味な話の素   No.229 2022年05月号《8449-8482 》 Since 2003/04/29
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[断捨離]のない辞書 [34] 2022/05/31 Tue 8482
 大正生まれの父の辞書に《断捨離》はなかった。すでに他界して30年になる。父が亡くなったとき、自宅の整理をした。そこには19年前に他界した母の遺品というか、とにかくいろいろなものが、いろいろな場所にしまってあった。
 わたしは高校2年生の二学期から、長崎に転勤した父、そして母妹と行動をともにせず福岡に残った。そのため、ことあるごとに、いやことがなくてもはがきや手紙を書いた。長崎の自宅にもわたしがいた寮にも電話がない時代である。
 その後、父が佐賀県の武雄から門司に異動した。住宅は小倉の公務員宿舎だった。すでに博多・小倉間は快速などがあって気軽に家に帰りはじめた。家族にも寮にも電話がついて、郵便で連絡する必要もなくなった。
 はがきは手軽なことから、それまで出したものは200枚を超える。自分の語彙に《断捨離》のない父だから、わたしの手紙やはがきにすべて通し番号を付けていた。そこで、いまでもその枚数がわかるのだ。 
産業界デビュー [33] 2022/05/30 Mon 8481
 1976年6月23日から7月7日まで、九州生産性本部の主催で「第一線リーダー養成講座」が開講された。夜間の講座6日間に1泊2日の合宿が付いている。講座は生産性本部のセミナー室、合宿は福岡市中央区のホテル高倉で実施された。このときわたしは最終日の7月7日に17時30分から20時30分まで「リーダーシップと自己啓発の方向」と題した講演をした。肩書きは九州大学教育学部助手(集団力学専攻)と記されている。サブタイトルを「理想的なリーダーのタイプとリーダーシップトレーニング」としている。
 それまでも、「リーダーシップ・トレーニング」の中で話す機会はあった。また同じころ、非常勤で九州産業大学の授業も担当していた。しかし、完全に産業界向けの講座としては、わたしにとってはじめての講演だったと思う。当時、生産性本部に所属されていた高禎助氏から「吉田君、リーダーシップについた話してみない」と声をかけていただいたのである。
[軽犯罪法]あれこれ(35) [32] 2022/05/29 Sun 8480 5月22日 [24]の続き
 「三十三 みだりに他人の家屋その他の工作物にはり札をし、若しくは他人の看板、禁札その他の標示物を取り除き、又はこれらの工作物若しくは標示物を汚した者」
 ここでも定番の「みだりに」のご登場である。そもそも他人の家や壁、塀などに何かを貼ってはいけないのである。ときおり、門扉や玄関に、その家の者を誹謗中傷する文章を紙に書いて貼り付けるケースが報道される。法律としては、その内容を問わず軽犯罪に当たると推測する。そうであれば、相手に対する誹謗や中傷でなくても軽犯罪になるのである。さらに内容次第では、軽犯罪を超えて、「名誉毀損罪」や「侮辱罪」で処罰されると思われる。
 ここで「禁札」とあるのは、「入るべからず」「棄てるべからず」「走るべからず」といった「禁止条項」を書いたものである。これを勝手にはずしたり、汚したりしてはまずいに決まっている。頭にきて破ったり、冗談半分で落書きしたりすれば犯罪になるのである。
[成果主義]は日本の伝統? [31] 2022/05/28 Sat 8479
 一時期、[成果主義]という用語が世の中にあふれていた。わたしもこれをネタに本コラムでいろいろ書いた。その中で、もっとも強調したのは、成果を「短期と長期」「見えるものと見えないもの」とにわけて考えることだった。「短期的、可視的」見方のみではまずいのである。ところで、最近は[成果主義]の4文字を見なくなった。それが当然になったのだろうか。
 それはともあれ、相撲の世界は[成果主義]の典型だと思う。その意味で、成果主義は輸入物ではなく日本の伝統なのである。しかも、現在の柔道のように階級など設定していない。体の大きさなど無視して、とにかく強い者が上に昇っていく。上位にいけば年齢や経験は関係のない実力の世界である。
 ここまで書いて、またぞろ大関のふがいなさにため息が出る。本来は、最後まで優勝に絡む勝ち星を挙げ、千秋楽まで引っ張っていくべき地位なのである。いつのころからか、こんな状況が日常の光景になった。
[高速道路]の恐怖 [30] 2022/05/27 Fri 8478
 アメリカでは銃によって人命が失われる事件が繰り返される。学校や教会、スーパーマーケットなど、およそ殺人事件とは無縁の場所も現場になる。先日はスーパーで10人が、24日は小学校で教師2名と小学生19名が亡くなる乱射事件でが発生した。前者のケースでは犯人がネットで映像を流していたという。
 さらに、高速道路を走行中にいきなり乱射される事件まで起きるのである。たとえば10号線、94号線、240号線の3ルートだけで、2019年から21年の3年間に、28人が死亡し、152人が怪我をしたと聴けば、声も出ない(ABC News 5/19 )。ニュースでは幼い子どもが命を失ったケースも取りあげられていた。しかも、ある車が被害に遭えば、その巻き添えになる車が出て来ることも大いにあり得るはずである。これでは高速道路を安心して走ることができない。
 人間の世の中には理不尽なことがいくらでもあるが、運転中にいきなり銃で撃たれるなど、想像することもできない。
銃の犠牲者 [29] 2022/05/26 Thu 8477
 アメリカの銃による犯罪は[国が抱える病理現象]と言える。今年はまだ半分も経過していないが、12歳から17歳の子どもたち487人が銃によって命を奪われている。さらに負傷者は1,248人という(ABC News 5月23日現在 24日には小学校で銃が使われ、19人の子どもが亡くなった)。これだけのことが起きても、銃の規制が遅々として進まないのだから、われわれが理解できる範囲を超えていることだけはたしかである。
 わが国でも特別な世界では銃が使われることはあるが、スーパーや学校など一般人や子どもたちがいる場所での銃事件は基本的に発生しない。何かでトラブって冷静さを失ったとき、銃が手元にあれば意図的でなくてもそれを使う可能性は[0]ではない。問題はほかにもある。先ごろスーパーで10人が犠牲になった事件は、特定の人種を狙ったものとされている。さらには、学校で発生する事件では、外部からの侵入者だけでなく、在校生が犯人となるケースも少なくない。これらは発作的ではなく意図的である点で深刻である。
シャレにもならない [28] 2022/05/25 Wed 8476
 知床の観光船を水中に引き揚げて運搬中、船体が180mの海底に落下した。ひもを通した手すりが外れたらいしい。おそらく国内有数のサルベージ会社だろうが、全国から注目されていたから緊張したはずもない。それこそ、「シャレにもならない」トラブルである。
 国土交通省や専門家は現地の「海流」が原因だといった説明をしている。それはそうなのだろうが、そうした状況を含めて「想定する」のがプロというものである。そもそも潮流が厳しいために、観光船が最後に通信してきた場所から200mほど離れた位置に沈んでいたという情報もあった。本当の原因をしっかり押さえることが欠かせない。
いつも聴くセリフ [27] 2022/05/25 Wed 8475
 バスやトラックで多くの人が知っている日野自動車の会長が6月の株主総会で退任する(熊本日日新聞 4月19日)。その理由は任期満了によるとしているが、昨年6月の就任だったから、わずか1年での退任になる。
 同社は3月にエンジンの排出ガスや燃費性能に関してデータの改ざんがあったことが発覚した。これに対して国土交通省は「形式指定の取り消し」処分を行った。この措置は史上初のことで、これによって、取り消された対象車の生産が事実上できなくなるという。
 ほかの情報を確認すると、「少なくとも2016年ごろから不正があった」ことが判明している。そのころは他社でデータ改ざんが大問題になっていた。そうした状況でも、自分たちで問題を発見できなかったことになる。当事者たちから声があがらなかったか、あがってもつぶされたのか。
 不正の背景に「数値目標の達成やスケジュール厳守へのプレッシャー」があったとしている。いつものセリフである。
[相互不信]の無駄づかい [26] 2022/05/24 Tue 8474
 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は、2021年の世界の軍事費が2兆1130億ドル(約271兆6472億円)になったと発表した(熊本日日新聞 4月26日)。トップはアメリカで、中国、インド、イギリス、ロシアと続いている。日本は9位である。推計値が残る1988年以降の最高額を更新したという。
 わが国の国家予算は、一般会計100兆円、特別会計200億円程度で合計が300兆円規模とされる。素人には「特別会計」が怪しげだが、ともあれ、世界の軍事費が、わが国1年分の予算とほぼ同額なのである。現在進行中のロシアによる軍事行動では、1日に2兆円の金がかかっているという。数値の精度は措くとして、300兆円にも及ぶ資金が、人間という動物の「相互不信と信じがたい行動」が原因であることは間違いない。
 ユニセフの広報には、「3,000円ではしか予防接種のワクチンが98回分」になると記されている。世界の軍事費を充てれば、貧困も確実に解消される。
「総合的」の怪しげさ [25] 2022/05/23 Mon 8473
 わが国で政権が交代したとき、政策の[目玉]の一つに[高速道路の無料化」があった。当初は相当に盛り上がっていたが、いつの間にか雲散霧消と相成った。わが家のように、その恩恵(?)を受け損なったところも少なくないだろう。
 ところで、同じころ高速道路の休日料金の上限を1000円にすることも話題になった。これについて国土交通省の事務次官が発言している。「そのプラス効果だけでなく、負の側面も含め総合的に検討する必要がある」(2009/8/11 毎日新聞)。物事ににプラスもあればマイナスもあるのは当然だから、このセリフはほとんど何も言っていないのと同じである。この[総合的]は、本音(?)を通すためにまことに使い勝手がいいのである。
 そんなことで、これが登場したときは、発言自体があやしさを帯びていると考えた方がいい。国に限らず組織においても、世の中や構成員が期待していることを、[総合的に]判断して否定することは少なくない。
[軽犯罪法]あれこれ(34) [24] 2022/05/22 Sun 8472 5月15日 [17]の続き
 「三十一 他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者」
 他人の仕事を妨害してはいけない。まことに当然のことであり、わざわざ「悪戯などで」なんて条件は不要ではないか。もっとも、「悪戯」を超えれば、それは軽犯罪ではなくなるから、他のもっと重い罪として処罰されるのだろう。軽い「悪戯」でもいけないということだ。

 「三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者」
 「入ってはいけない」とされている場所に入っていけないのは子どもでもわかる。また「他人の田畑」にも理由なく立ち入ることは犯罪になるのである。ただし、他人の家などになると、「住居侵入」として刑法によって罰せられる。住居には建造物や艦船も含まれる。これを犯すと3年以下の懲役または10万円以下の罰金というからかなり重い罪になる。また、「田畑」だけが規定されているところが興味深い。まさに農業がわが国の基本的産業だったのである。 
[ライフワーク]との出会い(3) [23] 2022/05/21 Sat 8471 5月18日 [21]の続き
 前泊した関さんのご自宅では、夜遅くまでいろんな話を聴いた。関さんが同じ高校の出身であることは知っていたが、年の差が7年ほどあって、当時の高校の裏話なども楽しい情報だった。また、結核で療養されて進学が遅れたといった話も聴いた。関さんの年代だと結核ということばが重い時代だったことが伝わってきた。
 そんな時間を体験した翌日は朝イチで久留米から大分方面に向かう久大線のディーゼルカーに乗った。こうしてわたしは大分県の天瀬温泉にあるブリヂストンタイヤの保養所で行われたトレーニングに参加させてもらうことになった。これは数年に亘って行われたが、その中で昨年亡くなられた白樫三四郎先生も参加されたことがある。わたしが最初に先生と出会ったのはこのときだったかもしれない。天ヶ瀬では、「感受性訓練(センシティビティ・トレーニング)」を担当された。
 保養所の最上階にある大きな風呂に入ると[やる気の素]が染み込んできた。
[危機管理]の基本 [22] 2022/05/20 Fri 8470
 世の中では、とある町で発生した誤送金問題で盛り上がっている。主役は逮捕され、謝罪し、返金すると言っているらしい。これからどうなるかわからないが、誤送金の原因を明確にする必要がある。
 危機管理の要諦は初期対応にある。それが遅れた理由について、町の責任者は、町民を疑うことに抵抗があったといった説明をしているようだ。その点を疑うつもりはないが、直ちに返金されていた場合、誤送金があったことを公的に発表しただろうか。何分にも重大事態が発生したのだから、町が解決に尽力することは当然である。そのなかには、問題が発生したことを速やかに公表することが含まれる。
 人間の行為に誤りは必然である。最初の公表日が確認できていないが、その対応に追われながらも、「その日」のうちにでも事実を伝えることが危機管理というものである。もちろん、「だれが担当したか」ではなく、「どうして起きたか」に焦点を合わせることは言うまでもない。
[ライフワーク]との出会い(2) [21] 2022/05/19 Thu 8469 昨日 [20]の続き
 天ヶ瀬にあるブリヂストンの保養所で開催される「リーダーシップ・トレーニング」に参加することになったのは、わたしが大学3年生のときだっただろうか。早朝の国鉄(現JR)で出かけるというので、博多駅に歩いて10分もかからない祇園町にあった関文恭さんの自宅に泊めてもらった。
 当時、関さんは大学院の博士課程在学だったが、集団力学研究所の仕事を通して、少し前からいろいろと声をかけていただいていた。このときも、「吉田君、ブリヂストンのトレーニングばしに天ヶ瀬に行くけん、あんたも来んね」と、博多弁丸出しで誘われたのである。すでに、わが人生ポリシーを[Yes man]に徹すると確固たる意思決定を終えていたわたしは、まさに二つ返事で「はい、はい、よろしくおねがいしまーす」と返した。「そんなら、あんたんとこの室見は博多駅から遠かだろうが。前の日に家に来て泊まりんしゃい」となったのである。博多弁の通訳は必要なかでっしょ?
[ライフワーク]との出会い [20] 2022/05/18 Wed 8468
 前期高齢者後期も後期に入ったわたしにとって、[リーダーシップ・トレーニング]がライフワークになったことは疑いない。学位論文のタイトルは「対人関係トレーニングの開発と実践に関する研究」とした。これを[リーダーシップ]としなかったのは、研究領域が限定的に受け止められると考えたからである。わたしにとって[リーダーシップ]は[対人関係]の領域に含まれる重要な要素である。あえて言うなら、[対人関係]の方がカバーする範囲が広いといった程度の違いしかない。
 さて、わたしにとってライフワークになる「リーダーシップ・トレーニング]に初めて接したのはブリヂストンタイヤ久留米工場の職長を対象にしたものである。三隅先生が主導するPM論が完成し、つぎは望ましいリーダーシップを発揮する監督者を養成するプログラムの開発に力が注がれはじめていた。わたしが集団力学講座を専攻して間もないころが、まさにその時期だったのである。 
[ことば遣い] [19] 2022/05/17 Tue 8467
 牛丼チェーン「吉野家」常務の発言がニュースになった。早稲田大学主催の社会人向け講座における発言が原因で解任された。若者をターゲットにした話題を取りあげた際に、「生娘がシャブ(薬物)漬けになるような企画」と発言したという。ご本人としては[受け狙い]のつもりだったのだろう。受講者の間にどっと笑いが起きることを期待していたに違いない。
 それにしても、まことに品がない。同じ主旨のことはいかようにも表現できるのだが、あえてこれを選んだのだと推測する。だれもが知る大手チェーンの常務というのだから、相当な実力の持主であるはずだ。ただし、自分の発言の影響力に対する感受性は危うようだ。
 「ことばは人間理解最強の利器、そしてことばは人間誤解の最悪の凶器」。最初のバージョンは「最強の道具」としていたが、「凶器」に合わせるために「利器」と入れ替えた。「人間誤解」に「人間瓦解」や「崩壊」も頭に入れた方がいいかもしれない。
訃報:白樫三四郎先生 [18] 2022/05/16 Mon 8466
 白樫三四郎先生がお亡くなりになった。先週、先輩から「白樫先生が亡くなられたらしい、あなたは知らないか」との電話があった。ありがたいことに、先生はわたしの[味な話の素]の愛読者でいらしゃった。先生の目を引くことを書くと長文のメールが届いた。それが昨年の10月17日を最後に来なくなった。こうしたことを先輩に伝えて電話は終わった。その後、数人の関係者から詳しい事情を知らないかと、同じような問い合わせがあった。
 最終的には、定年を迎えられた大阪大学とご家族との連絡がついて、12月15日に逝かれたことが判明した。昨年の高禎助さんのご逝去に続く、大先輩の訃報である。先生はわたしより一回り上の85歳でいらっしゃった。三隅先生が二回り違いで、[同じネズミ]と笑い話になったこともある。白樫先生については本コラムでも触れてきた。わたしの手元には、先生とオープンにすることを前提にした未公開のままのメールがある。
[軽犯罪法]あれこれ(33) [17] 2022/05/15 Sun 8465 5月8日 [10]の続き
 「三十 人畜に対して犬その他の動物をけしかけ、又は馬若しくは牛を驚かせて逃げ走らせた者」
 犬などの動物をけしかけるのは、対象が人だけでなく家畜であってもいけない。また馬あるいは牛を驚かせて逃げ走らせてもいけないのである。
 わたしが子どものころは、猿ぐつわ(?)、正しくは口輪(?)を付けた犬をよく見かけていた。それを見ただけで怖そうな雰囲気にあふれていた。いまどき人に対して「そら、あいつに噛みつけ」などと犬をけしかける者などいるとは思えないが、犬の特性を知らないと吠えられただけで恐怖を感じるのは自然である。そう言えば、スピッツという種類の犬がいて、その甲高い鳴き声が記憶にある。もう長いこと出会ったことがないが、どうなったのだろう。
 法律に馬と牛が出てくるのも、これができた時代が伝わる。その昔、牛馬は農業にとって欠くことのできない家畜だった。牛は田んぼで働いていたし、馬車は町の中でも見ることがあった。
人生の目的 [16] 2022/05/14 Sat 8464
 みなさんの中には、「自分は何のために生きるのか」を考え続けている方がいらっしゃいますか。こうした問いかけは、若いころに頭に浮かぶことが多い気がします。かく言うわたしも、子どものころから青春時代まではときおり考えていました。けれども、いつのころからか、そんな機会がなくなっていきました。
 その理由の一つは、まことに幸運なことですが、自分がしていることが楽しくて「何のため」と改めて問い直すことがなかったからだと思います。毎日が「自分との一期一会」であり、これがうまくいけば、その繰り返しで十分だと考えるようになりました。何と言っても、床の中で眠れば、いつの間にか意識がなくなって臨死体験の世界に出かけます。そして翌朝は、めでたく蘇るのです。人生、これで喜べなくて一体全体、何を喜べばいいのでしょう。かくして、前期高齢者後期のわたしは毎日を楽しく過ごしています。「何のために生きるのか」は考えることもなく。
暴飲にご注意 [15] 2022/05/13 Fri 8463
  お腹がたるんだ超肥満の知名人が目を疑うような筋肉質の体型に変身する。そんなCMが繰り返し流れていた。この会社、いまも勢いは維持しているのだろう。それはそれでけっこうなのだが、業績が右肩上がりだった3年ほど前に193億円もの赤字を出し、経営不振に陥ったと報道されたことがある(2019/5/16 熊本日日新聞)。
 本業は問題なかったようだが、それ以外の子会社が赤字を出したのが原因とされた。この会社が様々な業種の会社を買いまくっている状況をテレビ番組で観たことがあった。こまかいことは憶えていないが、その中にはメガソーラーの会社まであったのではないか。
 番組を観て、その昔、ダイエーが日本国中の地元スーパーを買収し続けていたことを思い出した。日本列島の北から南まで、仕事などで出かける先々でオレンジの[D]マークが目に飛び込んできた。しかし、いまではその面影もない。経営者の中には、力を付けてくるとほかのものを飲み込みたくなる人がいるようだ。
[夜の大捜査線] [14] 2022/05/12 Thu 8462
  映画「夜の大捜査線」をWOWOWで観た。シドニー・ポアチエとロッドス・タイガーの主演で1967年の公開である。映画のリストでタイトルを発見した瞬間に、「これは観た」と思い出した。スチル写真の二人がシドニー・ポアチエとロッドス・タイガーであることもすぐにわかった。そして、映画のストーリーまでが蘇るのだがら、わがことながら人間の記憶のすごさと神秘さを余すことなく感じる。
 それはアメリカ、とりわけ南部で人種差別が厳しい状況の時代を反映したものだった。シドニー・ポアチエは黒人で、アメリカで映画俳優として活躍した先駆けの人物である。彼が演じるエリート警官が南部の小さな町で発生した殺人事件に巻き込まれてしまう。その捜査を進めるなかで、ロッドス・タイガー演じる年配の白人で頑固な地元警察署長たちとの間に生じる葛藤と友情が描かれる。
 そのときわたしは大学1年生だったが、米国の人種差別の深刻さに大きな衝撃を受けた。
[制度]と[犯罪] [13] 2022/05/11 Wed 8461 昨日 [12 ]の続き
  弁護士を横領にまでもっていった[後見人制度]では、この手の問題が繰り返されているらしい。犯罪に関わったとして、後見人の親族だけでなく、司法書士の会長や弁護士会の副会長なども逮捕されている。今回は金額が大きかったが、同じようなケースがあっちこっちで発生しているのではないか。ただ、その当事者が弁護士や司法書士などのプロになるとマスコミなどで取りあげられる。
 この制度、そもそもは家庭裁判所が親族や弁護士、司法書士、社会福祉士等の中から後見人を選任する。その上で、定期的な報告などを通して監督するのである。関係する団体によると、家裁のチェックが甘いために横領が発生するという。実際に、後見人の横領を家裁が見過ごしたとして、国に賠償を命じる判決も出ている。制度ができたのが2000年だから、すでに22年が経過した。家裁からは「人員が足りない」という声が聞こえてきそうだが、犯罪を誘発する制度は見直さないといけない。
弁護士と想像力 [12] 2022/05/10 Tue 8460
 熊本県の弁護士の横領が発覚して問題になっている(熊本日日新聞3月17日)。当人は成年後見人と相続管財管理人をしていたが、この仕事で発生した金をほぼ全額競馬に使っていた。その額は、2020年9月以降で1億円を超えるのではないかという。
 人の金を勝手に使えばどうなるかくらいは子どもでもわかる。それが[想像]できないというのでは、開いた口が塞がらない。しかし、これは[想像力欠如]が原因なのだろうか。おそらく、「これがバレればどうなるか」は[想像]できたのではないか。一生懸命努力して得た弁護士資格も吹っ飛んでしまうのである。それどころか、自分自身が犯罪者になるのだ。
 それでも競馬につぎ込むのだから、ギャンブルは[健全な、あるいは普通の想像力]を押しつぶしてしまうのである。コロナの影響で海外からの観光客がいなくなり、リゾート誘致の話題が影を潜めたと思っていたら、九州内でもまたぞろ手を挙げるところが出てきた。
コメントの定番 [11] 2022/05/09 Mon 8459
 大阪府警の警察官(25歳)が酒気帯び運転で逮捕された(熊本日日新聞3月25日)。午前4時ころ、対向してきたトラックに接触した。当人の呼気から基準値の2倍を超えるアルコールが検知されたという。この事故が発生したのは、熊本県の天草市なのである。本人は故郷に帰省中だったらしく、昔の知り合いや仲間たちと飲んだのだろう。
 わたしもこの道を毎年1回は走ってきた。まだ夜明けまで時間があるから車もほとんど走っていないに違いない。このとき接触事故がなければ、何もなかったでおしまいである。同じようなことが全国津々浦々で行われているに違いない。ところで、この警察官、今回の酒気帯び運転が人生で初めてのことだったかどうか。
 大阪府警は「飲酒運転を取り締まるべき立場の警察官としてあってはならない言語道断の行為。捜査結果を踏まえ厳正に対処する」とコメントした。責任者としては、定番の「あってはならない」としか言いようがない。
[軽犯罪法]あれこれ(32) [10] 2022/05/08 Sun 8458 5月1日 [01]の続き
 「二十九 他人の身体に対して害を加えることを共謀した者の誰かがその共謀に係る行為の予備行為をした場合における共謀者」
 これを一度読んで何を言っているのか理解できる人がどのくらいいるだろうか。まずは複数の人間、つまりは2人以上の者が「他人の身体に対して害を加えよう」と企んだ。ここまではいい。つぎに、「共謀した者の誰か」だから、ここは企んだ者たちのうちの一人あるいは数人の場合もあるのだろう。その者が「その共謀に係る行為の予備行為をする」とは、企んだ行為そのものではなく、それを実施するための前段階にある行為を指していると思われる。
 他人の身体に害を加えてしまえば、これは軽犯罪どころではない。この項が言いたいのは、現実に害を加えなくても、そのための準備をしたら、それだけで軽犯罪法にひっかかるよということだ。その対象は[共謀者]だから、事情を知らずに「犯罪の予備行為」をした者は含まれないのだろう。
[責任]と[謝罪]のない辞書 [09] 2022/05/07 Sat 8457 昨日 [08]の続き
 わが国を代表する国語辞書の語彙数が25万として、われわれはどのくらいの辞(ことば)を頭の中に入れているのだろう。そして、それは[どこに、どのように]記録されているのか。これは心理学の主要なテーマであり続けてきたが、その解明は大脳生理学レベルの研究に依存するしかないだろう。それでも、そのメカニズムはだれもが満足できるほど明らかにされてはいない。
 ところで、ナポレオンは「余の辞書に不可能の文字はない」と言ったとされる。これを聴くと、世の中には「責任」と「謝罪」が収録されていない辞書をお持ちの方もけっこういらっしゃるような気がする。職業で言えば、その最たるものが政治家諸氏である。そもそも、「それを言っちゃあおしまいよ」の世界なのだろう。ただし、その辞書は「自分の行動」についてのものに限定されている。他人に対する行動を説明する辞書には、「責任」も「謝罪」も太文字の活字で記載されているのではないか。  
語彙数25万の辞書 [08] 2022/05/06 Fri 8456
 辞書は「辞:ことば]の[書物]だから、できる限り多くの[ことば]を取り上げ説明する。わが国でもっとも知られている岩波書店の[広辞苑]は1955年の初刊で25万語、三省堂の[大辞林]は初刊1988年で25万1,000語、さらに小学館[大辞泉]は1995年の発刊で25万語とされている。
 わたしが学生のころは[広辞苑]しかなく、これを書棚に置いておくことが[勉強家(?)のシンボル]だった。これに加えて岩波文庫と岩波新書も先進的な学生の携行書のような雰囲気が醸し出された。そんなわけで、わが書棚にも数百冊の新書や文庫が並んだときもあった。
 そのうち、「猫も杓子も(?)岩波」という流れに、父親譲りの[天の邪鬼DNA]がムズムズしはじめた。それから相当の年月が経過して[大辞林]が世の中に出た。その結果、わたしの目と手はこちらに向かうことが多くなった。ともあれ、三大「国語辞書」はおおむね25万語という語彙数で並んでいる。
米最高裁の情報漏えい [07] 2022/05/05 Thu 8455
 アメリカの最高裁判所で233年の歴史上初めて黒人女性が判事になることが4月7日に議会で承認された。マスコミは議会での聴聞会のときから大いに賑わっていた。
 そうした中で、判決の草案がリークされたことが大問題になっている。最高裁が、女性の中絶を認める判決をしたのは1973年である。この決定が覆ることを予想させる草案が漏れたのである。最高裁判事が、その情報を事実であると認めたという。ただし、まだ決定されたものではないとの説明が付いている。草案はもっとも保守的とされる判事が書いたことも明らかになっているようだ。これに対して、中絶賛成派と反対派の双方が最高裁前に集まって自分たちの意見をアピールした。
 それにしても、だれがどんな意図で漏らしたのかが大騒ぎになるのは当然である。それも国の最高裁判所という、とりわけ情報管理が厳格であるべき機関から判決に関わる文書が漏れたのだから、その深刻さは相当なものである。
[想像力]欠如 [06] 2022/05/04 Wed 8454
 世界中で発生する事故のほとんどが、結果としては「起きるべくして起きた」ものである。知床半島で発生した観光船の事故もまたその例外ではない。報道される様々な「事実」がそのことを物語っている。
 わたしがとりわけ驚いたのは、連絡手段として携帯が国の機関から承認されていたことである。携帯の電波が場所によってつながらなくなることは素人でも知っている。それも海の上での連絡手段となればアウトに決まっている。最終的な責任がどこにあるのか知らないが、リスクを管理するに当たって必須の「当たり前の想像力」に欠けている。
 しっかり決められたことであっても、これを無視したり、従わなかったりする者は必ずいる。それは人間を信頼すべきとの観点から言えば残念なことである。しかし、リスクマネジメントの視点からは、自分自身ですら疑うことからはじめる覚悟が必要なのである。今回は、その前の段階での想像力欠如だから深刻さは半端ではない。
トイレットペーパーの重み  [05] 2022/05/03 Tue 8453
 昨年の6月に関東地方の商業施設でトイレットペーパーを盗んだとして警察署長が減給1カ月の懲戒処分を受けたことがあった。肩書きが署長と聞けばだれもが驚くに違いない。年齢は60歳だから定年間近だったのではないか。警察でこうした個人的な不祥事が起きるといつものことだが、その日のうちに依願退職したという。
 休日だった5月末にトイレからトイレットペーパー5個を持ち出したのを見つかった。金額にして170円也。自宅から署長官舎に戻る途中のことである。自宅やコンビニの駐車場で酒を飲んでいたらお腹が痛くなったらしい。腹痛の度合いは知りようもないが、トイレットペーパーが5個も必要だとは思えない。
 それにしても、せっかく署長にまでなったのに、それを棒にふるのだから何とももったいない話である。依願退職であれば、退職金は多少の減額で済むのだろう。実際に飲んだアルコールの量ははわからないが、酒が人の一生を狂わせてしまう。
今月の写真  [04] 2022/05/02 Mon 8452
 今年のわが家のベランダでは淡いピンクのカーネーションが咲いている。
 「母の日」はカーネーションで決まりである。その起源はアメリカで、アンナ・ジャービスという女性が亡くなった母の祭壇にこの花を飾ったことがはじまりだという。韓国では同じ日を「父母の日」にしているらしい。わが日本は6月に「父の日」もある。お祝いごとや感謝の機会はいくらあってもいいけれど、これで、ギフト業界は2回に分けて盛り上がることになる。
あいまい日本人 [03] 2022/05/02 Mon 8451
 イギリスの調査会社が「[新型コロナ]騒ぎは陰謀でウイルスは実在しない」という話を本当だと思うかどうかをたずねた。これに対して「本当だ」がもっとも多かったのはインドの36%だった。最低はデンマークの10%だが、日本も11%で低い方から2番目になった。ただし、「本当かうそか分からない」が45%でかなり多い。また、「本当」はわずか4%だった。この3つを合わせると60%にしかならない。そのほかの40%がどうなっているのかはわからない。
 また、「ワクチンの有害な影響は故意に隠されている」については、日本でも21%が本当だと回答した。さらに、「特定集団が秘密裏に世界を支配している」との説は、「本当」が日本は11%、最多のケニアでは72%にもなった。
 ともあれ、アンケートでよくある[どちらとも言えない]志向が日本の場合は多いというわけだ。外国の実情は知らないが、われわれには白黒付けずにあいまいにしておく傾向がある。
今月の写真  [02] 2022/05/01 Sun 8450
 熊本地震の1年前、緑と青空と白い雲で美しい5月の熊本城である。天守閣周りは再建されて、ゴールデンウィークはけっこうな人が出かけるのだろう。われわれ前期高齢者後期の民は外出をもうしばらく抑えておいた方がいい。地震から6年、石垣などの修復はこれからである。完全に復旧が終わるのは2037年度だという。あと15年、生きていればわたしは90歳に手が届くころになる。人生100年とは言うが、さて、どうなることやら。
[軽犯罪法]あれこれ(31) [01] 2022/05/01 Sun 8449 4月24日 [27]の続き
 「二十八 他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者」
 人の進路を妨害したり、付きまとってはいけないのである。日常生活で、こうした状況に遭遇する可能性は低い。ただ、世の中には目と耳を疑う人がいるのも事実である。突然前に来られては、それだけでびっくり仰天、不安になるのは当然である。
 わたしが夜の繁華街を歩かなくなって随分と時間が経過した。それは[コロナ襲来]よりもはるか昔である。そんなわけで、最近どうなっているか知らないが、以前は「社長」と呼び止められて、「ぼく社長なんかじゃありませーん」とマジで答えてやり過ごした体験もした。女性への付きまといが問題になったこともある。ことば巧みに事務所などに連れて行って、高額なものを買わせるなどの詐欺的なセールスだった。このごろはSNSに取って代わられたのだろうか。