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2019年01月号

 味な話の素No.189 2019年02月号(6164-6214) Since 2003/04/29
Short shot : 課長の訪問 2019/02/28 Thu (5:47am) 6214 continued from 2/17
 父の「年収メモ」には現職が「某署某課の管理係長」とある。この年50歳になっていた父だが、徹底して出世とは無縁の人であった。もちろん、「某署」のしきたりは知らないが、戦後の1951年採用の同期がドンドン上に行くのに、父だけは取り残されたようだった。母からもそんな話を聴いていた。福岡から長崎に転勤する際にようやく「係長」になった。私は高校生だったが、父の上司である課長がわが家にこられた。それは父の不在を前提にしての訪問だったと思う。私はたまたま高校から帰っていて、課長が母に話している内容を聴いたのである。その話ぶりから、課長は異動にあたって父を係長に押したようだった。 
 
平凡と非凡 2019/02/28 Thu 6213
 塩野七生「ローマ人の物語」は文庫版で全43冊の大作だ。わたしは21冊目まで到達した。ところで、先日、ドナルド・キーン氏が亡くなった。氏は「源氏物語」の魅力に取り憑かれたのがきっかけで日本学のプロフェッショナルになった。わたしが大学生のころ、谷崎潤一郎や三島由紀夫の作品を読んでいたことがある。そんなとき、解説者としてのドナルド・キーン氏を知った。いまでこそ、日本人以上に日本のことを知っている外国人がめずらしくなくなったが、当時は「何というアメリカ人なんだ」と驚嘆した。
わたしの推測だが、イタリア人にとって塩野七生氏はキーン氏のような位置にいるのではないか。とにもかくにも「ローマの建国」から始まって、すべての皇帝の時代を吟味しながら、文庫本にして43冊もの大作にまとめたのである。イタリア人も舌を巻いたに違いない。この本では淡々と歴史を語るだけでなく、塩野氏の見解が散りばめられていて興味深い。前後の脈絡は省くが、21冊目の60ページにつぎのような記述がある。
 「平凡な資質の持主は、本能的に自分よりも優れた資質の持主を避ける。自分にない才能や資質を迎え入れることで、自分自身を強化するなどという思考は、平凡なできの人には無縁なのだ」。こう言われて、世の中のリーダーに「そうだ、そうだ」と満足げに笑える人がどのくらいいるだろう。
 塩野氏はさらに「とはいえこれをできたら、もはや平凡ではなくなるのだが」とさりげなく付け加える。
 
Short shot : 被災地のご縁 2019/02/27 Wed(6:23am) 6212 continued from yesterday
 熊本丸は船体に「くまもん」付きである。東シナ海に出かけてトロール漁法で魚を捕る。最新鋭のハイブリッドだという。就航式が終わってから船内を見学した。いまどきだから、機器はすべてハイテクで、タッチパネルをはじめディスプレイが並ぶ。GPSを使うから、われわれがイメージする羅針盤などはない。熊本丸は入札の結果、石巻の造船所が建造した。地震の被害を受けた地域同士の縁を感じる。石巻から富岡港までやってきたのである。車で片道2時間40分ほどの旅だった。朝7時に県庁を出て、帰り着いたのは16時を過ぎていたが、記念すべき式に立ち会うことができたためか疲れはまったくなかった。Bon voyage!
 
「中堅教諭等資質向上研修」受講者の声(23) 2019/02/27 Wed 6211 continued from 2/20
 この一年間、対人関係について意識して過ごすことができました。特に行動目標を考えることで自分を見つめ直し、今後どんな力を身につけておかないといけないのかを考えました。10年後の自分の姿を思い浮かべて、今からやれることを目標にしていこうと意識することの大切さを感じています。さらなる行動目標が実行できるように新年度はまた新たな出会いのもと、コミュニケーションの力を高めていきたいと思います。エネルギーあふれた吉田先生に出会えたこと深く感謝しています。ネバーエンディングチャレンジ!がんばります。ありがとうございました。(小学校教諭 女性)

 いやあ、文面から勢いが感じられて、こちらも嬉しくなってくる。この教諭のキーワードは「意識する」だろう。人間は必要な行動を繰り返しエクササイズしているうちに「無意識化」されていく。いわゆる「慣れ」ということもできる。この力によって、われわれは日常の生活をスムーズに送っているのである。しかし、どんな行動も身につくまでは「意識し続ける」ことが必要である。そのうち、「いつの間にか変わっている自分」に気づいて喜ぶことができれば最高だ。
 
Short shot : 晴天の熊本丸竣工式 2019/02/26 Tue (5:42am) 6210 continued from 2/24
 さて、拓心高校実習船「熊本丸」の就航式ですが、当日はしっかり晴れました。前日まで雨だったので、せっかくの日はどうなるかと心配していました。しかし、お天道様のがんばりで見事な晴天になったのです。そこまでは、まさに順風満帆でした。ところが天気の方は良いのですが、風さんがやる気を起こしたようで、まさに強風と呼べる状況でした。そのため、式場のテーブルクロスもをはずさざるを得ないほどだったのです。晴れているとはいえ、2月の猛烈な寒風が参列者を襲ってきました。そうした中で来賓の方々も、ジャバラの式辞を上包みから取り出すときに吹き飛ばされないようにするのが大変でした。
 
浜田知明と「初年兵哀歌」(2) 2019/02/26 Tue 6209 continued from 2/19
 「初年兵哀歌」はけっこう長い。「朝は早よから起こされて 雑巾がけやら掃き掃除 嫌な上等兵にいじめられ泣く泣く送る日の長さ」。
 新入りは上等兵にいじめられるのが常識だったのではないか。戦場に行けば明日の命も定かではない。そんな状況で不安と恐怖、そして「どうして俺が」という理不尽さなどかストレスを極限にまで高める。そのエネルギーを解消するために、弱い者に攻撃を加える。それは軍隊内のいじめである。しかも自分たち自身が初年兵時代にそうしたいじめを受けたことが蘇る。まさに上等兵にとって「伝統」であり「教育・躾」なのである。だから、それを「悪習・悪弊」などとは夢にも思わない。すでに自分の行動を冷静に評価・判断する力は失われている。そして、彼等より上級の者にとって、これを下手に抑制すると、その不満が自分たちに向かってくる可能性がある。
 われわれはその内実を知ることはできないが、こうした集団状況が生まれていたのではないか。これでは敵と対峙する前に集団が弱体化している。こうした状況下で廃人になったり、自ら命を絶ったりした人たちがいたに違いない。後者は「戦死者」とされたかもしれない。
 
マイナス入札時代 2019/02/25 Mon 6208
 しばらく前、埼玉県深谷市で同市が所有する旧小学校の敷地を「マイナス795万円」で入札したという記事が出た。当初は「マイナス1340万6千円」の入札価格だったが、マイナス795万円で落札されたという。なんと「マイナス」である。つまりは市が落札者に795万円を支払うわけだ。
 これには当然のことながら理由がある。廃校になった小学校には体育館が残っていて、その解体費用だけで土地代を上回るという。つまりは体育館を壊して更地にした土地を売っても赤字なのである。それならできるだけ「赤字額が少ない」方がいい。そこで提示したのがマイナス1340万円だったようだが、「795万だけもらえればいいですよ」というところが出てきたのである。
 この売買は「解体から開発まで一体で、その用途は住宅」という限定付きである。その結果、そこに6戸の住宅が建てられ、入居者がいれば市には10年で1700万円の税収が期待できるらしい。そうなると、長い目で見れば「一応は黒字になる」のである。それにしても苦渋の選択というべきか。いずれにしてもドンドン進む人口減少社会である。深谷市のケースはこれから全国で発生していくのだろう。
 
Short shot : 第5代熊本丸 2019/02/24 Sun (5:12am) 6207
 熊本県の水産実習船「第5代熊本丸」の竣工式に行ってきました。式の開催場所は天草郡苓北町の富岡港です。苓北町には九州電力の火力発電所があります。今回の「熊本丸」は県立拓心高等学校が生徒の水産実習で使用する船です。私は熊本県教育委員として出席することになりました。連載中の「高さんの手紙」でも大事なトピックスになっていましたが、私が20代のころ三菱重工長崎造船所と日立造船堺工場に通った時期がありました。その当時に造船所の現場で調査やインタビューをしました。日立造船に出かけた際に、タイミングよく海外のオーナーから受注したタンカーの竣工式に遭遇したこともありました。
高さんからの手紙(101) 2019/02/24 Sun 6206 continued from 2/17
 高さんは退職を決意したものの、「もう一学期だけ」という依頼に応えて「人間関係論」を担当した。その結果は首尾よく継承されたようだ。

 たまたま池田可奈子さんという九大教育学部出身(多分臨床心理系)が信愛の幼児教育学科に講師として赴任されたので、一部彼女にも分担してもらい今年(2011年)から「対人関係論」として正式に開講されることになりました。まあグループ・ダイナミックスのDNAは信愛女学院には残るわけで小生としては悪い気はしなかったというわけです。
 以上のようなわけで昨年7月に非常勤の授業もすベて終了したので研究室をすべて片付けて紀要の別刷りなども全て廃棄しました。貴兄の「味な話」で「断捨離」も読んでいたので。唯資料の廃棄中に鹿児島女子短大時代の報告書がでてきたので、吉田さんは鹿児島女子短大にいたのだし専門はトレーニングだったなあと思い1冊だけ残して同封させていただくことにしました。なにしろ四半世紀前のレポートだから「屑籠直行OKです」。

 その「報告書」は、高さんの歴史の記録であり、当時の「トレーニングマニュアル」とも言えるものである。私にとっても懐かしい思い出とともにある。
 
丹羽宇一郎「死ぬほど読書」 2019/02/23 Sat 6205
 昨年の9月だったか、丹羽宇一郎著「死ぬほど読書」(幻冬舎新書)を読んだ。何分にも書名が気になって、新聞広告を見た途端に内容は吟味せず買った。
 このごろは本屋に出かけることが少なくなった。しかし、あの洪水のように本があふれる書棚から1冊の本を発見し、手に入れる快感は筆舌に尽くしがたい。私が高校生のころ「人生で不可能な望みがある」ことを確信したのは本屋でだった。その望みとは「この世の中に出ている本をすべて読むこと」だったのである。古稀を超えた現在も、「何でも知りたい」欲求は消えていないが、「この世には限界のあるものだらけであること」を悟りきっている。
 また自分の周囲にすら「絶対に確認できないものがあること」も理解している。そもそも「自分の心臓が今まで何回拍動したか」なんて「知ろう」と思うこと自身があり得ない。「瞬きの数」「食事や間食のとき歯で噛んだ回数」「発言した言葉の数」…。こんなこと、挙げているだけ時間の浪費だが、妙に楽しくなる。
 おやおや丹羽氏の本の話題は飛んじゃった。
 
Short shot : 池江選手の病気公表 2019/02/22 Fri (5:35am) 6204
 水泳の池上選手の白血病だとの公表はショッキングなニュースだった。われわれの世代は広島の原爆との関連で、その病名を子どものころから知っている。そして当時は、誰もが不治の病だと思っていた。だから俳優の渡辺謙がこの病気になったときは、彼が死に直面したのだと推測した。しかし、その後も再発のようなものはあったようだが、いまや国際的にも活躍するスターである。つまりは医療が飛躍的に進んだということだ。池上選手は18歳にしてすでにスポーツ界で歴史に残る活躍をしている。さらに期待が高まっていただけにご本人の心中はいかにかと思う。病気というものは人を選ばないということか。
 
Challenge the 人生(9) 2019/02/22 Fri 6203 continued from 2/15
 Aさんの「告白(?)」は続いていきました。

 若いころから仕事にしっかり自信をもっていた私ですから、管理職になってからは、部下に仕事を与えるときも「これ、いの一番でやってくれ」などと言いっぱなしでしたし、その結果を持ってきても、「いま時間がないので、そこに置いといてくれ」といった感じの対応をしばしばしていました。そんな私ですが、この研修の進行とともに、自分には管理職として反省すべき点が多いことを知らされたのです。
 しかし、それはあまりにも遅きに失したと思います。私にはあと3ヶ月ほどしか時間が残されていないのです。そんな状況ですから、「今さら何をしても仕方がない」という思いが募りました。それでも、これまでの罪滅ぼしではありませんが、自分にもできることはないかと考えました。そして、短い時間ではあるけれど、「①部下に仕事を依頼するときは、その仕事をする意味を理解できるように話をする」「②部下が結果を持ってきたときは、その場で少しでも目を通して、できるかぎりの評価をする」の2点だけは実践しようと思ったのです。
 皆さんは「今ごろそんなことに気づいたのか」と笑われるでしょうが、私としてはこれくらいのことしかできません。それでも良いでしょうか。
Short shot : 人間ドック35周年 2019/02/21 Thu (12:06pm) 6202
 本日、通算35回目の人間ドックを終えました。朝一番は「趣味の胃カメラ」でした。数年前にピロリ菌を駆除した効果が現れて、胃全体がきれいになっているという診断でした。ありがたや、ありがたや。第一日目の「血液検査等の速報値」のデータの中に「C判定」があったので、「いかんなあ」と絶叫しました。これに対して「もう70歳なのですから、全部A判定というわけにはいきませんよ」と、笑いながらたしなめられました。私は、47歳で亡くなってしまった母のことを踏まえ、満36歳からドック通いをしてきたのです。「来年また来まあす」と言って検診センターを後にしました。今から「趣味の仕事場」へ出かけます。  
 
「味な話の素」の自己満足 2019/02/21 Thu 6201
 オゾンホールは南極観測中に日本人が発見したものだと思っていた。ところが、世界的にはジョセフ・ファーマン、ブライアン・ガードナー、ジョナサン・シャンクリンが発表した1985年の論文だというのが通説らしい。しかし、その前の1983年12月開催の「極域気水圏シンポジウム」と1984年にギリシャにおける「オゾンシンポジウム」において、気象庁気象研究所(当時)の忠鉢繁らが観測データを発表していたという。
 ある講演会で講師は、この発表のことだろうか、マイナーな発表だったから最初と認定されなかったといった話をしていた。自然科学に関わる研究は「一番目」が大きな意味をもっている。それがノーベル賞なるものの受賞者を決める基準にもなるのだろう。私には、その内容も評価の適否もわからない。
 そもそも、人間を対象にした分野では「自分が最初だ」と叫んでも、「あっそう」で終わることが多い。ただ、私は頭に浮かんだことを「本コラム」に書いて、「これって誰も言ってないよね」と自己満足して快感を覚えている。何かが世の中で話題になったとき、「ほら、それってボクは二年前に書いてるんだよね」と思うだけで楽しい。
「中堅教諭等資質向上研修」受講者の声(22) 2019/02/20 Wed 6200 continued from 2/13
 4回の研修では、いつも楽しいお話しを入れてご講義くださりありがとうございました。いつも笑いの場があり、ほっとできました。行動目標を立て、それを実践していく大切さを自分で9ヶ月やってみたことで実感することができました。結果が思い通りにいかなくても気持ちを切り替えられるようになりました。それは、その途中の過程に自分なりに納得できたからだと思います。自分なりに行動目標を立て、大きく成長していけるよう努力していきます。いろんなことを教えていただき、ありがとうございました。(小学校教諭 女性)

 ここでは「思い通りにいかなくても気持ちを切り替えられるようになった」点がポイントである。人間、決めたことを100%実践できないこともある。そのときは、その事実を受け入れた上で、目標に修正を加えて新たな気持ちで行動すればいい。ところが、真面目な人ほど、小さな失敗に躓いて自信喪失、チャレンジ精神そのものを喪失してしまう。それではいかにももったいない。この教師のような気持ちになれたのも同僚のサポートがあったからに違いない。また実践期間が3ヶ月ほどだから、「実践可能」なものになることも大きい。
 
浜田知明の銅版画 2019/02/19 Tue 6199
 熊本県立美術館で浜田知明氏の銅版画を見た。氏は熊本県の御船町に1917年に生まれた。昨年の7月に100歳で長寿で亡くなっている。まさに天命を全うしたと言うべきである。私の父と同じ年の生まれで親近感が湧いた。
 美術館のHPには、「その作品は、自らの戦争体験に根ざした『初年兵哀歌シリーズ』で戦争の悲惨さや愚かさを告発し、広く注目を集めるようになりました」とある。私が見たのは「初年兵哀歌」がテーマの展示だった。そこには「哀歌」の一部が掲げられていた。その出だしは、私が小学生のころ、誰かから聞いたか、何かで読んだ記憶がある。
 「御国の為とは言いながら 人の嫌がる軍隊に召されて行く身の哀れさよ 可愛いスウチャンと泣き別れ」。私の記憶に残っているのはこの一節である。どう読んでも反戦の詞である。建前では「御国の為」と言って近隣の人たちから万歳で送られる。しかし、本音のところは「人の嫌がる軍隊」に行かなければならなくなった。これで大好きなスウチャンとも会えない。それも帰還できる保証のない「泣き別れ」である。お腹にわが子を宿った妻を置いて戦地に向かった人々も多かったはずである。
パイロットの飲酒発覚 2019/02/18 Mon 6198
 何かが問題になると、あとは止めどもなく同じことが表に出はじめる。日本航空の国際線の機長が飲酒検査で「替え玉」というのも、見出し的には相当に目立った(熊本日日新聞1月10日)。問題の発生は2017年12月だから1年以上前のことである。乗務前の呼気アルコール検査で同乗するもう一人の機長(53歳)が代わって受けたという。
 問題のご本人は59歳とのことで、私としては「二人の関係」の在り方がどうだったのかを知りたくなる。替え玉を頼んだ機長がその便の統括役だったというから、いわば「トップ」なのである。そのまま飛んで、帰国後に替え玉になった機長が会社に報告して問題が発覚したようだ。この点に限れば、少なくとも組織内での隠蔽に至らなかったことになる。
 機長は乗務前日の夕食で、350mlの缶酎ハイ3本を飲んだ。ただし、社内規程の12時間前までには飲酒を終えたというから、「規程違反」ではない。しかし、アルコール好きになると、「タイムリミット」ギリギリになっても、「もう一本」の「一気飲み」といったこともよくある。問題の発覚後は乗務から外されしまったようで、パイロットとしての仕事ができていないことになる。
 
Short shot : 吉田家の教育費 2019/02/17 Sun (5:35am) 6197 continued from yesterday
 父の「年収メモ」には「学費」が 51,880 円とある。これは明らかに、高校生の私と中学生の妹にかかった経費である。これは総収入の 5% ほどに当たる。この当時の高校進学率は 70% 前後である。私は福岡市内の進学校に行ったが、それでも数人は就職したことを憶えている。中学校を卒業した生徒たちが大阪や東京に集団就職していった時代である。因みに私が大学生になった1967年の大学進学率は 17.9% である。同年代の5人に1人しか大学生にならなかったわけだ。当時の授業料は年間で 12,000 円、つまりは月割りにして 1,000 円だった。マスコミで「国立大学は幼稚園よりも安い」と皮肉られていた記憶がある。そのころは私立大学との差が大きく、国立大学の6~7 倍の授業料だったのではないか。
 
高さんからの手紙(100) 2019/02/17 Sun 6196 continued from 2/10
 前回は、高さんが75歳を機に信愛女学院の非常勤講師も辞めたところまで行っていた。その続きである。

 ところが(ここからは自慢話になりますが)その後、岡部という新しい学科長が相談に来て「最近の学生はィンターネットだ携帯だと直接的な対人関係の経験が乏しいのは問題だと思う。本学のグルプワーク中心の授業はぜひ残したい。なんとかなりませんか」と言うので「Creative ODを使えば心理学の専門家でなくても誰でも簡単にできるよ」と言ったら大いに乗り気になり、「もう一度だけ人間関係論の授業をして欲しい。最初から全ての授業に参加して授業方法を勉強するから」ということになり、昨年(2010年)前期にもう一度だけ「対人関係論」に講義名を変更して実施しました。

 こんなわけで高さんは信愛女学院をすんなりと辞めさせてもらえなかった。学科長の嘆きに加えて言えば、このごろは学生だけの話ではない。組織体においても、管理職たちは部下の対人関係やリーダーシップ、そしてコミュニケーションなどにおいて問題があると訴える。そんな時代にあって、「グループ・ダイナミックス」はそれなりに役立つ知見を蓄積してきた。
 
Short shot : 吉田家のエンゲル係数 2019/02/16 Sat (6:15am) 6195 continued from 1/28
 父の年収が100万円を超えた1966年のメモに「支出内訳」が記されている。それによると「食費」が 458,800円である。これは、年収の 45.5%に当たる。「収入」は「税込」だから、おそらく所得の 1/2 が食費に回されていたわけだ。この年、わが国のエンゲル係数は 37.31% だから、吉田家は飛び抜けて高い。父は私が物心ついたときから、ことあるごとに「すき焼き」と言っていた。その当時、肉といえば、鯨や鶏、豚肉だった。そんな中で牛肉である。母が肉屋で牛肉を買うのを見られていたのか、近所の人から「吉田さんところはすき焼き好きね」と言われた記憶がある。その分、母の方はやりくりに苦労したはずだ。
  
 マニュアル問題(83) 2019/02/16 Sat 6194 continued from 2/02 & 09
 連載「マニュアル問題」は本コラムで最も旧いシリーズです。そんなこともあって、連載していることを「忘れ」、それを「思い出し」、「また忘れる」を繰り返しています。私としては「日本列島劣化物語」の「大河シリーズ」と考えていますので、これからも同じことになるでしょう。
 そもそも「カムチャツカ半島のひょうたん島物語」を書いたのは、今世紀になってすぐのことでした。これは私の「日本列島劣化論」です。この物語は附属中学校の校長時代にも生徒たちに話しました。それは2003年のことです。じつに幸い(?)にも、その後もこのタイトルではネタ切れの心配はまったくありません。それどころか、毎日のように取り上げられるあらゆる組織の「不祥事」は詰まるところ「規則・マニュアル違反」あるいは「基本無視」に集約されます。
 こうした状況ですから私一人が騒ぎまくっても、曲がりなりにも分析できるケースは1000億分の1にも達しないわけです。そんなこんなで、またぞろ連載を再開したのでしたが、ここに来て「厚生労働省」のデータ問題が突出し、〝Short shot〟で取り上げたものですから脇道に逸れたわけです。その結果、「連載」していることが曖昧になってしまいました。今回の不正問題も「Short」にしないで「本チャン」として取り上げたほうが良かったですね。
Short shot : 「道具」がポイント 2019/02/15 Fri (4:44am) 6193 continued from yesterday
 某社の「NASA」導入案内の最後に「なお、解答のみ知りたいというご要望はお断りしております。解答等は資料をご購入頂いたお客様のみお伝えしております」とある。こうした記載は「答だけがほしい」という人がいることを推測させる。まあ、世の中には様々な人間が暮らしている。その中にはかなり調子のいい人もいるから、「答だけ知りたい」という声があってもとくに驚くことはない。ところで、私はかなり昔に「NASA」を卒業したが、こうした「道具(instruments)」がビジネスになるんだなあと思う。私自身「教育・研修では、教師や講師を含めて『道具』であり、その開発こそがポイントだ」と言い続けてきた。
Challenge the 人生(8) 2019/02/15 Fri 6192 continued from 2/08
 Aさんがこうした私の心中を見透したかどうかは不明ですが、それからさらに続けたのです。

 そんなわけで、私はまもなく辞めるのですから、教育担当者に「研修には行かなくて良いだろう」と聴きました。これに対して「もう人数分の予算も支出しているし、うちの研修所は食事もうまいから楽しんでくればいい」などと半ば冗談を言いながら取り合わなかったのです。そうした状況で、私は「今さら研修など受けても意味がない」と思いながらここに来たのです。そしてその気持ちはずっと続いていましたから、皆さんには「やる気のない」ことがしっかりわかったと思います。
 ただ、2日目のお昼ころからその気持ちが少しばかり揺らぎはじめました。それは私よりもずっと若い数人の管理職の方たちが「部下との関係の創り方」などについて思い悩みながら何とかしたいと真剣に考えていることがわかってきたからです。そこで私は自分が管理職として仕事をしてきた期間を振り返りました。正直なところ、「部下との関係創り」などについて気を配ったことなどありませんでした。自分は若いころから仕事をしっかりできるという自信をもっていましたから、管理職としてはそれで十分だと思っていたのです。
Short shot : 「NASA」のパターン 2019/02/14 Thu (5:06am) 6191 continued from yesterday
 某社の「NASA]の【講師派遣】は「15万円〜」だから、30名前後だと複数の講師がやって来ることになるのだろう。そうなると、20万以上は確実だろう。参加者が100名ともなればどのくらいなのか想像がつかない。さらに、「準備工数を掛けずに実施したい方へ」として、実施するために必要な「カード、ボード、運営スライド(ppt形式)、ワークシート(PDF形式)、ファシリテーター向け動画マニュアル」を提供しているという。もちろん「有料」である。これについては「問い合わせフォーム」があり費用の記載はない。おそらく、「使用の条件や制限」を了承した上で、自分たちで実施できることになっているのだろう。
 
授業後のミニメモ 2019/02/14 Thu 6190
 現在、私は「熊本大学大学院教育学研究科教職実践開発専攻」の所属である。その立場では学部の授業はしないことになっている。ただし、これまでの経緯から教育学部の課程に共通した「教職専門科目」として学部3年生に「教育情報科学」というタイトルの授業をしてきた。これは、1993年度にスタートしたもので、私にとって楽しい授業である。ある年は女子学生と韓国からの留学生の2人のこともあったが、おおむね20名ほどが受講する。この授業には教職を目指す文学部や理学部の学生たちも含まれる。
 先だって、私のホームページを紹介したら、授業後のミニレポートに「わざわざホームページをつくらなくても、今の時代ツイッターにでも書けばいいんじゃないかと思った」とだけ書いた学生がいた。授業は4限目で「気が遠くなる時間帯」に含まれる。そんな悪条件下で90分も話を聴くのは大変に違いない。そんなことも考慮して、「太平洋間で史上初の宇宙中継」の日に「ケネディ暗殺」の衝撃が重なったことなどを伝え、当時の映像等も交えながら授業を展開した。その結果のレポがこの一文だったので、「気を失っていたんだろうなあ」と推測して笑ってしまった。
 
Short shot : 雑音効果 2019/02/13 Wed (4:55am) 6189 continued from yesterday
 グループ数が「3」を超えると「雑音効果」が生まれる。「雑音」だから内容はわからない。そして、その「雑音」に負けないように自分たちの声もボリュームが上がる。これが「雑音効果」をさらに高めていく。そんなわけで、私の研修プログラムでは「最少3グループ」が期待値で、できれば「4グループ」はほしい。いわゆるツアーで言えば「最少催行人員」は「6人×4グループ=24名」となる。某社では「NASA」の【レンタル】が「3万円〜(10名までの場合)」とあるから、24名だと5~6万円くらいになるのだろうか。これに【講師派遣】として「15万円〜」という記載がある。所要時間は1時間半である。
 
「中堅教諭等資質向上研修」受講者の声(21) 2019/02/13 Wed 6188 continued from 2/06
 1年間にわたり、研修をしていただき、ありがとうございました。先生の研修で目標を立て実践し自分で振り返るだけでなく、先生からのアンケート結果をもとに分析することで〝見えている姿〟がよくわかりました。また研修内でグループの先生方と話をすることで、より自分の目標が明確になったり、これから頑張っていこうという意欲が高まりました。子ども達にも学期はじめに「めあて」を書かせますが、今回私も自分のめあて、目標を掲げたことで、それを意識して行動することができました。今日立てた目標を3ヶ月後に達成できるように取り組んでいきたいと思います。ありがとうございました。(小学校教諭 女性)

 われわれは、仕事に関して「目標」をもっているようで、いざ、それは何だと自問すると、その答えに窮することがある。この研修では、つぎの回までに実践する「具体的な行動」を設定する。そして、その実践度を職場の同僚から評価してもらう。それも「評価」と言うと堅くなる。そこで私は「実践している行動が皆に見えているか」を知るために「見えてますかシート」なるものを使う。これがけっこううまく働いてくれる。
 
Short shot : グループ数 2019/02/12 Tue (4:36am) 6187 continued from yesterday
 メンバー数は「6人」を原則にしているが、グループ数にも一応の基準はある。まず「1グループ」だと部屋中に6人の声だけが響き渡る。たしかにグループはできているが、私に言わせれば「グループワーク」とは言えない。これが「2グループ」になるとどうか。まだまだ「グループワーク」とは認定しづらい。一方のグループがにぎやかだと、もう一つは引っ張られてしまうからだ。おとなしい方のメンバーが「あっちの方が面白いこと言ってる」なんて思ったら最後、耳はウサギのようになって気持ちが入らなくなる。それが「3グループ」までいくと、「雑音効果あるいは騒音効果(noise effects)」が生まれる。
 
公開講座「リーダーシップ・トレーニング 2002」 2019/02/12 Tue 6186 continued from 2/05
 それまで10年に亘って続けてきた公開講座「リーダーシップ・トレーニング」だったが、2002年になって「予期せぬ事態」が勃発した。私が附属中学校の校長になったのである。
 大学の附属学校の校長、あるいは園長は、その多くは当該学部の教員が兼任する。それぞれの学校には副校長がおり、こちらが一般の校長にあたる。その意味では附属学校の校長職は必ずしも「その道のプロ」ではない。それでも校長の資格要件として教員免許をもっていることが前提とされていた。私はしっかり無免許で、そもそも校長として「無資格者」であった。
 そうした事情とは関わりなく、そもそも私自身が「附属学校の校長」は「完璧に無縁」のものであり、そうした立場につくなど頭の片隅にもなかった。ところが、教育現場で厳しい問題が多発し、「学校の責任者」に「組織マネジメント力」が必要だとの議論されることになった。その結果、2000年になって、校長だけは教員免許をもっていなくても可とされたのである。私はその情報は得ていたが、それでも自分が附属学校の校長に指名されるなど夢にも思っていなかった。
 ところが、2002年1月10日に衝撃が走った。
 
Short shot : 「NASA」の費用 2019/02/11 Mon (5:28am) 6185 continued from yesterday
 「NASA」をビジネスゲームとして提供している会社のホームページによると、【レンタル】が「3万円〜(10名までの場合。詳細はお問い合わせ下さい。)」となっている。そしてゲームで使用する道具はじつにカラフルである。メンバーが10名といえば、きわめて小規模である。私はグループワークをする際の基準を「6名」としている。それがむずかしい場合は「5名」も「可」である。ただし、「4名」と「7名」は原則として避けることにしている。メンバー数は科学的根拠ではなく、私の経験的基準によっているが、「4名」では他者から得る情報が少なすぎる。一方で、「7人」だと時間がかかってしまう。
 
遠き思い出(最終回) 2019/02/11 Mon 6184 continued from 2/04
 「センターニュース」も発刊していました。それを見ると、ある時期には附属幼稚園児も含めて児童生徒たちがやってきて、センターは大賑わいだったことがわかります。たとえば1990年にはセンターの延利用者数4846名で利用回数は461回に及んでいます。とくにコンピュータが導入されたときは、附属小中学校の児童生徒、学部学生、そして一般の先生方で一杯になるときもありました。公開講座で活用されたのも懐かしい思い出です。
 また昔はそれなりの運営経費がついていて、熊本大学でカラーコピー機を導入したのは、何と「センター」が「第1号」だったのです。そして、資料等で必要だというので、大学の本部事務局から職員の方がカラーコピーを使いに来訪されることもありました。
 私にとっては職業人としての生活を「センター」で過ごさせていただきました。そうした中で、昨年度に教職大学院が発足し、私の所属はセンターではなく大学院に換わりました。それでも研究室はそれまでどおり「センター」のままです。そんなこんなで、私は40年以上に亘って「センター」にお世話になり続けてきました。それも残すところ二ヶ月を切りました。
Short shot : 懐かしや「NASA」 2019/02/10 Sun (5:51am) 6183
 「高さんからの手紙」で「NASA」に久しぶりに出会ったので、ネットで検索してみた。するとビジネスゲームを提供する会社が出てきた。それによると、【対象人数】4〜100名以上(1チーム 4〜6名推奨)とあり、【実施時間】1〜1時間半になっている。「NASA」で100名以上もありということになる。「ほおーっ」と思いながらも、「自分だって、看護協会のリーダーシップ研修で100名以上のグループワークをしたよなあ」と苦笑いする。なんだかんだ言いながら、私は〝Yes man〟を人生における「行動基準」としてきた。「〇人以上はアウト」なんて回答はあり得ない。さずがに「原則として」という条件は付くが…。
高さんからの手紙(99) 2019/02/10 Sun 6182 continued from 2/03
  鹿児島では「集団力学 -集団に於ける人間関係の研究-」というテーマでNASAなどを中心に講義一切なし全てグループワークという授業を行いました。私学財団から「特色ある教育研究」ということで130万円くらい補助金をもらいました。久留米信愛短大ではこのプログラムを基礎にして大体同じような内容の「人間関係論」を非常勤を含め20年間実施しました。実は小生「学生と教員の年齢があまり離れすぎるのは問題だ」などと退職前に学長などにも話していたので自分自身は75歳(2009年)で非常勤講師も一度止めたのです。

 「NASA」はグループで問題解決を目指すコンセンサスゲームである。月まで飛んでいったのは良かったが、不具合が起きて母船から離れた地点に不時着した。そこで200マイルを歩くことになった。手元には、破壊を免れた「マッチ」「宇宙食」「ピストル」など15の品物がある。これを活用できる順にリストアップするというものである。その詳細は省略するが、昨年、ある現職教師の発表で「新バージョン(?)」が使われていることを知った。「それって50年近く前からあるんですよね」と言わずもがなのコメントをしてしまった。
 
Short shot : 誰かがやっちゃったら… 2019/02/09 Sat (6:32am) 6181 continued from yesterday
 職場全体に「どうせ言っても聴いてもらえない」という不満の空気が充満する。そんな中で、誰かが「えーい、やっちゃえ」と逸脱行為をしたらどうなるか。まずは気づいた者がいさめて元に戻す可能性がある。しかし、場合によっては「見て見ぬ振りをする」ことがあるかもしれない。また、「そうだ、そうだ、やっちゃった方がいいんだ」と心のなかで同調すれば「よくやってくれた」と手を叩くこともあり得る。それに自分がここで問題を上に知らせれば「チクり」になると躊躇する。あるいは「下手に言ったら、せっかくの『改善(?)』が潰される」と考えれば、「止めとこう」となる。とくにリーダーへの不信が強ければそうなるのは当然である。
 
国連分担金 2019/02/09 Sat 6180
 先日、国連総会の第5委員会で、2019〜21年の国連通常予算に占める日本の分担率が2位から3位になるという記事を読んだ。中国が3位から2位に上がった結果である。分担率は各国の国民総所得(GNI)などを基に決めるらしいから、中国の経済が大きくなったことによる当然の結果である。これによって国連における日本の発言力が低下することが懸念されるという。これまた当然である。国連の沙汰も金次第というわけだ。
 日本が目指す安全保障理事会の常任理事国入りも難しくなりそうだと書いているが、現在の中国との関係が変わらない限り実現は不可能である。わが国のピークは2000年で、このときは20.57%で、アメリカに近づいたが、このごろは低下し続けているという。それでもドイツやフランス、英国よりも多いのだから国連への貢献度はまだそれなりに維持しているのである。
 ともあれ、この件に限らず、自分たちに「不都合な」あるいは「愉快でない」ことであっても、まずは事実を受け止めることが肝要である。そこで無理な理屈やこじつけをつけても、それは一時的な気持ちの慰めにしかならない。真の問題解決は事実を押さえることからはじまる。
Short shot : 問題の共有化 2019/02/08 Fri (5:58am) 6179 continued from 2/05
 職場に潜在的な不満が蓄積されていく。組織のリーダーはそうした空気を感じ取る力が求められる。直ちに不満を解消できなくても、まずは「そうした問題があること」を理解し共有する。「あなた方の気持ちはよくわかる。私も同感だ。そこで何とかしたいと思う。まずは…からはじめてみたい」。「…」の部分は様々なものが入るだろうが、可能な限り「目に見える行動」が望ましい。ここでほとんど実現不可能なことを宣言すると構成員たちの納得が得られない。ともあれ、「気持ちを共にする」ことが重要なのである。こうした関係ができていなければ、「言いたいことも言えない」「言ってもどうせ聴いてもらえない」欲求不満が高まる。
Challenge the 人生(7) 2019/02/08 Fri 6178 continued from 2/01
 研修中に体中で「やる気がない」霧を発散していたAさんが「3月に退職するんです」と衝撃的なことを口にしたのです。おそらく参加者の方はその事実をご存じだったと思います。つまり、知らなかったのは私だけだったのでしょう。それはともかく、私としては驚くしかありませんでした。
 その後すぐにAさんは追い打ちをかけてきました。「先生も最初の日から私のやる気のないのは分かったでしょう」。ここまでストレートに突っ込まれたのです。そこで一気に気が緩んで、「ああ、やっぱりそうだったんですね。私もそんな雰囲気をひしひしと感じていましたよ。いやあ、その理由が今わかりましたあ!」なんて、そんなことは間違っても言えませんよね。なにせ、私は「プロ(?)」なのですから。
 そこで、冷静さをしっかり装いながら、まずは「ああ、そうだったんですね」と応えました。ここは鈍感だと思われてもいたしかたありません。私の反応に対してAさんがどんなことを言われるだろうと、私はおそらく構えたと思います。とにもかくにも、私としてはせっかく盛り上がっていた研修を締めくくるべき「一分間メッセージ」がAさんの発言で大失速する可能性があることを覚悟したのです。
 
Short shot : 冬の青空 2019/02/07 Thu (6:38am) 6177
 表紙写真のもう1枚は熊本市内の快晴の空である。もちろん撮影したのは2月だが、ビルの間の空間に、すでに春の息吹を感じさせる青空が広がる。写真は四車線の道路の一方から撮ったので、まるで超広角レンズを使用したような雰囲気が出ていてなかなか良い。数本の木々に葉が付いていないことから、まだ春までは時間があるとの季節感もある。このときは「青空」をしたかったのではなく、寒い季節に「ふっ」と息を吐いたときのような風情の「雲」を見てシャッターを切った。こんなときのために、小さなデジカメを持ち歩いている。
 
賽銭回収の形 2019/02/07 Thu 6176
 大晦日から新年にかけて、京都にある8つの寺社を巡った。さらに熊本に帰って加藤神社に出かけた。この全部から御利益があったらどうしようかと心配している。
 さて、そのうちのある神社でのこと。まだ高位ではないと思われるが白装束と赤袴の神職が、そこここに設置されている賽銭箱から「お金の回収」作業に「没頭(?)」していた。これを見た人が「あれはないなあ」と小声でささやいた。私もそれに同意した。たしかに「回収」は大事な仕事である。とりわけ年末年始は「書き入れどき」だから、頻繁に「仕事」するのは当然である。ただ、それにも「やり方があるだろう」というのが、その人と私の共通した認識だった。
 あれでは、郵便局員がポストから書状やはがきを回収している素振りとまったく変わらない。たとえば、まずは合掌して、それらしき布、それも神々しさを感じさせる雰囲気を醸し出すもので覆うなどの演出はいかがだろうか。たしかに、猫の手を借りても足りないほどの繁忙期である。これを二人一組でやれというのは無理難題に違いない。
 ともあれ、寺社もまた資本主義の世界における「法人」ということか。それを理解した上でありがたくお参りさせていただくべきなのかもね。
Short shot : 冬の日本海 2019/02/06 Wed (6:44am) 6175
 今月の表紙は対照的な2枚の写真を選んだ。いずれも2月に撮影したものである。まずは北陸の日本海の雲間に見える太陽である。その時刻は17時すぎだから夕日である。それにしても海岸に打ち寄せる波はいかにも冬の日本海といった迫力がある。すべての生物のスタートは海だという。その海もときには穏やかだが、またきわめて厳しい表情を見せる。風が波を強め、また地殻の変動が津波を産み出して陸地に襲いかかり、そこにあるものをなめ尽くすように押し流していく。さらに、その水が海に戻る際にもあらゆるものを飲み込んで連れ去っていく。あのときは、そうした自然の力を前にして、人間はただただ呆然としていた。
 
「中堅教諭等資質向上研修」受講者の声(20) 2019/02/06 Wed 6174 continued from 1/30
 吉田先生、今年度はリーダー研修をどうもありがとうございました。私は93年に熊大に入学し、先生の講話を聞いていました。けれど、あの頃は進路的にも迷い、怠けた学生だったと思います。思えば、二校目の臨採でA中へ行ったのが第一のターニングポイントであったと思います。養護教諭の仕事のやりがいを知った頃でした。それから10年たち、リーダーと呼ばれるようになり、自信がもてなかったのですが、この研修をうけ、先生方から5点のシートをもらうと、すごく嬉しく、またやる気が出てきたような気がします。10年研修の目玉である「対人関係トレーニング」を受けることができて良かったと思います。本当にありがとうございました。(小学校教諭 女性)

 私の研修を「目玉」だと言っていただけるのは気が引けるが、単純に嬉しい。引用にあるように、私は教育学部の養護教諭課程の3年生にかなり長いこと授業をしていた。それもすでに3年前に終了したが、「怠けた学生」が「しっかりと省察ができる教諭」として成長されたわけだ。まさに、「めでたしめでたし」である。人生のターニングポイントは、それを求める人をいつも待っている。
 
Short shot : 組織内「品質保証」 2019/02/05 Tue (6:20am) 6173 continued from yesterday
 構成員たちが「どうせ変わるわけがない」とあきらめれば、目に見える問題は起きない。しかし、多忙さの中で「全数調査なんて意味がないのに」といった不満が職場に拡散する。その時点で、仕事に対する誇りなど期待できなくなる。そうした状況では働く人間の「心の品質低下」が避けられない。仕事をする人間の「品質」が保証されないのに、そこで「高品質」のアウトプットが産み出されるはずがない。組織は自らの製品やサービスの向上をアピールする前に、「組織内品質保証」に真面目に取り組むことが求められる。そこを軽視していると、短期的には「成果のようなもの」は得られるかもしれないが、いずれ「不満のマグマ」が噴出する。
 
公開講座「リーダーシップ・トレーニング 2001」 2019/02/05 Tue 6172 continued from 1/29
 新世紀になった2001年は公開講座「リーダーシップ・トレーニング」開講10周年でもあった。前年までで受講者の累計が656名になっていたが、記念すべきこの年にそれが728名と、700の大台を超えた。めでたし、めでたしである。
 じつは数年前から「申し込んだけれど定員一杯で受講できなかった」という声も聴かれるようになっていた。こちらとしては定員をある程度は超えることで対応していたが、仕事の都合があって、「どこでも可」というわけにいかないのは当然である。しかし、そうした状況は私に「これは止められない」という気持ちを高めるとともに大きなエネルギー源となった。
 この年は「Aコース」の7月26日~28日を皮切りに「Bコース」が8月23日~25日と続き、「Cコース」は9月21日~23日まで、いずれも「木・金・土」の開講だった。最後の「Cコース」には大学院で授業を受けている院生3名も定員外で参加した。こちらは授業の一環としての受講であるから公式の参加者リストには含まれない。日程はそれまでどおりの「3日間で20時間」だった。ところが翌年に予期しなかった事態が発生したころから、この「コース」は最後になった。
 
Short shot : はじめは雑談から? 2019/02/04 Mon (6:06am) 6171 continued from 2/02
 人員が削減される一方で仕事量は増え続ける。そんな状況で「全数調査なんてしなくて良いのではないか」という会話が雑談的に交わされることがあったとしても、それ自身には何の問題もない。さらに、「これをサンプリングにすることを上司に訴えよう」という会話があっても当然である。そして、それが公式に検討されるといった段階を経て「全数調査」が変更されるのであれば、これまた問題は微塵もないのである。ここで欠かせないのがちゃんとした手続きをとることだ。「そんなこと言ったって、どうせ変わるわけがない」。構成員の多くがこうした認識でいたらどうなるか。自分たちの希望が叶えられないのだからあきらめるしかないか。
 
遠き思い出(9) 2019/02/04 Mon 6170 continued from 1/28
 「教育実践研究指導センター」が「教育実践総合センター」に改組され、2002年には「ユアフレンド事業」がスタートします。これは熊本市教育委員会と連携したもので、学生が不登校の子どもの自宅に訪問して関わりを持つことを基本的な目標にしています。学生たちには「自分の働きかけで子どもが学校に行けるようにしようと考えないこと」を強調します。あくまで「ユアフレンド」なのです。これは「熊本大学としての看板」にもなっているようですが、実際は当初からセンターが担ってきたものです。
 また、1996年からセンター主催の「シンポジウム」を開催していました(第1回目:「学校教育における問題解決のための方途を探る)。第4回目の「学校教育における問題解決の展望 -社会・家庭・学校の連携を求めて-(1999年1月26日)」にはシンポジストの一人として慈愛園乳児ホーム園の潮谷義子氏にご登壇いただきました。私は熊本県教育委員会の委員等でご一緒していたことがあり、お誘いしたのでした。潮谷さんは、その年の4月に熊本県副知事に就任され、翌年には知事当選という、センターにとってちょっとしたエピソードが生まれました。この研究シンポジウムは第15回(2011年)が最終回になっています。
 
Short shot : ITAZUKE BASE in 福岡空港 2019/02/03 Sun (6:56am) 6169
 福岡空港の敷地内には民間空港では唯一の米軍専用区域がある。これは民間空港ではわが国でここだけらしい。その場所は国際線駐機場の南東側で約23,000㎡である。これは空港敷地の約0.7%に当たる。そこに貨物兼旅客ターミナルがあって空軍が管理しているという。さらに滑走路など空港施設の一部は日米共同使用区域ということで、全体の約14.4%が「米軍板付飛行場」なのだそうだ。私が大学生だったころは現在の国際線の場所に〝ITAZUKE BASE〟があった。そして、1968年6月2日には、米軍の戦闘機ファントムが、九州大学で建設中だった大型電子計算機センターに墜落し炎上する大事件が発生したのである。
 
高さんからの手紙(98) 2019/02/03 Sun 6168 continued from 1/27
 私は熊本大学に移籍したが、それからしばらくして学生たちが鹿児島に招待してくれた。まことにありがたいことで、当日は喜んで出かけていき、皆と楽しい時間を過ごした。その会合には高士与一氏も参加されており、会合が終わってから鴨池の高層アパートにあったご自宅に泊めていただいた。このときはじめて奥様とお会いした。ご夫婦が仲睦まじく、高士氏が「ママさん」と呼ばれているのがじつにほほえましかった。その日の数時間のことは今でもはっきりと記憶している。
 それから30年以上も経過した高さんとの会話で高士与一氏が私のことを「副担任か何かだった」と想起してくださったのである。まことに嬉しく、ありがたいことである。私の手元に学生たちとの集合写真がある。そこでは高士氏と私、そして18歳から19歳の学生たちがにこやかに笑っている。この写真を表に出すことはほとんどない。ただし、私の「失敗は自慢話に」のネタを使う際の予備として控えのスライドに入っている。それは短大赴任後に授業の準備で苦労した話である。
 私の鹿児島時代に関わる思い出の中で、高士与一氏は優しい風貌とともに存在し続けている。
 
Short shot : 翼の上を覗く? 2019/02/02 Sat (6:05am) 6167
 私はしばしば「聞きちがい」や「思いちがい」体験をする。飛行機に乗ると必ず安全に関する案内がある。シートベルトをはめるとか、酸素マスクが降りてきたらどうするといったことである。これは相当に昔のことだが、その中に「翼の上を覗く非常口から」といった表現が繰り返されていた。大多数の客はこうした案内を漫然と聞いているのではないか。まことに申し訳ないながら、私もその一人である。ただ、この「セリフ」だけはいつも気になっていた。「翼の上を覗く?」である。しばらく聴いているうちに、あるとき「覗く」ではなく「除く」だと「ひらめいた」。すでに1年は経過しており、わが「日本語力」に苦笑した。
 
マニュアル問題(82) 2019/02/02 Sat 6166 continued from 1/26
 このところ、国が出す統計についての信頼が揺らいでいます。賃金に関する統計のうち、東京都は全数調査だったのに1/3ほどのサンプルにしていたというのです。これはマニュアル違反ではなく決まりを守らないのですから大問題です。そこに悪意や故意はなかったかのような説明がなされていますが、悪意はともかくも故意でなかったとすれば、別の問題が生じてしまいます。そもそも問題であること自身に気づかなかったというのでしょうか。
 もしもそうだとすれば、これまた大問題でしょう。それなら統計を扱っている人たちの能力が疑われます。素人ではあるまいし、長期に亘って問題があることさえ気づかないというのですから、冗談でしょうと言いたくなります。
 ここでいつもの「邪推」をしてみましょう。このごろはどこもここも人員削減が進められた結果、仕事の負担が増大しています。そんな中で、統計に関わっている人たちの間で、「こんなの全数を調べなくってもサンプリングですむんだよなあ。そのためにこそ推計学だってあるんだから…」といった主旨の会話が交わされた可能性はゼロではないでしょう。それが雑談程度であればとくに否定されるべきものではありません。
Short shot : 板付基地 2019/02/01 Fri (6:45am) 6165
 福岡空港の敷地内に米軍の専用区域があることをご存じだろうか。そもそも福岡空港は日本陸軍が板付空港として1944年に建設したものである。日本を占領した米軍が接収して「板付空軍基地」として使用していた。私が中学2年生のときに父の転勤で福岡に引っ越した。当座は現在の春日原近くの借家に住んだが、すぐに香椎の公務員宿舎に移った。そのころは毎日のように板付基地から米軍の戦闘機が訓練で離着陸を繰り返していた。博多湾上空からしばらく経過すると猛烈な破裂音が聞こえた。これが音速を超えた際に発生する衝撃音だと聴いたことがあった。空港の管制は民間機も含めて米軍が取り仕切っていた。
 
Challenge the 人生(6) 2019/02/01 Fri 6164 continued from 1/25
 研修最後の「一分間メッセージ」の時間は「意欲満々」の声にあふれ、場全体が盛り上がります。ただし、このときはAさんがそうした雰囲気を壊しはしないかと思いカットすることも考えていました。ところが昼食の際に受講者の一人から「昼食の後に書いてある『一分間メッセージ』って何ですか」と聴かれてしまいました。はじめからスケジュール表に入れていたのです。
 そんなわけで、Aさんのアクションに不安を感じながらも「一分間メッセージ」をはじめました。このときも、スタートから最高に良い雰囲気で「前向きのメッセージ」が続いていきます。そして、いよいよ9番目にAさんの番が回ってきました。メッセージを発信するときは、誰もが前に出てきてすぐに皆に向かいます。これに対してAさんはいきなり私に向かって声をかけてきました。「先生はご存じないのですが、じつは私はこの3月に退職するんです」。私にとっていきなりの発言でした。
 今日は12月も終盤ではありませんか!「ああ、そうだったんだあ!」。私は心のなかで、Aさんが研修の期間中に見せたやる気のない態度の原因がわかって、思わず叫びそうになりました。それと同時に「やっぱり『一分間メッセージ』はやめておいた方が良かった」と思ったのです。