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| 熊本県青少年育成県民会議での講演「青少年とともに生きる社会創り」がアップロードされました。 https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/54/153128.html |
| 「影武者」の評価 [55] 2023/08/31 Thu 9490 黒澤監督の「影武者」で勝新太郎が主役を降りた代わりを仲代達矢が演じることになった。仲代は舞台・映画の歴史に残る名優で、演劇に注ぐエネルギーは超一級である。ただし、われわれが目にする肖像画のイメージからは、勝新太郎は武田信玄の「蘇り」だった。その点、仲代は細面で、スクリーン上では神経質そうに映る。評論家の間でも「勝にやらせてみたかった」との評があり、その点では仲代は気の毒な気がする。 また、この映画のラストに当たる戦闘シーンが延々と続くのには参ってしまった。時間を計ってはいないが、おそらく10分ほどにも達する。素人ながら、その必要性に頭をかしげ、本音のところ閉口した。黒澤は時間の長さを含めた何かを訴えたかったのだろうとは推測するが、いまでも「うーん」と唸るしかない。 それでも「影武者」はカンヌの映画祭で最高賞を受賞している。ただし、それは色彩などの映像が評価された感が強い。外国人に「本来のリアリティ」である「武田信玄像」はわからない。わたしがノーベル文学賞に懐疑的なのも文化の違いを超えた客観的評価などあり得ないと思うからである。 ところで、黒澤の「羅生門」は国内ではそれほど評価されていなかった。ところが、べネチア映画祭でグランプリをとると、日本の評論家たちが、一転して大騒ぎしたらしい。何とも情けないことである。これに対して、「影武者」に対する厳しい国内の評価はカンヌの前後で変わらなかったと受け止めている。それを日本の成長だと感じたことを本コラムで書いた(「色彩問題」2006/12/11)。そのNoが1340だから、もうずいぶんと時間が経過した。 |
| 高校生と[Yes-man](19) [54] 2023/08/30 Wed 9489 8月23日 [41] の続き 高校生の質問はいよいよ最後にまで到達したそれは、「どうしたら、みんながヘルメットを被るようになるか」である。 ここに来て、本シリーズが19回目にもなれば、はじまりのきっかけをご承知でない方やお忘れの向きも多いのではないかと推測する。高校生から本コラムへの掲載は了解を得ているので、[物語]のスタートになったメールをご紹介しよう。 突然の連絡失礼いたします。□□高校3年の□□□□と申します。私は放送部に所属していて、現在、NHK杯全国高校放送コンテストに出す作品を制作しています。作品のテーマは「自転車のヘルメット着用が努力義務化されたが、□□生はあまり着けていない。この現状を改善しよう。」というものです。□□生にアンケートを取り、なぜ着用しないのか聞いたところ「周りが着用していないから」という回答が非常に目立ちました。これをどうにかできないか考えていたところ、吉田先生のホームページにたどり着きました。そこで、非常に急なお願いで大変申し訳無いのですが、来週もしくは再来週にオンラインで1時間程度、「集団」に関するインタビュー取材とその風景の撮影をさせていただけないでしょうか。ご多忙の中、礼を失したお願いであることは重々承知していますが、ご検討いただけますと幸いです。 人生を[Yes-man]で通してきたわたしには[Yes]の答えしか思いつかなかった。 |
| 研究のたそがれ [53] 2023/08/29 Tue 9488 メールは放っておくと溜まり続ける。そこで、ときおり整理するものの、これは話のネタになると思うと消去にブレーキがかかる。そもそも直近のものの方が整理しやすいので、大昔のメールが溜まりやすい。そこで久しぶりに大掃除しようとメールを検索すると「中国政府による日本の若手科学技術関係者の招聘プログラム2019」なるものが残っていた。わたしが再雇用で熊本大学のメンバーだったころ、大学が教職員に向けて発信したものである。そもそもは「国立研究開発法人科学振興機構(JST)が募集したものである。プログラムの概要として、応募資格:日本国籍であり、原則として45歳以下で中国への長期滞在経験がない研究者 招聘予定時期:2019年6月24日から29日、10月21日から26日になっている。内容は「中国の一流大学・研究機関や企業を訪問、政府関係者及び若手研究者と交流する」とあり、費用は国内旅費以外は主催者側負担とされている。<br> 文科省によれば、「注目論文数ランキング」で、わが国は過去最低の13位になった(8月9日熊本日日新聞)。論文数では、中国、米国、インド、ドイツに続いで約7万本だが、注目論文は新興国などの躍進で相対的に低下している。2021年公表のランキングではインドに、22年にはスペインと韓国に抜かれ、近年は低迷が続く。 |
| KJ法の特性(9) [52] 2023/08/28 Mon 9487 昨日 [49] の続き (6)KJ法の最終段階は、模造紙の海に島を配置することからはじまる。そこには全体のタイトルやメンバー名、さらには期日や場所も書き込む。複数の島の位置づけ関係を付けながら、空間に配置する。そのレイアウトについても大いなる議論が巻き起こる。そして、最後はラベルを「貼り付ける」のである。ここで貼り付ければ「剥がすことができない」という緊張感がメンバーたちの気持ちを高ぶらせる。これは付箋シートでは味わえない。最後の段階で付箋をのり付けすれば同じことではない。数十枚の付箋紙にみんなでせっせと糊を付ける姿など、それこそ完成の緊張感を台無しにしてしまう。 ここでは「KJ法」なる、情報整理のアナログ的側面を眺めてきた。それは生の情報を前にして、グループメンバーたちが悪戦苦闘する手法である。ある意味では人間くさく、また時間を要する、まことにトロいステップに充ち満ちている。その一方で、「自分たちが主役感」を生み出す力にあふれている。こうした情緒的体験を含めて、わたし流に言わせれば、「義理・人情・浪花節」の関わりなしで、われわれは「生きてる感」を味わえるだろうか。 |
| 現場の声 [51] 2023/08/28 Mon 9486 8月21日 [37] の続き 「27.外注作業の□□で単独作業がある」 「28.外注でたまに酒気帯びの作業員がいる」 「29.外注作業員は作業中□□に接近して作業している」 「30.外注で□□作業を行うとき、□□作業していることがある」 いずれも外注している業者の作業に関わる問題である。これらの中には現場の声として出され、対応されたケースもあるだろう。その一方で、インタビューやアンケートではじめて明らかになることも含まれるに違いない。こうした状態をそのままにしていても、現実の事故に繫がる確率はきわめて低いと思われる。ただ、問題が発覚した組織では、こうした情報が出されていなかったり、出されても軽視あるいは無視されていたことが明らかになるのが定番と言っていい。 |
| 教科書の読みまくり [50] 2023/08/27 Sun 9485 8月20日 [36] の続き 中学教科書の[家庭科]では、K社が[くらしを創造する]をメインタイトルにしていた。安全などに関して、比較的大きなマークを採用しているのは[技術分野]と共有していてわかりやすい。T社は[自立と共生を目指して]をタイトルにしているが、目次の段階で、「自ら生活を造る」「生活者として意思決定する」「ともに生きる」に分類している。スタートから終わりまでに流れがあって全体像が掴みやすい。もう一つのK社の場合、 「生活の土台 自立と共生」をタイトルにして、はじめにこれに関係づけた解説している。先に挙げたK社では「自立と共生は表裏一体」というフレーズを使っていた。あとで挙げたK社は、わたしたちが中学生のころは[英語]の出版社としてよく知っていた。いつのころからか、ほかの領域にも関わりをもちはじめたのだろう。 ところで、この出版社以外の教科書では男子生徒がネクタイをしている。高校野球で長髪組が優勝したが、これも時代の変化なのだろう。 |
| KJ法の特性(8) [49] 2023/08/27 Sun 9484 昨日 [47] の続き (5)すべての島の標題が決まれば、同じ島に含まれるラベルを重ね、その上に標題のラベルを置いて、クリップで留める。こうして、例えば80枚の1次キーワードが、8つほどの島(2次キーワードのクラスター)に分類・整理される。そこで、クリップで留められた2次キーワードの島を、前段階の一枚のラベルと見立てて、その類似性や因果関係を考慮しながら全員が模造紙の上で「動かし、どこに配置するか」を納得しながら決めていく。この段階でも、複数の島を一つのまとまりとして新な島を作ることができる。もちろん、どの島にも属しない独立した島があってもいい。その上で、島の島についても「標題(3次キーワード)を創造する。この操作の繰り返し数は、オリジナルなラベル数(一次キーワード)の枚数や特性によって違ってくる。いずれにしても。ここで重要なのは「メンバーが全員で参画して考える」ことである。 |
| 「開いたままの口」の責任 [48] 2023/08/26 Sat 9483 風力発電を推進する立場の国会議員が風力発電会社のトップと馬の保有仲間だった。そこに数千万円の動きがあったということで検察が贈収賄の疑いで家宅捜索した。これに対して、金を送ったことは認めた上で、馬の売買に要する資金であり、弁護士が、贈収賄と聴いて「開いた口が塞がらない」と言ったとのニュースが流れた。つまりは議員の活動と会社の利害関係はあり得ないといわんばかりである。この記事を見て、この人たちは「李下に冠を正さず」ということわざを知らないのかと思った。「開いた口が塞がらない」のはこっちの方である。 ことはそれで終わらない。それから数日後に「開いた口が塞がらない」事態が起きる。弁護士が「便宜を図ってもらう意図があった」という趣旨の発言をしたというのである。ここまでくると、「開いた口が塞がらず、顎の骨が壊れた」責任をとっれくれーっと叫びたくなる。弁護士の、真理や正義、さらに正直さなどの定義を知りたくなる。 |
| KJ法の特性(7) [47] 2023/08/26 Sat 9482 昨日 [46] の続き (4)ラベルの集まりを模造紙に浮かぶ島に見立てて、それぞれに標題(2次キーワード)を付けていく。ここで、標題を見ただけで、島に含まれるラベルの内容が直ちに思い出せるようなものであることが求められる。それを100%実現できることはできないが、「そのくらいの気持ち」で全員が知恵を絞るプロセスが重要なのである。 ここでAIなんぞ使えば、そんなトロいことしなくても、パッと正解のような標題を複数提示することもできるだろう。しかし、「そんなトロい点」にこそ人間の存在意義があるのだ。「100mを10秒切って走れるかどうかなんてどうでもいい。オートバイの方がはるかに速い」。そんな理屈で100m走を無意味なことだと言う人はいないだろう。人間の営みは、それぞれの立場や好みによって「たかが□□、されど□□」なのである。知恵を絞り、苦心惨憺し、その上失敗までする。何とも人生はトロく悲しい。それでも人生であり、生きるに値する。そうそう、失敗があるが故に達成感も半端でなくなるのである。 |
| KJ法の特性(6) [46] 2023/08/25 Fri 9481 昨日 [44] の続き (3)レベルに項目を転写し終えると、これらをバラバラにして模造紙全体に広げる。このときラベルを見ながら、「これとこれが似ている」などと判断することなく、その向きも含めてランダムに広げていく。アナログの象徴とも言えるバラバラ感がまさに人間らしさを生み出す。こうした段取りの中で付箋紙では実現できない「空気」が生まれる。付箋紙は貼って剥がせる特徴が「裏目」に出て、とりあえずは張り付いているから、模造紙上でずらしながら動かせない。 ともあれ、自分が書き写したカードですら「ぱっと見」にはどこにいったかわからないという混沌が生まれる。それから、「メンバー全員」で声を掛け、話し合いながら類似したカードを集めていく。その際も、川喜田氏に言わせれば、ラベルを「集める」よりも、ラベルが自分で「集まる」ところが重要なのである。しかも、「似ている」といっても、それは表面的な「言葉」ではなく、「何を言いたいのか。本質はどこにあるのか」、さらには「このラベルは何を主張しているのか」を重視しなければならない。ここでも人間の「アナログ的」発想と行動が求められる。 |
| 「4人の物語」(25) [45] 2023/08/25 Fri 9480 8月19日 [34] の続き Aが就学前だから5、6歳ころまでのはずだが、Y市で過ごした期間の思い出はまだある。たとえば当時は娯楽の王様だった映画にも何本かは観た[憶え]がある。その一つは「ハワイ珍道中」で、もう一つは美空ひばり、江利チエミ、雪村いずみの3人が出演した作品だ。前者はいまでもタイトルを記憶しているが、それから想像できるように喜劇である。出演者の花菱アチャコと伴淳三郎も、劇中の演技まで頭に浮かぶ。制作が1954年だから、A家がY市から別のY市に引っ越す直前に観たのだろう。当時としてはめずらしいカラー映画で、しかもハワイでロケをした画期的な作品だった。当時の[アチャコと伴淳]は喜劇界の大スターだった。ネットで調べると、4分にもなる予告編があった。Aはこの映画で、[喜劇]というもののおもしろさをはじめて知ったと確信している。 |
| KJ法の特性(5) [44] 2023/08/24 Thu 9479 昨日 [42] の続き わたしの大先輩である故高禎助氏は、ブレーンストーミングで出された意見すべてをラベルに転記する前にメンバー全員で見直しをする時間を設定していた。これを[MBS(見直しブレーンストーミング)]と呼ばれていた。そのアイディアは三菱樹脂(現三菱ケミカル)で発想されたもので、「三菱樹脂方式(M)」の[M]との話だった。ともあれ、ブレーンストーミングでは意見を出すことが優先されるから、発言した内容の主旨が不明なものもある。そこで、1項目ずつを全員で確認していく手続きを取るのである。これによって削除される項目もあるが、全員が内容について共通理解することになる。このとき、「なあるほど」「じゃあ、こういう意味なんだね」「それなら、ここをこう書きなおしたほうがいいんじゃないか」といった対話が展開される。まさに人と人との関わりとコミュニケーションの深まりが、項目の理解を超えた人間関係の力が生み出されるのである。 |
| 定番の変わり目(2) [43] 2023/08/24 Thu 9478 8月22日 [39] の続き たまたま付けたとき目に飛び込んできた「そうめん」番組が終わった。いつもの「健康カプセル」はスキップしたことろで「がっちりマンデー」の時間になった。ところが、4K画面は「そうめん」から見覚えのある日本の景色に変わった。それは関門海峡だった。 わたしに生活体験はないが、本籍地は北九州市の門司区である。父親がこの地で育っち、叔父の家があった。そんなことから関門海峡はお馴染みの場所で、1958年に開通した関門国道トンネルも出来たてほやほやのときに歩いて渡った。こうなると、ここで「がっちりマンデー」にチャンネルを切り替える気持ちは失われる。そして、そのまま見続けることになった。その映像は見事なまでに美しくもあったが、内容自身が興味深かった。 そのとき、「これから元の『[健康カプセル』に戻るのが難しくなるかもしれない」と思った。高齢者にとって健康関連の番組は必見ではあるが、冷静に考えると当たり前の情報が並ならんでいることが多いとも言える。これまで、ほかのチャンネルを覗くことすらしなかった。「これから日曜日の朝のチャンネルはどうなるか」と思う自分自身に興味が湧いた。 |
| KJ法の特性(4) [42] 2023/08/23 Wed 9477 昨日 [40] の続き 一次キーワードをラベルに書き込んでいく過程は、それが付箋であっても同じである。しかし、それが「枠付きの公式フォーム」である「KJラベル」だと、何やら心地よい緊張感を生み出すのである。もちろん、枠の付いた付箋を使えば同じことだが、その大きさが何とも言えないのである。自分が書き込んだラベルがこれから先どんな役割を果たすだろうと想像すると楽しくなる。もっとも、付箋紙は別にして類似のラベルシールを代用できるが、それには赤色や青色の枠が付いたものが望ましい。かくして、自分が記入を受け持った内容を「他のメンバーたちが読めるようにしっかりと書き込むのだ」という気持ちが生まれる。それだけであれば、付箋紙でもよさそうだが、もっと先の段階で、その違いが歴然とする。 ともあれ、AIであればこうした「一々てで書き込む」過程などパスできるが、上のような気持ちも同時に無体験でパスされる。 |
| 高校生と[Yes-man](18) [41] 2023/08/23 Wed 9476 8月16日 [28] の続き 高校生の最後の質問は「どうしたら、みんなが(自転車に乗るとき)ヘルメットを被るようになるか」だった。そもそも今日で28回にもなるから、「高校生と何の話をしたのか」をご記憶でない、あるいはわからない方が多いい違いない。それを単純化して言えば、「自転車に乗るときヘルメットを被ることが努力気味になっても、自分の高校で実践している生徒がほとんどいない。それはどうしてなのか、また全員が被るようにするためにはどうしたらいいか」について問いかけられたのである。これに、わたしの性癖丸出しでしゃべりまくった。それを前回まで書き続けてきたのだが、ついに「どうしたらいいのか」にまで到達したのである。 そこで、まずは「人々の行動はとにかく変わりにくいから、最初は誰かがはじめるしかない。しかし、それも時間の経過とともに浸透し、気づくと大きな変化が起きるものだ」と前置きした。そして、二つの実例を挙げてこれを説明した。 |
| KJ法の特性(3) [40] 2023/08/22 Tue 9475 昨日 [38] の続き (2)川喜田氏の場合はフィールドで得た情報が、研修などではブレーンストーミングなどで出てきたものが一次キーワードになる。状況に応じてキーワードに修正や加工を加えることはあるが、これらを「集団のメンバー」がKJラベルにボールペンやサインペンで1項目ずつ書き込んでいく。このときも自分の発言したものではなく、ランダムに担当項目を振り分ける。たとえばブレーンストーミングで模造紙に書かれた項目に胃は番号を付けておいて、メンバーAは1番から10番まで、Bは11番から20番までといった具合である。 この「みんなで分担してラベルに書き込んでいく」過程が重要な意味を持っている。個々人が数十枚の生データ(1次キーワード)を見て、「ああ、こんな意見もある」「なあるほど、そうなんだ」「これは気づかなかったなあ」などと呟きながら頭に入れていく。その多くが自分の考えのように思えることもあり、何とも言えない親近感がわくのもアナログ的感情として、その後の段階で重要な要素になる。 |
| 定番の変わり目(1) [39] 2023/08/22 Tue 9474 日曜日の朝7時から8時までの1時間はTBS系の「健康カプセル ゲンキの時間」と「がっちりマンデー」が定番だった。いつごろからそうなったかは記憶にないが、もう10年以上にはなるだろう。そんなあるとき、6時半過ぎにテレビのスィッチを入れてしまった。その時間は本コラムを書いてアップロードするなどして忙しく、起きてからしばらくはテレビを観ることがない。そんなわたしがその日はなぜかテレビを点けたのだった。やおらBSの4Kにチャンネルをあわせると、そうめんを取り上げた番組が目に飛び込んできた。 わが家は先代から「面食い」、いや「麺食い」を自認し、その過激さを自慢してきた。夏のそうめんはとりわけ大好物である。番組のスタートは奈良の三輪そうめんが映っていたが、すぐに熊本駅前の風景が出たから、「おっ」と声を挙げた。それから画面は手延べそうめんに切り替わった。熊本の手延べそうめんも有名である。しかもうまい。そうこうするうちに、時計は7時を回ったが、定番の健康番組に切り替えずそのまま見続けた。いつもの習慣に変化が生じた。 |
| KJ法の特性(2) [38] 2023/08/21 Mon 9473 8月19日 [35] の続き わたしがはじめて「KJ法」に出会ったのは、高禎助集団力学研究所副所長の研修においてである。その当時、研究所ぐるみで造船所の事故防止に取り組んでいた。そんな中で、管理者として若者たちの意欲を高めるためにどのようなリーダーシップが求められているかを考えるプログラムが組まれた。そこで、「若者たちの意欲を阻害しているものは何か」をブレーンストーミングで探索する。メンバー全員が思いつく要因を出し合っていく。各人の発言は完全にフリーで、批判されないことに最大の価値が置かれる。さらに、質よりも量を重視することも期待される。こうしたことから、軽重を問わず様々な意見が出され、それを模造紙に書き込んでいく。これらを「一時キーワード」と呼ぶこともできる。 |
| 現場の声 [37] 2023/08/21 Mon 9472 8月14日 [24] の続き 「26.教育訓練が現場にマッチしないものがある」 ただ一言のメッセージで具体的なことはわからないが、要するに研修が役に立っていないのだと思われる。わたしも「リーダーシップ」や「組織安全」に関わる「研修」を実施してきたから、こうした声は気になるところである。研修の成果については、受講者からにアンケートを実施するケースが一般的である。そして、その結果が知らされることが多い。そこで「役に立った」と評価されれば安心するとともに、自由記述などで「こうしてほしい」といった要望も出てくる。これは、同じ組織で研修を改めて請ける場合だけでなく、研修スケジュールの改善に活かすことになる。 いずれにしても、教育は受講者の声を聴くことからはじまる。 |
| 教科書の読みまくり [36] 2023/08/20 Sun 9471 8月13日 [22] の続き 中学教科書の[技術分野]では、K社が[安全や防災][情報モラル]などにマークを付けているのがわかりやすい。今や、[安全・安心]は生きることにとって基本であると認識されている。数年前、地震の専門家が、南海トラフ地震の被害が最悪になった場合、その復興のために日本は最貧国になると言っていた。毎年繰り返される豪雨水害も考慮すれば、[最貧国]も現実味を帯びている。何と言っても「命あっての物種」である。かくして、[技術分野]で防災が取りあげられる時代なのである。 ただし、[防災]の比重には差があって、別のK社では今ひとつの感がある。また、この教科書では登場する男子がすべてネクタイを着用している。高校野球では丸坊主でない生徒たちが話題になっている。団塊世代には時代の変遷を感じさせる。一方、先のK社の表紙裏に載っているのは詰め襟の生徒である。 T社では、「未来を創る問題解決」として、PDCA的解説からはじめている。わたしが[PDCA]なる用語を知ったのは大学生になってからだった。 |
| KJ法の特性(1) [35] 2023/08/19 Sat 9470 昨日 [33] の続き ここで「KJ 法」の過程を追いながら、わたしの主観的評価を加えていこう。 (1)発案者の川喜田二郎氏は文化人類学者で、海外を含めたフィールドに出かけてインタビューのほか多くの情報を収集していた。これを一時資料として研究室に持ち帰り整理する。その記録がノートに記されている場合は時系列的な整理は容易だが、そのまま内容による分類にはなっていない。そうなると、ノートから項目を書き出すことが必要になる。それなら、はじめから情報を項目ごとに集めればいいという発想も生まれる。川喜田氏の超ロングレラー「発想法」は前世紀には何回か読んだが、詳細は記憶の外にあるから、この辺りの経緯はわたしの推測に近くなる。なぜなら、やはり1970年代にベストセラーになった梅棹忠夫氏の「知的生産性の技術」と記憶が重なっているからである。ともあれ、まずは一次資料を小さな刻みでカード化することからはじまるのである。ある職場の方とお話しした際は、これを[一次キーワード]と呼ばれていた。 |
| 「4人の物語」(24) [34] 2023/08/19 Sat 9469 8月11日 [18] の続き Aは父親から怒られて畳の下に閉じ込められたような記憶がある。平屋の場合、畳を剥がすと板が敷いてあって、その下には地面がある。つまりは床下に入れられたのである。そのときAは泣き叫んだに違いない。ただし、この記憶が正しいかどうかはA自身にも確信はない。それが正しかったとしても、その原因はまったくわからないままである。これと関連して、Aには叔父の家の庭で癇癪を起こして丹前のまま寝っ転がって泣き叫んだという思い出もある。いずれも就学前のことだが、Aは自分がけっこうな癇癪持ちだったのだろうと苦笑いしながら思い出す。 |
| KJカードと付箋紙 [33] 2023/08/18 Fri 9468 8月15日 [26] の続き 「KJ法」は[KJラベル]と呼ぶ台紙付きのカードを使用する古典的技術である。それは情報の分類・整理に人間集団の力を活用する。この一点で、わたしは今日においても十分に使える特性を持っていると確信している。 こうしたことから、「KJ 法」とは言わないものの、[ラベル]の代わりに付箋紙を使用する事例もあり、これで代替可能と考えられている。しかし、わたしに言わせれば、両者は似て非なるものである。なぜなら、「KJ法」には付箋紙では実現できない「空気」感があるのだ。たしかに、台紙に貼られた[ラベル]も付箋紙も、集団メンバーの情報交換を通して、自由に空間を移動する。しかし、最終的には模造紙に固着して、もはや剥がすことができないという特性は[ラベル]にしかないのである。もちろん付箋紙も最後は両面テープや糊を使って貼り付けることはだきる。しかし、最後の完成時に「さあ、これからみんなでのり付けしよう」では熱気に水を差してしまうことになる。 |
| 借りまくりで心配なし? [32] 2023/08/18 Fri 9467 国の国債、つまりは借金が1兆円を超えたと言って心配を煽っているのは財務省だという[専門家」がいらっしゃる。個人の家計と違って。企業は借金を持つことで経営が成り立つのだそうな。国もこれと全く同じで、借金がいくらあっても心配がないと言わんばかりの勢いである。そうした[専門家]の中には、あのトヨタですら10兆円以上の借金をしていて、従業員一人当たりに換算すれば2,700万円にも達すると言う。そこまで断定されては素人はとりつく島もないが、そうした方々は前世紀の末に今日の日本経済の状況をどれだけ正確に予想されていたのかご提示いただきたい。それに、国債がどんなに増えても大丈夫だと言うためには、経済成長が前提になっているのではないんでしょうか。もしそうなら、未来はけっこう危うくはありませんか。 |
| 持ち上げるだけでは… [31] 2023/08/17 Thu 9466 希少なものは高い値が付く。需要が多くて供給が少ないと値段が上がる。それが[essential :必要不可欠]なものであれば、一層高くなるに違いない。しかし、人の世の中では[エッセンシャルワーカー]と呼ばれる人たちに対する待遇の悪さが問題になっている。とにかく労働に見合わない賃金で人出が不足しているという。その昔、「褒め殺し」という何とも嫌な言葉が流行ったことがある。それとは質が違うが、。,[エッセンシャルワーカー]などと持ち上げていながら、実質的な評価をしなければ、「褒め殺し」の心理とどこが違うのだろう。 |
| 「資本論」の活字を見る記(5) [30] 2023/08/17 Thu 9465 8月2日 [04] の続き わたしが岩波版の向坂訳「資本論」(全3巻4冊)を購入したのは1967年12月だった。その後、年内に読みはじめた。当時は「一気読み」の傾向が強かったが、2700頁を超えるから、「ボチボチ読み」にならざるを得なかった。ただし、その意気込みもどこかの時点で挫折した。その後は書棚に冬眠することになる。それから10年経過した1977年8月7日に再チャレンジすることになる。それは九大で助手をしていたときで、翌年には鹿児島女子短期大学に就職が決まっていた。まだ20代でその気になったのだろう。しかし、これもまたいつの間にやら先に進まなくなったのである。このくらいの大部なると、「ただ何となく」ではうまくいかないということだ。 |
| 「徹底」してるかなあ? [29] 2023/08/16 Wed 9464 NHKの「日曜討論」は司会者の「◯◯について徹底討論します」というセリフからはじまる。わたしはこれを聴くたびに苦笑いする。おそらく「徹底」は景気づけの枕である。そもそも政治家やその道の専門家が5~6人ほどが集まって1時間で「徹底」した討論など期待すべくもない。そもそも複数のテーマがあって、途中で「次の話題に」と移っていく。出席者に「徹底した討論ができましたか」と聞いたら、まずは否定的な回答が来るのではないか。ここは淡々と「政党の代表の方に、専門家の方に[討論していただきます]」でいくことをお勧めしたい。娯楽番組ではないのだからタイトルに余計な修飾語を付けると、「どこが徹底なんだ」と皮肉られることもない。 |
| 高校生と[Yes-man](17) [28] 2023/08/16 Wed 9463 8月9日 [15] の続き それにしてもいろんな話をしたものである。高校生の質問には「内向的な人と外向的な人、集団を動かすのはどちらのタイプか」もあった。これについては、「内向・外向」の定義をきちんとしないと判断できないと答えた。われわれは「内向・外向」について一定のイメージを創りあげている。ことばだけ聴けば、「集団を動かすのは外向的な人間に決まってるでしょ」と言いたくなる。 日本語には「外交」という同音異義の言葉があり、対外的に積極的に働きかけるというイメージを強化する。これに対して「内向」は文字どおり内向きでおとなしく、集団どころか1人の人を動かすのもむずかしいといった語感がある。すでに善し悪しの評価が出来上がっているのである。わたしとしては、高校生には用語の定義をしてから、ものごとについて考え、議論することの大事さも伝えたかった。 |
| リーダーの働きかけと行動 [27] 2023/08/15 Tue 9462 組織のトップが[コンプライアンス]や「安全最優先」を宣言し、それを浸透させようとする。それが素晴らしい字で記載され、額に入った理念としてトップの部屋に掛けられている。それでは、ときおり表面化する不祥事やトラブル、あるいは不法行為を起こした組織には、そのようなものがなかったのか。おそらく、似たようなものが額の中だけでなく、構成員に配付された必携といったものにも記載されていたのではないか。 まさに「絵に描いた餅」、ただ書いたり言ったりするだけでは意味がないのである。それが行動に繫がってはじめて効果を生み出すことになる。ここで重要になるのは、「言ってる本人の行動」である。第一生命の「サラリーマン川柳集」の初期の傑作に「活性化、叫ぶあなたが辞めなさい」という管理職に対する辛辣な一句があった。構成員たちから「そう言うあなたがやってないじゃないの」と言われたのではおしまいだ。トップに限らず、組織のリーダーは「叫ぶことを繰り返す」よりも、自らが宣言していることを「日常の行動で示す」のがすべての出発点になる。 |
| AIと情報の分類・整理 [26] 2023/08/15 Tue 9461 大量の情報を分類・整理し全体像を明らかにした上で、それを実践に活かす。それは目標を持った人間活動の基本であるから、歴史を通して様々な考え方や技法が開発されてきた。そして、ここに来てAIがトップを独走しはじめた。人間が蓄積したビッグデータをもとに、分類・整理する究極の技術である。しかも、その進化は止まるところがない。そして、その先は、そう「[義理と人情、浪花節の世界]でなければならない」。この結論部分はわたしの確信であり、このところ声高にアピールし続けている。ただし、賛同者がどのくらい、いや一人でもいるのかどうかは相当にあやしい。 ともあれ、迫り来るAI空気の中で、ある組織の方と職場で得られた情報の整理について情報を交換した。その中で、わたしの頭にかつて一世を風靡した[KJ法]が浮かんだ。というよりは蘇った。それは、文化人類学者の「川喜田二郎」氏の発案による情報整理のノウハウである。川喜田氏の名前のイニシャルを使って[KJ]法と呼んだ。わたしの主観では、それは前世紀の60年から70年代、おそらく80年代ころまでは、企業や教育をはじめ様々な組織や団体で盛んに使われた。 |
| 骨だけ太くなっても… [25] 2023/08/14 Mon 9460 「骨太の方針」は宮沢喜一財務相がはじめて使ったという解説があるが、とにかく政府の発信では繰り返される。いつも聴いていると、「どこの骨が以前よりもどのように太くなったのか」と言いたくなる。骨ばかり太くなっても筋肉を鍛えなければ身動きできない。とにかくワンパターンの言い回しは軽さがただよう。本コラムで「緊張感」にもいちゃもんを付けたことがある。わざわざ「感」を付けて「緊張した」感じだけ出しても意味はない。それよりも「緊張して取り組む」と言った方がはるかに誠実だ。ともあれ、言葉よりも中身を緊張して考え、実行しなければ、この国の未来はない。 |
| 現場の声(24) [24] 2023/08/14 Mon 9459 8月7日 [12] の続き 「025.工事の際に、外注の□□員が作業に手を出している」 ここで「外注」は「協力会社」にまで範囲を拡大することができる。個別の状況は明確でないが、「してはいけない作業」をしているケースがあるということである。ここでは、本来は作業すべきでないとわかっていても、つい手を貸してもらうことが日常化していることを推測させる。何も言わないのに、外注側の人間の方から「手を出す」可能性は低いに違いない。おそらく、それで作業の結果に大きな影響が出ることはないのだろう。そうなると、これを正そうとする力は生まれない。こうしたケースは多くの現場で見られる現象かもしれない。そして、それが目に見える問題を引き起こしたときだけ、それが明るみに出る。 |
| 白と黒 [23] 2023/08/13 Sun 9458 机上にPCを2台置いている。それぞれ黒と白の仕様である。黒の方はとくにキーボードとその周辺の埃が目立つ。白の方はほとんどわからない。ディスプレイはオフのときはいずれも黒いから似たような状況で埃が付いている。ここで白と黒のPCのどちらがいいかと「白黒」付けるつもりはない。ただ、職業柄、人生にとって、あるいは組織の安全にとっていずれがいいのかと考える。いや、考えるまでもなく、わたしは埃が目立たない白よりも、やたらと目立つ黒を選択したい。そもそも人生は大小の課題と直面しながら前に進むものだと思う。身の回りにある問題や課題に気づかずにいて、それが表面化したときは大変なことになっている。組織の事故や不祥事にはこうしたケースが多い。 いつだったか、本欄で「白はすべての光を反射する=拒否型」「黒はすべての色を吸収する=受容型」として、対人関係における「黒」の重要性をアピールした。何かと否定的な場面で使われる「黒:ブラック」の力に光を当ててはどうか。えっ、「その光だって吸収される」ですって…。 |
| 教科書の読みまくり [22] 2023/08/13 Sun 9457 8月6日 [10] の続き 教科書に限らず、ものごとの評価は相対的である。つまりは、いろいろなものを見て[比較]することが大事になる。ただし、どんなことでも[過ぎたるは]ではまずい。他人と[比較]ばかりして意欲を失う人もいるから、そこは程度問題ではある。わたしは「他人さまとではなく、今日の自分と比較して、1mmだけでも前に進みましょう」と言っている。 さて、中学英語の教科書だが、わたしが中学生のころは英語の教科書を出していなかった老舗の出版社のものがあった。これについては、「とくに特徴はないなあ」と思った。もちろんわたしの評価基準である。 もう一つのK社は「考えること」に焦点を合わせ、自然や生きものをヒントにした製品開発やイグノーベル賞を取りあげている点がおもしろかった。さらに、M社では2年で絵文字、3年で鳥獣戯画について説明しているなど、興味深いトピックスを取り上げている。わたしには新参者(?)と思えた出版社の意欲が感じられた。 |
| 数字を疑う力 [21] 2023/08/12 Sat 9456 明確な[数の概念]を持ち、それを[数字]で表現し、さらに[計算]までする。これは、わたしが知る限り人類のみが有する[力]である。しかし、すべての[利器]は使いようによって[凶器]になる。悪魔は[数字の魔術]としてこれを利用し、われわれの心と行動を揺すぶり、惑わせる。そこで求められるのが[疑う力]である。デカルトなどは、その代表者の一人なのだろう。わたしも、人の行動や態度については[平均値懐疑論者]を自認している。ときには「平均値をぶっ飛ばせ」といった発言をして周りを白けさせ、おそらくは顰蹙を買っている。 その上で、今日は「女性の就業率」の話題である。「国土交通白書2021」の中に「女性人口に占める女性就業者の割合」と「管理的職業従事者に占める女性の割合」の棒グラフがある。そのうち前者の[数値」だけをピックアップすると、日本は51.8%で、フランス:48.3%、スエーデン:47.7%、ノルウェー:47.2%を上回っている。そのあとにアメリカ、イギリス、ドイツが続いている。統計の年次が異なるとの註記はあるが、いずれにしても[この数値だけ]をピックアップして、「わが国の女性の就業率は欧米を上回っている」なんて言える方、いらっしゃるかしら。 |
| やるじゃないか「勝新」 [20] 2023/08/12 Sat 9455 もう昔話になるが、わたしは黒澤監督の「影武者」を熊本城の野外スクリーンで見たことがある。当初は勝新太郎が主役の武田信玄を演じることになっていたが、勝がビデオ使って自分の演技を考えると主張して黒澤と険悪な関係になった。そして、ついには勝が降りてしまった。黒澤監督には、自分が絶対的に映像をコントロールするという強い意志があったと思う。このあたりの経緯をNHKの番組で観た。それによれば、勝新太郎の方から降りたということだった。二人とも自分の考えを譲らない性格と仕事に対する確信を持っていたに違いない。そこで両者がぶつかりあったのだから、決裂は必至だったと言える。 ともあれ、番組を観て「勝新太郎もやるじゃないか」と思った。勝のすごさは素人なりに想像できるが、何と言っても世界の黒澤作品の主役である。映画人としては、それだけで歴史に残ることは疑いない。それでも自分の演技に対する考えを主張して降板するのは半端な人間にできることではない。わたしは、勝が黒澤から「降ろされた」と思っていたから、わが「勝新」評は一気に上昇した。 |
| AIの行き着く先[19] 2023/08/11 Fri 9454 藤井七冠が八冠目である「王座」の挑戦権を得た。わたしは将棋のコマの進路がわかっている程度だが、その力は想像の世界を超えている。その藤井氏がAIと対局したことがるのかどうか知らないが、仮にAIが勝ったとしたらどうなるか。その瞬間に藤井七冠の評価は地に落ち、将棋ファンは、対局したAIの上をいく新たなAIの登場を心待ちにする。そして、将棋はすべてAI同士の戦いになり、その勝負に一喜一憂する時代がやって来る。 どのくらいの方がこの将来像に「なあるほど」と言われるだろう。AIがどうなろうと、人間である藤井さんの、そして対局するプロたちの価値が落ちることなどあり得ない。AI化の行き着く先は「義理・人情、浪花節の世界だ」と、このごろ絶叫しているわたしだが、「人間同士の関わり」なくして「人間としての存在」はあり得ない。 AI付きのピッチングマシンだったら大谷選手よりもっと多種類で速いボールを投げますよ。それを迎え撃つマシーンが時速300kmで300mの極大ホームランを打つことはいまでもできるかもしれませんよね。そうなると、もう大谷選手の試合を見る気が失せますか。 |
| 「4人の物語」(23) [18] 2023/08/11 Fri 9453 8月4日 [07] の続き Aが就学前のころだったが、Y市にはすでに都市ガスがあった。ガスは赤いゴムホースのを通してコンロに供給されていた。当時のガスは少しでも漏れると強烈な刺激臭がした。いまでも同じ臭いを嗅げば、「あっ、これだ」とわかるに違いないと、Aは思う。彼はおそらく母親からガス漏れが起きると、すぐに中毒症状を起こして死んでしまうと言われていた。そんなことから、「ガスはとにかく怖いものだ」と信じていた。ガス工事の人が残していったのか、長さは記憶にないが、赤いホースが残っていた。Aは少し大きくなって洗面器に入れた水をサイホンとして使ってホースから流し出すのがおもしろく、何度となく繰り返していた。 |
| 人生の交換レンズ [17] 2023/08/10 Thu 9452 一眼レフカメラはレンズを交換できます。同じ位置からシャッターを切っても、写る映像は大いに違ってきます。広角レンズだと集合写真でも全員が写ります。その代わり周辺は少し歪んでいて、体形が気になる人がいるかもしれません。これが標準レンズだと、そうした歪みはほぼなくなりますが、両側の人や上の段に立っている人は枠外にはみ出してしまいます。さらに望遠レンズとなれば、ド真ん中辺りに座っているお偉い方しかファインダーに入らなくなります。 このように、レンズを交換すれば写る世界が変わるのです。そして、そのときどきに適したレンズを選べば、素晴らしい写真が撮れるでしょう。 日常の生活でも、ものごとをいろいろな視点から大脳のフィルム、今ではセンサーというべきでしょうか、に映し出すことが大事です。同じことでもレンズ、つまりは視点次第で、ものの見え方や評価が変わります。それが対人関係を、そして人生を豊かにしていくのです。みなさん、交換レンズをたくさんゲットしましょう。もちろん、レンズはいつも磨き続けることが欠かせません。 |
| 努力(?)錯誤(?)[16] 2023/08/09 Wed 9451 NHK「欲望の資本主義2003年夏特別版」で[トライ・アンド・エラー]という小タイトルが出た。おそらく「試行錯誤」を意味しているのだろう。これは、正しくは[trial and error]である。たしかに[try]にも「試し 試み」という意味はあるが、ちゃんと[思考しながら試行する]のは[trial]なのである。まあ、「和製英語ですから」と言われれば、「あっ、そうですか」と言うしかない。何分にもNHKが重い番組で使うのだから、いつの間にかこれが定着するのだろう。ただし、英語人からは「ウン?」と言われるに違いない。 ここで[ChatGPT]に[Tell me about "try and error."]と聴いてみた。その回答は「あなたは、問題解決法にかかわる[trial and error]のことについて言及しているのだと思います」という書き出しからはじまった。さらに、「もし、問題解決の文脈で[try and error]をお使いであれば、[trial and error]と似たような意味をもつと思われます」ときましたよ。いやあ素晴らしい。頭から「あんた間違ってるよ」と否定しないところなど、[ChatGPTくん]はカウンセラーもどきの受容力もお持ちのようですね。 |
| 高校生と[Yes-man](16)[15] 2023/08/09 Wed 9450 8月3日 [05] の続き 高校生たちには、人が置かれた立場によって行動が変わる実験についても話した。それはスタンフォード大学でフィリップ・ジンバルドーが行った「刑務所実験」と呼ばれるものである。今日では倫理的に実施などあり得ないが、大学構内に模擬刑務所を設置し、被験者に看守と囚人の役割を与えてその行動を観察したのである。その詳細は別の機会に譲るが、被験者たちは無作為に与えられた「役割」から予測される反応や行動をとっていった。そして、心理的な問題が発生して実験は途中で中止される。これによって、人間が社会の中で、その役割に応じた行動をするのも文化を越えた傾向であることを伝えた。 |
| 100年寿命の… [14] 2023/08/08 Tue 9449 トイレの電球が切れたので替えを買いに電気屋へ出かけた。そこら一面[LED]だらけだが、いずれもけっこうなお値段である。外箱に[寿命40,000時間]と書いてあるのを見て、体中におかしさがこみ上げてきた。わたしがトイレを図書室にしていると言っても、目的を達すれば立ち上がる。もちろん1時間なんてことはないが、[40,000時間÷365日]としても[100年]を超える。このごろは「人生100年」という話もあるが、後期高齢者クラブに入会を控えている者には桁が多すぎる。 笑いをこらえながら見回すと、華やかなLEDが並んだ棚の反対側にシリカ電球がひっそりと佇んでいた。こちらはLEDとは比較にならない価格で、心なしか恥ずかしげである。箱に記載された「2,000時間 長寿命タイプ(当社比約2倍)」の文字がけなげでかわいい。これだと[2,000時間÷365日]で[約5.5年]である。このとき、ようやく100年来の友人に出会ったような感動に浸った。 |
| 演歌少年[13] 2023/08/07 Mon 9448 子どものころから演歌少年だった。日曜日になると父がラジオの歌謡曲番組を聴いていた。その週の[ベスト20]くらいまで取り上げて流していたと思う。その中には、島倉千代子の「この世の花」「からたち日記」「東京だヨおっ母さん」。コロンビアローズの「東京のバスガール」など、まさに義理と人情、怨み節調あふれる歌でないものもあった。その意味では流行歌と言った方がいいかもしれない。とにかく「七五調」の歌詞と合わせてメロディーが体に染み込んだ。これにつながる「浪曲」や落語もラジオで放送されていた。小学生が歌詞の意味を理解しないままに口ずさんでいたのだから、笑える。またポップスという言葉はなかったが、「ロックンロール」という、」何やら大騒ぎするものはあった。ただし、それは世間の親たちが眉をひそめるものだった。 |
| 現場の声(23)[12] 2023/08/07 Mon 9447 7月31日 [48] の続き 一定規模の組織であれば、[外注]は当然のことになっているのだろう。それは製品だけでなく、様々な作業にも及ぶが、これに関わる課題も挙がってくる。 「022.仕事の質の向上が必要」は一般論だが、「023.監督者だけでなく一般社員の教育を増やしたらどうか」は一歩踏み込んでいる。この組織では[外注の監督者]に対する教育は行われているが、それだけでは不十分だという声である。おそらく、[外注の作業員の仕事」ぶりに不安を覚えたのだろう。それは外注先の組織でやってほしいと言いたいところだろうが、そこまでできないところもあるに違いない。 これに関連して、「024.外注作業員は事故や労働災害への意識が薄い」との指摘もあった。仕事ぶりを見ていて「ヒヤリ」とすることがあるのだろう。わたしが知る限り、事故や労災の大多数は「基本が守られない」ことによって発生している。本コラムでも「基本は守られないものだ」という認識が基本的に必要だと言い続けてきた。 |
| 平和と力[11] 2023/08/06 Sun 9446 世界中で、「平和」の重要性を否定する者はいない。いや、正確には「ほとんどいない」と推測する。たとえ極少であっても「そうでない人」がいる可能性が「[0]ではない」からだ。 その上で、歴史を振り返れば、戦っている者同士が「自分たちの正当性」を主張し続けてきたし、いまもそれは変わらない。そうした発想では、戦いに勝利することで「平和が確立」されるとなる。つまりは「自分たちの正義の実現=平和」なのである。そうなると、「平和」な状態に対する意味づけが「力」と結びくことになる。何のことはない、強い者が正義を実現し、その結果として平和が訪れるというわけだ。いつまで経っても人間は変わらなさそうだ。 |
| 教科書の読みまくり[10] 2023/08/06 Sun 9445 7月30日 [46] の続き 高校生向けの英語教科書(K出版社)に脱字があったことは、昨年4月30日の本欄で紹介した。高校生になった孫が発見したのだが、それにしてもこれはめずらしい。出版社は検定までに相当の力を入れていたはずである。それを検定する側もこまかいところまで目を配っているに違いない。さらに、教科書を選定する側でも、選ばれた現職の教師たちがしっかり読み込む過程を経ている。一般の書籍であれば、編集者たち数人がチェックするくらいだと推測するが、これとは大違いなのである。それでもミスが出るのだから、それこそが人間のなせる業であり、また限界なのである。リスクマネジメントは、人間にこうした「弱点があることを受け止める」ことからはじまる。わたしは「自分たちの弱点を知ること、その存在を受け入れることこそが、われわれ人間の強さだ」と言い続けてきた。そして、大小を問わずミスやトラブルの事例とに出会うたびに、その思いが強まるのである。 |
| リアリティこだわり症[09] 2023/08/05 Sat 9444 7月27日 [41] の続き 映画のリアリティだけでなく、テレビシリーズで、今でも再放送が繰り返される名作「コロンボ刑事」でも揚げ足を取りたくなるシーンがけっこうある。それには早くも第一作目で遭遇するのである。その回の主人公は精神科医で妻を殺害する展開である。医師には、われわれ世代には「バークに任せろ」などで馴染みの深いジーン・バリーが扮していた。 劇中でコロンボと医師が対面で会話する際に警部が葉巻を口に当てている。ところが、つぎのカットでは葉巻は手に持っているものの、すでに口からは遠く離れているといった具合である。また別の回では、女性と会話するシーンでコロンボの髪の長さが違っていたこともある。その間に理髪店まで出かける時間などありはしない。 さらに、「指輪の爪あと」ではコロンボと対峙する探偵がコーヒーカップの柄を前面に向けた変わった飲み方をしているアップがある。それがつぎのカットではカップが口から離れていたこともある。 もちろん、ストーリーの展開にはいささかも影響はない。ただ、わたしの頭の中では「リアリティ」という言葉がいつもうろついている。まあ、困った特性の持ち主なのである。当時はホームビデオなどなかったから、あとでワンカットずつ目をこらして確認する人間など想定外だっただろう。映画を創る側からは、そんな些末なことよりも物語そのものを見てほしいという声が聞こえてきそうだ。しかし、こちら側としてはそういう細かいことに気づくのもじつに愉快で楽しい。わたしも、それで作品の質まで変わったとは思っていないし、その評価を落としてもいない。ともあれ、ビデオが当たり前になって、製作者の皆さん方も大変だろう。いまでも、映画はリアリティを追求するのを原則としているのだろうから。 |
| 蛇蝎の気持は…[08] 2023/08/04 Fri 9443 「悪性さらにやめがたし こころは蛇蝎のごとくなり 修善も雑毒なるゆえに 虚仮の行とぞなづけたる」は親鸞の言である。細かいことは知らないが「正像末和讃」なるものに記されているらしい。「悪い本性はなかなか変わらないのであり、それはあたかも蛇やさそりのようである。だからたとえどんなよい行いをしても、煩悩の毒がまじっているので、いつわりの行というものである」(訳:西要寺住職 堀祐彰氏)。その真意はわからないが、わたしが安全に関して「人間の心の中には悪魔、あるいはヘルペスが住んでいて、あの世に逝くまで付き合っていかなかればならない」と言っていることと共通するところがある。人間には「自分の弱さを知る強さ」が求められているのである。 何のことはない、やっぱし誰かが同じことを言ってたんだあ、それも親鸞さんが…。それはそうと、[蛇蝎]+たちだって一生懸命生きているだろうに、こんなに嫌われては成仏できませんよね。 |
| 「4人の物語」(22)[07] 2023/08/04 Fri 9442 7月28日 [42] の続き Aは就学前だったにもかかわらずY市の記憶、あるいはそれらしきものが湧き出てくる。公衆電話ボックスもその一つである。自分で電話することなどあり得ないから、父母のいずれかが利用したときの記憶だろう。理屈は知らないながら、ダイヤルを回すことだけは知っていた。その後、同じイニシャルのY市に引っ越して小学生になったとき、都会(?)にはダイヤルの付いた電話があって、それを回してかけるのだとみんなに自慢した。当時、電話そのものがめずらしく、どこかのうちにあっても、ハンドルをグルグル回して交換手に繋げる方式だった。そんな中で、ダイヤル式の電話を見たことがない友だちも少なくなかったのである。 |
| 嘘の判定[06] 2023/08/03 Thu 9441 「自分は生まれてこの方、嘘をついたことがない」という言は100%嘘だと言われる。たしかにそうだと思う。「嘘も方便」は仏教に由来するようだが、われわれ小人は嘘を合理化するめに使ったりする。ところで、一般的には、「自分には嘘がつけない」だろう。だから、自分には「これって嘘なんだよね」と考えながら「嘘を言う」ことになる。ただし、人間とはやっかいなもので、客観的には「嘘」でも、本人にその自覚がないケースもありそうだ。それでも、外からは「嘘と自覚していない」のか「自覚していない風を装っている」のかを確定できる術がない。ことあるごとに流行語になる「記憶にございません」だが、他者はそれが真実か嘘かを判定することができないのである。だから、このセリフは永遠に消えることがない。 |
| 高校生と[Yes-man](15)[05] 2023/08/03 Thu 9440 7月26日 [40] の続き アメリカ人だって[周りのプレッシャー]に影響されるという話題に関連して、イェール大学のミルグラムが行った[アイヒマン実験]を紹介した。これは「人間が権威に弱い」ことを明らかにした驚くべき実験である。ただし、その手続きは倫理的に重大な問題を含んでいるのだが、これについては本コラムで改めて取り上げる。その詳細な内容は1974年にミルグラム著[Obedience to Authority(権威への服従)]として出版されている。また翻訳本「服従の心理」もある。 ともあれ、「権威者(と認識されている者)に意識的(ときには無意識的)に従ってしまう」傾向は、「日本だけの話ではない」ことの例として、高校生たちに伝えた。 |
| 「資本論」の活字を見る記(4)[04] 2023/08/02 Wed 9439 7月29日 [44] の続き 向坂訳「資本論」(岩波書店)は、第1巻965頁 第2巻636頁 第3巻は第一部と第二部の分冊で、あわせて1133頁 これに総目次と索引が166頁である。わたしは、これを大学1年生だった1967年12月に購入し、まずは読みはじめた。 当時は週に数冊の本を読み切ることもあった。それを思い出して、友人I君の名前と顔が浮かんだ。法学部の学生だった年上の彼とは相性が良かった。二人は会うたびに「昨日は《□□(書名)》を〇〇ページ読んだ」「先週は…」と読書の実績を、競い、おそらくは自慢し合っていた。そんな体験はあるが、個々の書籍のどこがどのようにわたしの中に定着したかはわからない。それどころか、わたしには「これだけは忘れられない」「これこそが自分の人生を決めた」といった決定的なものはない。 それはそれでいいのではないか。今まで食べてきたすべての食品のどれがどのように自分の体を作ってきたのかわからない。そうだからこそ、すべての食べ物に感謝する気持ちになる。本は心の栄養と言われるが、人生で出会ったすべての書籍に感謝したい。その中には歯が立たずに放棄したもの、何とも仕方がないと自分なりに低く評価したものなど、いろいろである。それでも、食わずぎらいで敬遠せずに、食してみたことが貴重な体験になっていると思う。 |
| 今月の写真(2)[03] 2023/08/02 Wed 9438 わが家でもベランダに花が咲く。そもそも庭いじりなど頭の片隅にもないから、50歳のときにマンション住まいと決めた。そこで家内が小鉢を手に入れて、小さなガーデンにした。ところが、台風ともなるとこれらを家の中に入れなければならなくなる。最初は小鉢でも、時間と共に大きく育つ。それはそれで楽しいが、そこそこに大きくなると移動は大仕事である。こちらの体は年月を経て弱体化してくる。そんなわけで、徐々に整理して、いまでは数点の花が美しさを競う。その一つが真っ赤な[ハイビスカス?][ムクゲ?]である。これはわが家の[呼称]で、本名は知らない。ともあれ、真夏の真っ赤な花は、深緑の葉と対比的で鮮やかに映える。 |
| 科学論文と演歌[02] 2023/08/01 Tue 9437 《ことば》はコミュニケーションの《道具》である。わたしは《ことばは人間理解最強の利器であり、同時に人間誤解最悪の凶器である》と前世紀から言い続けてきた。それは、まさに《諸刃の剣》なのだ。ものは言いようというが、それも《ことば》を使ってのことである。まずは、《ことば》で伝えたいこと、伝えるべきことを正確に伝える必要がある。ただし、それは《事実》を正確になのか、あるいは《心》を正確になのか。前者であれば、《感情を交えずに》がキーワードになる。後者は、ものごとの正確さよりも発信者の《思い》がポイントになる。前者は《淡々と》《冷静に》などが、後者は《情緒豊かに》《感情を込めて》といった修飾が似合う。その具体的な例は《自然科学の論文》と《演歌の歌詞》に見られる。数学の論文は読んだこともないが、《数式ということば》に充ち満ちているはずだ。これが《演歌》になると、論理よりも《人の心を動かす》ことに専念する。 |
| 今月の写真(1)[01] 2023/08/01 Tue 9436 夏の雲は力強い。麦わら帽子に虫取り網、そして採集箱をもって昆虫を追いかけた。そんなとき空を見ると真っ白な入道雲が天を突いていた。ときには稲光がして夕立が襲ってくるが、しばらくして雨が上がると空気が冷たくなっていた。そんな子どものころの思い出が夏の雲を見るたびに蘇る。しかし、いまでは夕立はゲリラ豪雨に変身した。空気が涼しさを持ってくるのではなく、被害をもたらす。そんな地上の大変さは知らないかのごとく、空の上では白い雲の絨毯が敷き詰められていることもある。 |