり過ぎると目が回ります。[続][続々][続々々][まだ]から[もう少し]、さらには[それでも]まで来て、もう限界でしょう。ここは国立科学博物館の話で一区切り付けた方が良さそうですね。
 博物館の地上3階から地下3階まで回って時計を見ると、すでに1時間半以上が経過していました。羽田に行く前にホテルに預けたキャリーバッグを取りに立ち寄らなければなりません。そんなことで[日本館]はまったく見ないままで博物館を出ました。そのお隣には西洋美術館があり、ロダンの「考える人」「カレー市民」などの屋外展示を見ながら上野駅に向かいました。
日産自動車問題(12) [63] 2024/04/26 Fri 9993 昨日 [61] の続き
 「法令に対する認識が甘かった」については、「ああ、そうだったのか」とはなりづらい。それは、「事実を認識していたが、大丈夫だろう」と考えていたことになるからである。公正取引委員会の勧告には「近年、本件と類似の違反行為が生じ、… 勧告を行っている」と記載されているから、組織としてこれを知らなかったでは済まされない。また、報道された範囲内では「認識が甘かった」には主語が明確にされていない。誰の認識が甘かったかである。主語には、取材に応じたトップが含まれるのだろうか。そうであれば、「自分は本件について知っていたが、法令違反とは思っていなかった」ということになる。
「4人の物語」(60) [62] 2024/04/26 Fri 9992 4月19日 [45] の続き
 Aが小学生でY市に住んできたころ、母が実家に帰省することがあった。おそらく夏休みだったのではないか。仕事のある夫を残して、妻と子どもだけが実家にことは、とくにめずらしいことではない。Aに記憶にあるのは、その際に国鉄のY駅で衝撃的な体験をしたことである。
 当時、列車と言えば[汽車]であった。ここで[さんずい]の[汽]には「ゆげ。水蒸気」の意味がある。つまりは、[蒸気機関車]、英語で言えば[SL:Steam Locomotive]のことだ。電車は首都圏や大阪圏など大都市周辺にしかなかった時代である。「汽車に乗る」とは、「蒸気機関車が牽引する客車に乗る」ことを意味していた。
日産自動車問題(11) [61] 2024/04/25 Thu 9991 昨日 [59] の続き
 リモートによる取材での社長の「法令に対する認識が甘かった点に尽きる」との発言にはいくつかの疑問が浮かぶ。リモート取材のニュースの情報だけだから、推測を交えざるを得ないが、まず第一に、この発言からは「そうした行為をしていたことを知っていたが、それが法令違反になるとは認識していなかった」と聞こえる。
 わが国で「コンプライアンス」という用語が使われはじめたころは「法令遵守」と狭く訳されていた。つまりは、「法令に違反するか否か」の判断は「コンプライアンス問題」の1丁目1番地である。したがって、公正取引委員会の認定で2年間、報道によれば、永年に亘って慣行化していたとされる下請業者に対する行為の存在を認識していながら、法令違反と考えなかったとすれば、「認識の甘さ」では、外部の者には納得できる説明だとは思われない。そもそも法務関係の部署は、リスクを前提に様々な行為をチェックするために存在しているはずである。
それでも「とんぼ返り」 [60] 2024/04/25 Thu 9990 昨日 [58] の続き
 わが国の科学者を紹介するフロアは地下3階にあったが、その中でもわたしが見入ったものがある。それは数人の科学者の研究ノートである。
 たとえば湯川秀樹氏のノートは数式も含めてじつに「きれいな字」で書かれているのである。ほかの人物でも手紙などは丁寧な書きぶりと思えるものがあった。研究ノートなどはひらめきもあるから、走り書きになりそうなものだ。もっとも、ノートは整理の段階で書かれたもので、ほかにアイディアメモなどがあるのだろう。いずれにしても、「几帳面できれいな字」に新鮮さを感じた。昔の人たちにはワープロなどなかったから、ペンを使ってしっかり書いていったのである。
日産自動車問題(10) [59] 2024/04/24 Wed 9989 昨日 [56] の続き
 日産自動車が巨大企業であることから、報道の取り扱いも大きくなる。もちろん、それに対応した社会的責任も大きいのは当然である。そして、自社の組織的活動について細心の注意を払うことが求められる。ことに法律に関わる行為があれば、それを直ちに察知する感受性と、それを迅速に評価し、適切な対応をとることが最優先されなければならない。
 すでに[コンプライアンス]は日本語になっていると言っていい。組織が、この点で「問題あり」と指摘されることは絶対的に避ける必要がある。そこで、法律的な問題を専門的に扱う部署が設けられる。
 こうした中で、今回の問題が起きた。社長はリモートの取材で「法令遵守の状況は今後とも定期的に点検を行うとともに、その教育を再徹底する」「法令に関する認識が甘かった」と述べている。ここで「今後とも定期的に点検」と表現されている。これまでもチェックはしてきたが、そこから問題が見逃されたということになる。
もう少し「とんぼ返り」 [58] 2024/04/24 Wed 9988 昨日 [52] の続き
 さて、国立科学博物館の「地球館」は地上3階、地下3階というものすごい施設だった。さすが「国立」である。その内容を書き始めるといつ終わるかわからなくなる。
 とにかく、宇宙の発生から、恐竜の骨、さらには人骨まで、何でもありだ。もちろん工業の発展についても盛りだくさんで、テレビのブラウン管など、今ではほとんどお目にかからないものもある。カシオのリレー計算機が置かれていたが、わたしは、それが目の前で動いていた時代を知っている。つまりは、自分が[博物館レベル]の年齢になったことを実感する。
 その中で、最も印象に残ったのは、ノーベル賞受賞者など、日本の科学者を紹介するコーナーである。
J事件の分析と考察(37) [57] 2024/04/24 Wed 9987 4月17日 [39] の続き
 BBCの記者は、J氏に関する一連のインタビューを次のようにまとめる。
 J氏が実際にどういう人間だったかについて、話の内容は私が思っていた方向には行きませんでした。というのも、この人たちはメディアの大物として、もちろんJ氏のことを知っています。けれども、それと同時に虐待があったことも多くの人は承知しているようです。なぜそのことが、ここではJ氏に関する話題の一部にならないのでしょうか。何かの「ついで扱い」みたいです。
 街頭のインタビューでは、ビデオに登場しない複数の人物にも問かけたと推測する。もちろん、事実はわからないが、その中にJ氏の行為を批判する声があれば、取り上げられた可能性が高いだろう。ともあれ、日本人のほとんどがJ氏を責めないことが強調されれば、それはそれで、自分たちの価値意識と信じがたいほどの違いがあると訴えることができる。ともあれ、「思っていた方向に行かなかった」のは本音なのだろう。
日産自動車問題(9) [56] 2024/04/23 Tue 9986 昨日 [54] の続き
 公正取引委員会から勧告を受けた日産自動車の内田誠社長は、3月13日に報道各社の取材にオンラインで対応した。この中で、社長は自動車は、公正取引委員会からの勧告を受けたことについて、「皆さまに大変なご迷惑をおかけしたことをおわび申し上げる」と謝罪した(産経 Web)。
 その上で、勧告を「真摯に、重く受け止め」「法令順守の状況は今後とも定期的に点検を行うとともに、その教育を再徹底する」と述べた。今回の下請業者に対する違反については、「法令に関する認識が甘かったという点に尽きる」と語っている。
 このほかの報道でも「あってはならないこと」「社会に対して、また、関連の業界の方、すべての皆様に大変なご迷惑をかけたことをおわび申し上げたいと思います」と述べたとの記載がある。報道の特性から、一言一句が伝えられることはないのだが、こうした発言については複数の報道に共通している。
まだ「とんぼ返り」 [55] 2024/04/23 Tue 9985 4月21日 [51] の続き
 国立博物館のチケット売り場は人であふれていた。これに輪をかけるように「いま、1時間待ちです」との声が飛んできた。その瞬間、この日の博物館はアウトになった。それから数時間後に羽田にいなければならないのである。
 わたしの頭の中には次の候補があった。国立科学博物館である。こちらも風格のある建物だが、入り口は封鎖されているようだった。少し先に入場口があり、そこから階下に進むとチケット売り場があった。窓口でチケットの種別が記されたシートを見ると、「65歳以上の方および18歳未満の方」は無料となっている。これと並んで[一般・大学生 630円]とあるから、何とも申し訳ないと思いながら、入場口で[後期高齢者医療被保険証]を提示して中に入った。
 平日のお昼前だったが、親子連れが多い感じがした。前に進むと、左に「日本館」、さらに前進して右側に「地球館」とある。まずは「地球だ」と、大した理由もなく行くと別のビルがあった。
日産自動車問題(8) [54] 2024/04/22 Mon 9984 昨日 [52] の続き
 今年は、少なくとも大企業では、何十年も見たことのない賃上げでマスコミも大いに賑わった。素人は「今年になって急に儲かったわけじゃないだろに、やろうと思えばずっと前からできたんじゃないか」と言いたくなる。何のことはない、相変わらず「ほかがどうするか」の様子見体質が働いてきたのではないか。
 政府も企業には賃上げを要請し続けてきた。その一環として、積極的に賃上げする企業には法人税を軽減する優遇策を導入している。こうした状況の中で、公正取引委員会から勧告を受けた日産自動車は、この制度を利用する資格を失った。大企業が制度を利用するには、下請けいじめを防いで取引適正化に努めることなどを約束する「パートナーシップ構築宣言」を、政府などがつくる専用サイトで公表することが必要となるが、日産についてはこれが削除された(産経Web4/6)。これによる税金の軽減額はわからないが、大きなペナルティであることは疑いない。
現場の声 [53] 2024/04/22 Mon 9983 4月15日 [34] の続き
 「77.□□での□□の□□をなくしてほしい(□□□□すれば事故の可能性も増加する)」
 そのまま記載すると業界がわかるため、伏せ字が多く、何を指しているのかわからなくなっている。ここで見逃してならないのは、括弧の中に記された[□□□□すれば事故の可能性も増加する]という追い書きである。このまま放置すれば事故の「可能性」が増加することを訴えている。
 これが特定の個人が抱いたきわめて特殊な懸念であるのか否かはわからない。しかし、こうした声が聞こえてきたからには、組織としては次の一歩、つまりは、そうした問題の存在を複数の関係者から聴き取るステップに進むことが求められる。その際も、「誰が、こんなことを書いたのか」といった犯人捜しの状況をつくってはならない。また、当事者たちが「どうせ言っても対応してくれない」と考えていれば、「言えば目を付けられて損をする」との思いから、本当のことを言わない空気が生まれる。
日産自動車問題(7) [52] 2024/04/21 Sun 9982 昨日 [49] の続き
 公正取引委員会によれば、日産と「類似の違反行為」や「下請法に違反するおそれのある行為」が「継続して」発生しているという。こうしたことから、この問題は日産に特化したものではなく、自動車会社に共通する「慣行」的なものだと推測される。
 そして、勧告の末尾に「令和6年3月14日、一般社団法人日本自動車工業会に対し、会員に、本件をはじめとする下請法違反行為事例を周知し、違反行為の未然防止の取組を促すことのほか、今後の価格転嫁に係る法令遵守の在り方について、原価低減要請の在り方等を検討し、業界全体の取引適正化を一層推進するよう文書により要請しました」との「追記」がある。
 これを踏まえれば、個々の組織に所属している法務関係の専門家が、公正取引委員会の認識や判断と行動を知らなかったとは考えにくい。もし、これらを知らなかったとすれば、そもそも専門家としての能力が疑われ、責任が問われる。それでも問題は起きるのである。
続々々「とんぼ返り」 [51] 2024/04/21 Sun 9981 4月19日 [46] の続き
 国立博物館の方へ向かう途中の広場には花見の季節らしく出店が出て賑わっていた。わたしはゆっくりと歩いて博物館前の信号まで来た。その先にチケット売り場が見えたが、さすが国立だけあって、けっこうな数の窓口のすべてに行列ができている。生まれてこの方、3人以上の列には加わらないという性分だから、信号が青に変わる前から心が揺れる。しかし、そこは天下の[国立博物館]である。小人が「3人原則」など振り回しているのはまずいだろう。と、まあそんな気持ちで青に変わった横断歩道をしっかり渡っていく。
日記の中の母(18) [50] 2024/04/21 Sun 9980 4月14日 [32] の続き
 8月20日 月曜日 □□(妹)より電話があり、母のレントゲンを8時30分からとるという。そこで、朝食もとらずに病院へあわてふためいて行った。ところが実際はかなり遅くなってしまった。しかし、その結果は腸は正常に働いているという悪くないものであった。夕方は9度を超える熱がでて驚く。□□(妹)と病院に泊まる。
 そもそも手術語の母は食べ物が入らなかった。その点では点滴に頼っているように見えた。そうした状況で、はっきりした理由はわからないが、腸のレントゲンを撮ったのである。その結果、腸の働きに問題はないと医師から伝えられた。その一方で、熱が下がらない状態が続いていく。
日産自動車問題(6) [49] 2024/04/20 Sat 9979 昨日 [47] の続き
 公正取引委員会は、「日産自動車株式会社に対する勧告について」で、日産への「勧告」を期した後に、「4 業界団体に対する周知・啓発活動」として、次のような文章を付け加えている。
 自動車製造業においては、近年、本件と類似の違反行為が生じ、公正取引委員会が下請法に基づく勧告を行っている。また、下請法に違反するおそれのある行為についても継続して生じており、指導等の対象ともなっている。公正取引委員会としては、このような状況を踏まえ、引き続き、自動車製造業における下請法違反行為に対し、厳正に対処していくとともに、改めて業界団体への周知等を通じた啓発活動を行っていくこととしている。
 つまりは、「類似の違反行為」が、今回の日産だけでなく「近い過去」に発覚し、公正取引委員会から「下請法に基づく勧告」を受けていたのである。しかも、「下請法に違反するおそれのある行為」が「継続して生じており、指導等」をしていたという。
教師に対する研修の感想(15) [48] 2024/04/20 Sat 9978 4月15日 [35] の続き
 「教師の対人関係トレーニング」では、吉田先生から多くのアドバイスと元気を毎回もらうことができました。職場の中でのミドルリーダーとして自分に求められていることは何なのかを知るとともに自分がやるべきことも明確に見つけることができました。吉田先生から教えていただいたことをこれからの日々の実践に生かしていきます。本当にありがとうございました。(小学校教諭 男性)
 わたしは「元気をもらうことができた」という声を聞くたびに、自分が元気になっていることを実感する。何ともおこがましいが、「教育」は「共に育つ刺激の与え合い」だと思う。
日産自動車問題(5) [47] 2024/04/19 Fri 9977 昨日 [44] の続き
 公正取引委員会は、今回の措置を社内に周知徹底するだけでなく、 「 (4)日産自動車は、次の事項を取引先下請事業者に通知すること」として、 「ア 減額した金額を下請事業者に支払ったこと イ 前記(1)から(3)までに基づいて採った措置」を挙げる。
 ここで、「取引先下請事業者」とは、「減額を要求した下請業者」だけでなく、現時点で取引のある「すべての下請事業者」と素人には読める。そうでなければ「内輪の話」で終わってしまう。もっとも、すでにマスコミで大々的に報道されているから、国民にまで周知徹底したことになるのは皮肉と言うべきか。
 その後に、公正取引委員会の「勧告」は「 (5)日産自動車は、前記(1)から(4)までに基づいて採った措置を速やかに公正取引委員会に報告すること」を加えて終わる。
 問題の「減額要求」は2021年から2年からとされているが、ゴーン就任以前の前世紀にまで遡ると推測する記事もある(西日本新聞 3月13日 社説)。
続々「とんぼ返り」 [46] 2024/04/19 Fri 9976 昨日 [42] の続き
 今月、東京に出かけた際は、仕事を終えた翌日は午後の便をとった。このときは上野の国立博物館にいく計画を立てていた。その昔、上野駅で降りて西郷さんとワンちゃんの像がある上野公園に行ったかすかな記憶がある。それはわたしが祖父と伯母に連れられて東京に行った小学生のころだったのではないか。それから何十年もの時間を経て上野駅は改造に改造を繰り返した。今回、上野駅の表示にしたがって[公園改札]を出ると、正面の先に上野動物園が見えたので驚いた。ゆっくり歩いて先に進むと、サクラがいい感じになっていて、花見で盛り上がっていた。わたしは、それとは反対方向の国立博物館に向かった。
「4人の物語」(59) [45] 2024/04/19 Fri 9975 4月12日 [28] の続き
 まだ、コンピュータなる言葉が遠い存在だったころである。大学にあったのはFACOM Mateと名付けられたコンピュータで、紙テープはプログラムの読み込みに使われていた。
 ここで[FACOM]は[Fujitsu Automatic COMputer]で、富士通製のコンピュータに付けられた商標名である。ついでながら、日立製作所は [HITAC:HItachi Transister Automatic Computer]三菱電機は[MELCOM:Mitsubishi ELectronic COMputer]、日本電気は[NEAC:Nippon Electric Automatic Computer]、沖電気は[OKITAC:OKI Transister Automatic Computer]だった。国内に思い出すだけでもこれだけの計算機が併走していた。
日産自動車問題(4) [44] 2024/04/18 Thu 9974 昨日 [41] の続き
 公正取引委員会の「勧告」は、「(3)日産自動車は、次の事項を自社の役員及び従業員に周知徹底すること」として、「ア 減額した金額を下請事業者に支払ったこと イ 前記(1)及び(2)に基づいて採った措置」と続ける。
 ここで前記(1)は「取締役会が[下請法]に違反したこと」、(2)は「今後、下請法に違反することがないよう、社内遵法管理体制の整備のために必要な措置を講ずること」を指している。つまりは、会社が法令違反をし、これを防止するための措置を講じることを、トップを含む全従業員に周知徹底するよう求めているのである。
 とにかく「周知徹底」なのだから、会社の構成員が一人残らず、この事実を知っている状態にしなければならないのである。日産自動車という巨大な組織だから、「こうした事実」を知らなかった構成員の方が多かったに違いない。トップは、真面目に働いている人々に与えた影響にも重大な責任を負っていることを自覚する必要がある。
「安き」に流れた末に… [43] 2024/04/18 Thu 9973 4月16日[37] の続き
 産業界の空洞化が進む一方で産業が停滞する。そのうちに、後発国の賃金も上がり、ついには平準化する。そのときがくれば、「[安き]方向への流れ」が止まり、わが国に回帰する。そして、それはわたしがあの世に逝ってからのことになる。こんなストーリーを自分なりに描いていた。しかし、少なくとも時期については、その予想は誤っていた。すでに、「流れが止まる」兆しが見えてきた。いや、すでに「逆流」がはじまっている。わが国のGDPはドイツに続く世界第4位になった。また、1人当たりでは韓国の方が高くなっている。そして、円安の流れが止まらず、いまや日本は「安い国」なのである。
続「とんぼ返り」 [42] 2024/04/18 Thu 9972 昨日 [40] の続き
 このごろは、[トンボ返り]の習性にほんの少しばかり修正を加えた。熊本便が朝夕2本しかないところでは、研修当日は宿泊するが、翌日は朝の便が7時台であっても、それに乗っていた。そんなことで、午前9時ころには自宅に帰り着いて家内を呆れさせた。それを翌日の夕刻の便にすれば、ほぼ半日の時間が生まれる。そうなると、ご当地の観光地などにも足を伸ばすことができる。後期高齢者になって、ようやくそんな気になってきた。
日産自動車問題(3) [41] 2024/04/17 Wed 9971 昨日 [38] の続き
 公正取引委員会の「勧告」は続く。
 (2)日産自動車は、今後、下請法に違反することがないよう、次の行為を行うなど経営責任者を中心とする社内遵法管理体制の整備のために必要な措置を講ずること。
 ア 法務担当者による下請法の遵守状況についての定期的な監査
  イ 役員及び発注担当者に対する下請法遵守のための定期的な研修
 今日、あらゆる組織において[コンプライアンス]は最優先されるものの1つと考えられている。それは、言わば「耳に胼胝ができる」ほど聞かされる用語である。そうした時代状況で、当局から「法務担当者による下請法の遵守状況についての定期的な監査」と「役員及び発注担当者に対する下請法遵守のための定期的な研修」を勧告されるのだから何とも言葉がない。これを文字どおりに読めば、「法令遵守に関する定期的な監査」をしておらず、そもそも「役員及び発注担当者が法令遵守」をまともに意識していなかったと叱っているのである。
トンボ返り[40] 2024/04/17 Wed 9970
 現役のころは、仕事で様々なところに行っても、それが終わればとんぼ返りの傾向が強かった。それでも、講演や研修に呼んでくださったご担当者から仕事が終わってから観光地などにお連れいただくことがあった。こうしたときは、ありがたく心から楽しんだ。会場の関係から観光地のホテルに泊まると、夫婦で朝食をゆっくり摂っている光景に出会った。それを見ると、自分も家内を連れてこんな旅行をしなければならないなあと思った。ただ、それが実現したことはほとんどないままできた。もっとも、現役時代は国内外の学会には可能な限り一緒に出かけた。それが、いつも感じていた後ろめたさを薄めてくれた。
J事件の分析と考察(36) [39] 2024/04/17 Wed 9969
 自らゲイだと言う男性に、BBCの記者は質問を続ける。「誰かの性的な指向と子どもとセックスをすることはまったく別の話です」。これに対して男性は「これはそんなに表立って追求すべき内容ではないのかなあって」と答える。そして記者の「本当にどうもお時間をありがとうございます。ありがとうございます。会えて良かったです」で終わる。映像の流れから、記者と男性のいずれも、発言がカットされていると思われる。インタビューはすべて日本語で答えているから、イギリス版ではこうした発言がどのように翻訳されたのだろうか。オリジナル版を探したが、現時点では中国語版しか見つけられていない。
日産自動車問題(2) [38] 2024/04/16 Tue 9968 昨日 [36] の続き
 公正取引委員会のHPでは、違法な減額を強いられたのは「下請事業者36名」と記載されている。ここで素人には[36社]でなく[36名]という表現に目が止まる。これは法律用語なのだろうが、[名]となれば、法人ではなく個人のように見える。それは「下請事業者」の[者]に対応しているのだろうか。
 本件に関する公正取引委員会のHPは「違反事実の概要」に続いて「勧告の概要」として4つの項目を挙げる。
 (1)日産自動車は、次の事項を取締役会の決議により確認すること。ア 前記(2)の行為が下請法第4条第1項第3号の規定に違反するものであること イ 今後、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減じないこと
 ここで前記 (2)とは、「日産自動車は、令和3年1月から令和5年4月までの間、自社の原価低減を目的に、下請代金の額から「割戻金」を差し引くことにより、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減じていた。減額した金額は、総額30億2367万6843円である(下請事業者36名)」という内容である。
 公正取引委員会は、組織の最高意思決定機関が公式に問題を認めることを要求しているのである。法令違反の目的が「自社の原価低減」であり、それも「下請事業者の責めに帰すべき理由がない」にも拘わらず、これを少なくとも2年以上に亘って継続していた事実を記録に残せというのである。組織にとってきわめて厳しい要請になっている。
「安き」に流れる [37] 2024/04/16 Tue 9967
 水は低きに流れる。経済は安きに流れる。わが国が経済的な力を持ってから、中国や東南アジア諸国など、労働賃金が低い国々に工場を移しはじめた。そうした状況がしばらく続いたころ、産業の空洞化を懸念する声が挙がった。それでも低コストを優先する流れは変わらなかった。とにかく、「経済は安きに流れる」のである。また、「そうしなければ厳しい競争で勝ち残れない」という理論(?)も説得力があった。グローバル化の時代に、鎖国など時代錯誤も甚だしいということで、素人が反論する余地などなかった。それから時計が回り、中国の賃金が相対的に上昇し、次はベトナムなどへ転移する傾向も生まれた。
日産自動車問題(1) [36] 2024/04/15 Mon 9966
 公正取引委員会のホームページに、令和6年3月7日付で「日産自動車株式会社に対する勧告について」の記載がある。
 公正取引委員会は、日産自動車株式会社(以下「日産自動車」という。)に対し調査を行ってきたところ、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)第4条第1項第3号(下請代金の減額の禁止)の規定に違反する行為が認められたので、本日、下請法第7条第2項の規定に基づき、同社に対し勧告を行った。委員会が確認した「違反事実の概要」は以下の3点である。(1)日産自動車は、資本金の額が3億円以下の法人たる事業者(以下「下請事業者」という。)に対し、自社が販売する自動車の部品等の製造を委託している。(2)日産自動車は、令和3年1月から令和5年4月までの間、自社の原価低減を目的に、下請代金の額から「割戻金」を差し引くことにより、下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減じていた。減額した金額は、総額30億2367万6843円である(下請事業者36名)。(3)日産自動車は、令和6年1月31日、下請事業者に対し、前記(2)の行為により減額した金額を支払っている。
 ここまでの情報で素人にもわかることは、(1)日産自動車が法令違反をしていたこと。(2)日産自動車が、下請事業者36名に対して違法に減額していた約30億2000万円を支払ったことである。日本を代表する企業が法令違反をしていたと認定されたのだから衝撃的である。
教師に対する研修の感想(14) [35] 2024/04/15 Mon 9965 4月12日 [27] の続き
 先生の研修を受けるまで、私の中には「自分のしたいこと」はあったものの、「期待されること」というものがなかったのではないかと思います。自分のやりたいことかそうでないかではなく、期待されていることかそうでないかという視点で見られたことがよかったです。そのことによって、自分の課題を具体的に公に聞いてみることができました。自分の課題を「見えるか」し、意識し、変えていくことで自分自身という人間を変えていきたいと思います。ありがとうございました。(小学校教諭 男性)
 研修では、受講した教師に対する「同僚からの期待」を集めて、それらを自分の行動を変えるためのデータにした。
現場の声 [34] 2024/04/15 Mon 9964 4月8日 [17] の続き
 「76.事故について、自分たちは大丈夫だとの過信がある」
 これは、事故やトラブルが発生した際に聞かれる定番だと言える。当事者がそうした発言をしない場合でも、その根底には「大丈夫だという過信」があると推測される。こうした過信は問題が発生する確率が低いと、さらに強化される。とりわけ集団で仕事をする状況では、[過信]がメンバーの間で共有化される。いわゆる[集団止考]現象が発生するのである。それでも、ほとんどの場合は何も起きないから、[過信度]はさらに強化されていく。私は、組織の安全には「確率よりも確実」の視点が欠かせないと絶叫してきたが、それはいまも変わらない。
映画のコメント [33] 2024/04/14 Sun 9963
  テレビディレクターが自分の両親を記録したドキュメンタリー映画「ぼけますから、よろしくお願いします」は2019年に熊本の電氣館で観た。認知症になった母親と父親とが交わす会話などを中心に、その日常を記録したものである。
 映画が終わってドアから出て少し歩いたところでテレビのインタビューに遭遇した。それなりに思いがあったから、一言だけ「他人事ではないと思いました。家族みんなで観るのがいいですね」と答えておいた。そんなことで、いわばそっけなくその場を立ち去ったから、気の利いたことを言った人のインタビューが放送されるだろうと思った。ところが数日経って、知り合いが家事をしているときにテレビからどこかで聞いた声が聞こえるのでふと画面を見たところ、わたしが写っていたという話を聞いた。ほかに誰も答えなかったのだろうか。それなら、もっと「わかった風な答えをしておけばよかった」とも思わなかった。あれが自然な答えだったから。
日記の中の母(17) [32] 2024/04/14 Sun 9962 4月7日 [14] の続き
 母は、手術から6日後に再手術をし、12日が経過しても熱が下がる気配もなかった。素人なりに不安だけでなく疑念を抱くのは自然だった。そこで高校時代の友人で九大医学部の基礎教室にいた友人にアドバイスをもらった。これを受けて、わたしは父に医師から詳しいことを聞くべきだと主張した。しかし、父は医師の機嫌を損なうのは避けるべきだと消極的だったそのとき、わたしは、ほかの病院が良かったのではないかと言った記憶がある。
 また、同じ日だったかどうかはっきりしないが、父は母が手術を受けた病院の評判が良くないことを事前に聞いていたといった主旨の発言をした。それを知って、わたしは「それならどうして事前に他の病院のことも考えなかったのか」と父をひどく責めた。そうした中で、父は母の胃は全摘だったと話した。このとき父がその事実をわたしと妹に伝えた真意はわからない。
ビジネスのお値段 [31] 2024/04/13 Sat 9961
 このところ物価上昇のニュースが続いている。そうした中でホテルはコロナ前から需要と供給の相場値になっていた。前世紀から使っていた博多駅前のビジネスホテルが一泊で万円札対応の価格になっていて驚いたこともある。ところで、先週は東京で2泊した。あの女性社長で全国に知られるホテルだが、1泊がお札2枚で足りなかったのには唖然とした。この時期は年度初めで人の動きが多くなることは当然である。事実、ホテルには明らかに新入社員とおぼしき若者たちも宿泊していた。さらインバウンドである。そんなことで、東京のホテルで連泊を探すのは一苦労だが、それにしても「お札2枚」以上とは…。
安全と愚鈍な頑なさ [30] 2024/04/13 Sat 9960
 組織の安全文化をより高いレベルに向上していく上で、愚鈍なまでの頑なさが重要な役割を果たす。その頑なさを評価する風土が醸成されれば、組織全体がより安全で信頼性の高い環境を築くことが可能となる。そして、頑なであることが[格好いい]とされる組織では、構成員たちは安全に対する意識を高め、安全を最優先する行動を率先してとるに違いない。かくして、愚鈍な頑なさは、組織が安全を重視し、その実現に向けた努力を惜しまないことを示す重要な指標となる。このような頑なさが組織の風土として根付けば、安全意識が浸透し、構成員が日々の業務においてリスクを考慮して仕事をするようになる。
[genotype]と[phenotype]と[PM] [29] 2024/04/12 Fri 9959 4月7日 [16] の続き
 三隅先生は、ある時期から「元型」と「顕型」という言葉を好んで使われるようになった。しかし、これは「科学理論」としては常識であり、取り立ててユニークな分類ではない。
 それでも、これを先生が使われるようになったのには理由があった。そのころ、三隅先生は、自分が先導して研究してきたPM論の対象を現業のリーダーから事務職、看護職、そして経営トップ層にまで拡大していた。さらに、米国や韓国、中国においてもPMの考え方が適用できることを実証されていた。そこで、[Performance][Maintenance]という、リーダーシップの基礎にある[PとM]の機能は、すべてのリーダーシップに共通している[元型]と考えることにする。その上で、それぞれのリーダーが置かれた状況によって、目の前に顕れる行動には違いが生まれる。たとえば、[P]であっても、現業と看護師、日本とアメリカ等では、リーダーシップ行動が違ってくるのは当然なのである。
「4人の物語」(58) [28] 2024/04/12 Fri 9958 4月5日 [10] の続き
 Aが大学生になって紙テープを目にしたとき、小学生の社会見学のことを思い出した。紙テープはFACOM Mateと名付けられたコンピュータで使われていた。このコンピュータを作動させるためにはプログラムをつくる必要があった。そのステップを紙テープに穴を開ける方式で実現していたのである。コンピュータはテープの一列に8つの穴が開いているかいないかの組み合わせで、アルファベットの1文字として読み込んでいく。紙テープを知らないと、こうした表現ではどんなものなのか想像もつかないだろう。ネットの動画で検索すれば、「百聞は一見にしかず」となるが、そんな時間など取れるかと叱られそうだ。
教師に対する研修の感想(13) [27] 2024/04/12 Fri 9957 3月30日 [67] の続き
 今回も、[わたしの自慢話]そのものなので、パスされることをお勧めします。「それなら書くな」とのお声が聞こえてきます。
 吉田先生には、1年間大変お世話になりました。いつも先生の研修を楽しみにしていました。先生のご講話はおもしろくてかわいらしく(すみません)、最後にはしっかりと納得させていただける大変心に残るものばかりでした。私も先生のような教師になれたらと思います。時折、先生のホームページを拝見させていただき、元気をいただきたいと思っています。また研修(リーダーシップ)においても、自己を省みることができ、仕事をしながらいつも3つの行動目標を気にかかかっていました。大変緊張感のある、充実した毎日を過ごすことができました。先生のお陰です。先生におかれましては、お忙しい日々かとは思いますが、お体をご自愛され、いつまでもお元気でいてください。(小学校教諭 女性)
不祥事発生の原因分析(1) [26] 2024/04/11 Thu 9956
 世の中で、それもだれもが知っている企業や組織で不祥事がくり返される。それについては主として報道が、ときには当該組織が設置した第三者委員会等の報告、さらには裁判の情報などで概要を知ることはできる。それらを頭に置きながら、こうした事態が発生する理由について、わたしが得意とする[邪推能力]を動員しながら考えてみよう。
 まずは、ほとんどのケースが「基本が守られていない」ことに起因している。わたしは「基本はそもそも守られないものである事実を基本にしなければならない」と絶叫してきた。何とも下手なダジャレのようだが、これが問題分析の1丁目1番地である。
新入生とサクラ [25] 2024/04/11 Thu 9955
 先日、久しぶりに熊本大学の前を通った。熊大は熊本市から阿蘇、大分につながる旧国道57号線を挟んで北と南に別れている。北側は文系、南が理系で、在職中のわたしは「熊大の南北問題」を指摘していた。南の理系は財政的に裕福だが、北の文系は厳しい状況であることを笑い話にしていたのである。
 ともあれ、道路の両側に続くキャンパスにはサクラが咲いていた。この季節は赤レンガの門とサクラが似合う。すでに入学式は終わっているから、フレッシュな学生が歩いているのが見える。それだけで若者は未来を感じさせる。そんな気分で走りながら、大学が紛争で大荒れしていたころのことを思い出した。
続「健康の指標」 [24] 2024/04/10 Wed 9954 昨日 [20] の続き
 若いころは人間ドックのデータも[A判定づくめ]だった。それが年を取るとともに[B]が登場し、[C]も出はじめる。すでに還暦を過ぎたころ、健診の面談で看護師に「このごろは[B」や[C]もあるんですよね」と言うと、「いつまでも[A]ばかりというわけにはいきませんよ」と笑われた。それがいまや後期高齢者なのだから、それ相応のデータになるのは当然である。それにしても、健診結果はあれやこれやのデータにあふれている。その中には身長や体重もあるが、体重を見ただけでその人の健康度がわかるはずもない。そこでふと思った。「GDPだけでその国の健康度などわかるはずもない」と…。
続 [奇跡]の45年サイクル [23] 2024/04/10 Wed 9953 昨日 [21] の続き
 いま中国が不動産バブル崩壊の危機に瀕しているという。中国が鄧小平のもとで開放経済に踏み出したのは1978年である。このとき資本主義に舵を切ったのである。それから中国経済は次第に力を付け、今やGDPでアメリカに次ぐ経済大国になった。中国の不動産がバブルだとして問題になりはじめたのは昨年のころからだと思う。そこで、2023年から45年を差し引くと1978年になる。つまりは、開放経済を開始してから45年を経過してバブル崩壊の危機に至ったことになる。歴史は繰り返すと言うが、わが国の流れと45年という年数まで同じなのはきわめて興味深い。これから中国経済はどうなるのだろうか。
J事件の分析と考察(35) [22] 2024/04/10 Wed 9952 4月3日 [06] の続き
 BBCの記者は、[元Jメンバー]たちがJ氏を責めないことが理解できず、フラストレーションに陥っている感がある。しかし、話はそれに止まらない。都内でインタビューを受けた40代くらいの女性は、「J氏の少年たちへの問題行動が指摘されていますが」の問いかけに答える。「うわさは聞いたことあるけど、彼が亡くなられてしまった今、その話を、あまりわたし自身は触れたくない」。
 また、20代に見える男性の答は、「今の日本で、とくにLGBTQって、なかなかまだ認知されていないっていうのが現状で、ぼく自身もゲイなんですよ。でもなんかそれ知られてなくて、Jさんが功績を残した時代の日本において、LGBTとかそう言う言葉自体がないころに、逆にアイドルを育成していく上において、かなりマイナスのイメージだったかもしれないので」で切れている。
 話の流れとしては、この後の発言が聴きたくなるのだが、次のカットは記者の質問に切り替わる。
[奇跡]の45年サイクル [21] 2024/04/09 Tue 9951
 わが国が太平洋戦争に敗れ、焼け野原の中から再出発したのが1945年である。それから地道な、あるいは懸命の努力によって経済復興を遂げた。それは海外から[奇跡]と呼ばれた。アメリカの未来学者ハーマン・カーンは「21世紀は日本の世紀」とまで言い切った。ところが「好事魔多し」と言うべきか、実態のない土地の値上がり神話が主導するバブルに悪魔が針を刺して、あっけなくはじけた。株価は1989年12月29日の大納会で38,915円87銭の最高値をつけたが、翌1990年1月から暴落しはじめた。そこから「失われた時間」と呼ばれる暗いトンネルに飲み込まれていった。敗戦から45年目のことである。
健康の指標 [20] 2024/04/09 Tue 9950
 先月、生涯で41回目の[人間ドック]に行ってきた。わたしの母は医療事故が原因で47歳で逝ってしまった。医師のミスとは言え、そもそもは胃がんの手術を受けたのである。そんなこともあって、わたしは36歳になった年から人間ドックに通い始めた。それは、35歳になると共済組合から補助が出る制度があり、これを利用しようと待っていたのである。もっとも、35歳になる年はドックの予約が終わっていたから、次の年がスタートになった。検査は共済組合が経営する熊本中央病院だが、建物の移転等があり、場所は3度変わっている。定年後は100%自己負担になったが、これは健康の保険として続けてきた。
高校生と寮 [19] 2024/04/08 Mon 9949
 わたしが高校2年生のとき父が福岡から長崎に転勤になった。その当時は父親が単身赴任するなど考えられなかった。わたしは両親に高校はそのままで続けたいと言った。父と母はその気持ちを受け入れてくれた。そこで、家族が住んでいた福岡の香椎で下宿を探し、入居を決めていた。それは4畳半で、香椎高校の運動場が見えるところだと、1965年7月11日(日)の日記に書いている。
 そろそろ入居の準備にかかろうという9月10日(金)になって、父が寮の話を持ってきた。父はある省の機関に勤めていたが、そこが独身寮を新しくつくったため、それまで使っていた寮が廃止されることになった。しかし、その建物をすぐに壊すのはもったいないという話になった。そこで、福岡にある学校に通っている職員の子弟向けにこれを開放するというのである。これを聞いた父はわたしにここに入ることを勧めたのである。そのとき対象者として考えられていたのは大学生だったと思う。
続々「東京モノレール」 [18] 2024/04/08 Mon 9948 昨日 [15] の続き
  ちょっとだけ心にのゆとりをもたせて、羽田から乗ったモノレールで窓の外を眺めていた。終点の浜松町までもう少しのところで「港区立男女平等参画センター」という大きな文字が目に入った。その瞬間、ある思いが浮かんで小さく笑った。
 前世紀には「全員参画」という言葉が世の中に存在していた。わたしも末席で参加させてもらった三菱重工業長崎造船所で展開されたのが「全員参画による安全運動」だった。それは1970年代のことである。その後、「男女平等」と結びついた「男女平等参画社会」といった標語らしきものが生まれた。それは歴史的に意味のあるものだった。わざわざ「男女平等」と「参画」を強調しなければならない風土があったからである。
 しかし、いまや21世紀である。それでも、モノレールの乗客の目に飛び込んでくるほどの大きな文字で書かれたセンターが存在している。それは「男女平等参画」が実現していないことを訴えているようだ。
現場の声 [17] 2024/04/08 Mon 9947 4月2日 [03] の続き
 [75.事故を起こさないために月に1度程度時間をとって事故防止会議を開催すべき」
 今日、事故防止に関する会議が行われていない組織は皆無に近いだろう。その点で、この声は例外的だと思われる。ただし、会議の回数と内容とが比例するとは限らない。それが事故の報告だけで終われば意味がない。また、日常的に「ヒヤリ、ハット」の体験者や目撃者から情報が出されなければ、事故を防止するための対応策は生まれない。リーダーシップによって「ヒヤリハット」に対する感受性に違いが出る。リーダーの安全意識が高いだけでなく、部下たちが「危うい体験」を抵抗なく報告できる関係づくりが欠かせない。
[genotype]と[phenotype] [16] 2024/04/07 Sun 9946
 わたしの恩師三隅二不二先生は、ある時期から「元型」と「顕型」という2つの用語を盛んに使われるようになった。それぞれ英語では、[genotype]と「phenotype]になるが、先生はほとんどの場合、英語で表現されていた記憶がある。
 いま改めて辞書を引くと[genotype]は、「遺伝子型:特定の遺伝子構成を共有する有機体のグループ」とある(英ナビ!辞書)。一方の[phenotype]は「表現型:有機体がその遺伝子型と環境のインタラクションの結果として見えるもの」とされる(同)。言葉の響きから、本来は遺伝学から生まれたものだろう。
 ともあれ、人間の行動を理解する視点に立てば、「元型」はすべての行動の根底に「共通して存在するもの」である。人の行動は、これらを基礎にして、その時々の状況との相互作用によって目の前に顕れる。つまりは「顕在化する」のである。まさに「顕型」ということになる。しかし、それは「科学理論」として常識ではないか。
続「東京モノレール」 [15] 2024/04/07 Sun 9945 昨日 [13] の続き
 東京モノレールがJR東日本の傘下になった事情の詳細は知らない。ただ、1964年の開業から数年後、生まれて初めて飛行機に乗ったとき、当然の流れとしてモノレールも初乗り体験をした。その際の隆盛がわたしに頭にこびりついている。そんな記憶とともに先週は羽田からモノレールに乗った。
 いつもは、せかせかと本に目を通しているが、たまには東京の光景を観るのもいいじゃないかとの思いが浮かんだ。何分にも後期高齢者である。いつまでも飛行機に乗って仕事が続けられるはずもない。このごろは、飛行機に乗って窓から空を眺めながら、いつも「これが最後のフライトになるかもしれない」と思っている。
日記の中の母(17) [14] 2024/04/07 Sun 9944 3月31日 [69] の続き
 8月19日 日曜日 夜は少し早目に帰ってきた。その後、父から電話があって急救患者の手術があり、二人部屋になりそうなので家に帰るとのことであった。父が帰る前に□□に電話して母の状態について、彼から知識を得た。
 父が帰ってきて私の医者にもっと聞くべきだという考えと、素人は医者にまかせておくべきであまり詮索するようなことを聞いて、医者に反発を感じさせては逆効果であるという考えがなかなかその調整を得なかった。父はその中で、胃の一部を切ったのではなく、ほとんどを取ってしまったという事実を語った。
 
 それまでも個室ではなかったが、病室は母だけだったことから家族や伯母たちが泊まっていた。ここに登場する□□は、わたしの高校時代の友人で、九大医学部の大学院で基礎を学んでいた。このとき彼から聞いた内容は書いていない。ただ、わたしが医師に対して疑問があれば問うべきだとの気持ちになるようなアドバイスを受けたと推測される。 
東京モノレール [13] 2024/04/06 Sat 9943
  羽田からモノレールで浜松町に向かう。空港快速だと第2ターミナルを出て第1と国際線の第3ターミナルに止まるだけで終点の浜松町まで行くから20分程度しかかからない。それにしても、モノレールの混み具合は今ひとつの感がある。もちろん、それは相対的なもので、時間帯にもよるし、わたしの古い記憶がそう思わせるのかもしれない。ただ、東京モノレールは永いこと独占的な鉄道として繁栄していたが、京急の羽田進出で殿様商売は続かなくなったという話を聞いた。
 実際、わたしについても、仕事先の位置によるが、このごろは京急の方が圧倒的に多い。東京より先にJRで行くとなれば、モノレールに決まりそうだが、これまた品川で乗り換えれば同じことになる。わたし個人の行動がモノレールの営業成績に影響するなどあり得ないが、選択肢が複数だと競争が生まれる。その後いろいろなことがあったのだろうが、東京モノレールはJR東日本に吸収されたらしい。
「点と線」(8) [12] 2024/04/06 Sat 9942 昨日 [11] の続き
 「点と線」は、わたしの読書メモから、高校1年生のときに読んだことが判明した。そんなこともあって、60年の歳月を超えて[カッパノベルス]に目を通してみた。因みに[カッパノベルス]は光文社の新書版で、1959年に松本清張「ゼロの焦点」と南條範夫「からみあい」の2冊でスタートした。
 まずは目次裏のプロローグの文体に目を瞠る。物語の発端となった「香椎の海岸の写真」と共に、芥川賞を受賞した作家の文章が綴られる。「鹿児島本線で門司方面から行くと、博多に着く三つ手前に香椎という小さな駅がある。この駅を降りて、山の方に行くと、もとの官幣大社香椎宮、海の方に行くと博多湾を見わたす海岸に出る」。その場所を知っているとはいえ、これだけでも目に浮かぶような文章である。その後、博多駅側にの千早駅が新設されたから、香椎駅は「四つ手前」の駅になった。さらに福岡の元気さを象徴するように、その駅はもう「小さな駅」では通らない。
「点と線」(7) [11] 2024/04/05 Fri 9941 4月2日 [04] の続き
 「点と線」を一気に読みながら、わたしはどこかの時点で[航空機によるアリバイ]がひらめいた。すでに60年ほども前のことだから、これを証明する手立てはない。いや、その当時でも、読んでいる途中に[現在1965年3月20日土曜日15:31分、〇〇ページまで読んだ今、これは飛行機によるアリバイづくりがあるのではないかと思いついたので、それをここに記す]なんてメモを書くはずもない。さらに、それを他人に示したとしても、「それって、本当は読んだあとで書いたんじゃないの」と問われれば、実証できるものがない…。
 いやはや、われながらどうでもいいことを書いていますね。貴重なお時間を取って申し訳ございません。
「4人の物語」(57) [10] 2024/04/05 Fri 9940 3月29日 [65] の続き
 Aが小学校の社会見学で「電報電話局」に行き、電報が紙テープで送られる様子を目の前で見せられた。もちろん、その詳しい仕組みはわかるはずもないが、縦に並んだ8つの穴がカタカナに変わるというのだから大いに驚いた。当時の電報はカタカナと漢数字が使われていたのである。テープの縦8個の穴の「ありなし」で2の8乗(256個)の文字や数字に当てることができるという理屈はずっと後になって知ったが、そのときの記憶がAの頭の中に残り続けていた。そして、正確な時期は記憶していないが、おそらく大学院生のころ、Aが在籍していた大学の電算機室で懐かしき[紙テープ]と再会することになった。
[genotype]と[phenotype] [09] 2024/04/04 Thu 9939
 わたしの恩師三隅二不二先生は、ある時期から「元型」と「顕型」という2つの用語を盛んに使われるようになった。それぞれ英語では、[genotype]と「phenotype]になるが、先生は英語で表現されることの方が多かった記憶がある。
 いま改めて辞書を引くと[genotype]は、「遺伝子型:特定の遺伝子構成を共有する有機体のグループ」とある(英ナビ!辞書)。一方の[phenotype]は、「表現型:有機体がその遺伝子型と環境のインタラクションの結果として見えるもの」とされる(同)。言葉の響きから、本来は遺伝学から生まれたものだろう。
 ともあれ、人間の行動を理解する視点に立てば、「元型」はすべての行動の根底に「共通して存在するもの」である。人の行動は、これらを基礎にして、その時々の状況との相互作用によって目の前に顕れる。つまりは「顕在化する」のである。まさに「顕型」ということになる。しかし、それは「科学理論」として常識ではないか。
メガネ、フィルター、顕微鏡、望遠鏡(4) [08] 2024/04/04 Thu 9938 4月2日 [05] の続き
 メガネやフィルターは日常世界を見るための道具である。われわれを取り巻く世界はそれだけではない。そもそも[見えないもの=ないもの]という式は成立しない。それどころか、見えるものは、それが危険なものだと考えれば、一応は避けることができる。しかし、見えないものは、それが危ういものであっても気づかないから大いに困る。今、あるサプリが深刻な問題になっている。これも[見えないもの]が原因であることははっきりしている。
 われわれは、現実には[見えないもの]の方が圧倒的に多いことを前提にしておかなければならないのである。そうした中で、顕微鏡が登場した。これを使って最初に細菌を発見したのは、オランダの織物業者レーウェンフックで1680年ごろだという。それは歯垢らしいが、ご本人は細菌とは認識していなかったらしい。そして、小学生のころからパスツール、コッホ、そして北里柴三郎などの名前がわたしの目の前にも現れてきた。
「白船」来襲 [07] 2024/04/03 Wed 9937
 熊本に[白船]が来襲している。菊陽町の小高い台地の上に巨大な[白い]建物が威容を誇っている。台湾の[TSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Limited)]の事務棟と工場である。まだ建設中に前の道路を走ったが、その規模の大きさに驚いた。それはドックに浮かんだ巨大なタンカーのようにも見える。ペリーの[黒船]が浦賀沖にやってきたのは1853年7月8日のことだから、170年ほど前になる。これが日本の鎖国政策に大転換を迫った。そして、今や[白船]がやってきたのである。わが国の半導体製品は先進技術で周回遅れだと言うが、そもそも経営戦略がガラパゴスだったのである。
J事件の分析と考察(34) [06] 2024/04/03 Wed 9936 3月27日 [60] の続き
 BBCの記者は、[元Jメンバー]たちからJ氏を批判する言葉が出てこないことに困惑というよりも怒りを覚えているように見える。そして、彼は複数の人から聞いた話を総合する。「J氏の虐待行為は少なくとも30年間に及んだようだが、その人物の名前を冠した会社がいまだに隆盛を誇っているなど、わたしには信じられない」。そして、推定年商900億円の中には「J氏が虐待した少年も含むグループの印税収入も含まれるのだろう」と推測し、「何かがひどく間違っている」が、「正義を実現するための会話すら始まっていない」と嘆く。そして、これがイギリスで放映されても事態はすぐには動かなかった。
メガネ、フィルター、顕微鏡、望遠鏡(3) [05] 2024/04/02 Tue 9935 3月27日 [61] の続き
 われわれは一人ひとりが「違うものを視ている」のである。そして、より良く見るために[メガネ]を使うこともある。わたしはありがたいことに日常的にはメガネがいらない。もちろん、後期高齢者らしく、文字を読んだり、PCを打ったりする際はメガネをかけている。いずれにしても、生の眼球にレンズをプラスするのだから、そこで何らかの変容が起きている。もちろん、その影響は無視できるほど小さい。しかし、メガネもミクロのレベルではすべて異なっているに違いないまた、状況によってはメガネにフィルターをかけることがある。これまた、「より良く見るため」とは言いながら、情報を加工している。
「点と線」(6) [04] 2024/04/02 Tue 9934 3月28日 [63] の続き
  「点と線」を読みながら、アリバイづくりの道具として、わたしは航空機を予想した。それが[当たった]のだから、大いなる喜びを感じてよさそうなものである。しかし、その嬉しさよりも、「それが犯行を決定づける裏技なの」と思うと言いようのない「がっかり感」が走ったのである。たしかに初版が1950年だから、一般人には航空機など思い浮かばない状況があった。そして、わたしがこれを読んだ1965年でも、「飛行機はお金持ちしか乗れないもの」であることに変わりなかった。それでも、わたしは怒ったようだ。
現場の声 [03] 2024/04/02 Tue 9933 3月25日 [56] の続き
  「74.作業によっては、離れて単独作業をしている」
 これだけでは、組織が決めた規則や方針に反した行為が行われているのか、あるいは、そうした事態が起きているから組織として対応を考えてほしいという要請なのかはわからない。いずれにしても、現場で発生している問題を指摘していることだけは明らかである。
 ここで、現場で指揮をとる監督者がその事実を認識しているか否かが問題になる。それを知っていて対応を取らないとすれば、その理由を知りたくなる。監督者自身が、①「仕事の特性から、そんなことはよくあることで、そのたびに問題にしても仕方がない」と考えている。②「それが問題だとはわかっているが、そのことを上の方には伝えにくい」と思っている。③「上に伝えても、『そんなことは自分たちで対応しろ』と言われるだけで、まともに受け止めてくれない」と感じている、などの可能性がある。いずれも、組織の安全を脅かす要因になるのである。
新年度のこころ [02] 2024/04/01 Mon 9932
 人間が勝手に時間なる概念を創り、年月なるものを設定し、自らの思考や行動を縛る。それも見方を変えれば、「心機一転」で人のこころと行動にエネルギーを与えるときもある。この間、地球を含む宇宙は目的意識などないままに、淡々と変化し続けている。それでも「新年度」である。わたしが大学を定年で退職して10年が経過した。その後、シニア教授という肩書きで5年間は仕事を続けたが、それも満70歳の年度末をもって終了した。これが5年前のことである。その後は自称「花のフリーター」となり、これもまる5年が経過した。そして、またもや「新年度」を迎えて、「気分一新」している自分がいる。
青い空、碧い海と島影 [01] 2024/04/01 Mon 9931
 高校生の孫が春休みに2人の友人と軍艦島に行った。熊本港からフェリーで島原に渡り、雲仙の小さな温泉をいくつか巡って長崎に向かったという。世界遺産に含まれる端島と温泉の組み合わせは、高校生の春休みの行き先としてなかなか渋い選択である。
 島では、前世紀の後半まで、黒いダイヤだった石炭を海底から掘り出した。わたしが小学生のころ、東京にもない高層のアパートが建っていたことを識っていた。その後、1974年に閉山し、無人島になった。島のシルエットが軍艦に見えることから名付けられたものである。孫から送られてきた写真を見るとまさに軍艦そのものである。表紙のバックも真っ青にした。