熊本人 2013/10/31 Thu 3968
私が熊本で最初に住んだ街、大江はいわゆる文教地区である。県立劇場や市立図書館などの文化施設、熊本学園大学、九州学院高校、開新高校、慶誠高校、熊本高校といった教育文化に関わりの深い施設や学校がある。熊本が誇るジャーナリスト、歴史家である徳富蘇峰と、小説〝不如帰〟などで知られる弟の蘆花が少年時代を過ごした住居跡に〝徳富記念館〟がある。現在の熊本県立劇場には県立熊本女子大学があった。熊本に来たときは間もなく移転するという状況だったが、そのキャンパスに出かけたこともある。現在は熊本県立大学として男女共学になっている。ほんの10分ほど歩くと藤崎宮がある。こちらは秋の例大祭がなかなかすばらしい。鳴り物入りの馬追はまことに迫力がある。初めての年は朝早くからカネやラッパの音が鳴り響いて、何が起きたのかと驚いて宿舎のベランダから身を乗り出して見物した。また住宅の目の前は堂免公園というしっかりした公園がある。さらにバスに乗れば、10分程度で熊本の中心街に行けるのである。また中央消防局もあって、いざというときのためにはまことに心強い。
そんなこんなで、とびっきり恵まれた環境で生活することができたのである。家内も私もそもそもは福岡の出身だが、熊本に来てからすでに34年が過ぎた。夏はとびっきり暑くて、冬はしっかり寒い。そのことを熊本の人たちは、やや自虐的に表現する。たしかにその通りだと思う。しかし、福岡だってとりわけ都心など、まさにアスファルトジャングル、自分が焼き鳥になった気分を味わう。冬にしても玄界灘の冬は厳しくて、風がピューピュー吹き付けてくる。熊本だけが暑いの寒いのと嘆いていることもない。まあそんなわけで、いまやすっかり熊本人になっている。 |
教養部開門 2013/10/30 Wed 3967
教養部に押しかけた学生たちは正門を破壊して構内に入ろうとした。学生たちは教養部を根城にすることを宣言していたから、大学側はあらかじめ門に錠を掛けていた。そのために正門が揺れて、きしみはじめる。このままだと門は壊れてしまう。そうなると学生たちは器物破損の現行犯になる。そのぎりぎりのところで大学は門を開けたのである。当時は、大学の要請がなければ警察は構内に足を入れないことになっていた。その根拠は〝学問の自由〟を保証するということで、国家権力がそれを侵してはならないとされていたのである。いわゆる〝大学の自治〟が強調され、まさに〝治外法権〟という状況が実現していた。そこには戦前の思想弾圧の歴史もあった。それ以上に、そもそもヨーロッパで大学が生まれたときから、大学は権力の影響を受けないことになっていた。
そのときの教養部長は池田数好(かずよし)氏だった。精神医学、とりわけ森田療法を研究するカウンセリングの専門家で、所属は教育学部であった。その池田教養部長が正門前の混乱を避けるために門を開けることを決断したのである。このままだと正門が壊れ、学生たちが器物破損の現行犯で逮捕されるおそれがあった。現在の基準であれば、〝ものを壊せば捕まって当然〟と言われるだろう。しかし、その当時は〝大学の自治〟や学生たちの度を過ぎた活動にもある程度の理解を示したり、〝困ったものだ〟という程度の評価で終わったりする時代雰囲気があった。まだ戦後20年を少し過ぎたばかりでもあった。もちろん開門は苦渋の選択だったことは容易に推察できる。九州大学の年表には、1968年1月16日の覧に〝博多駅事件、教養部開門事件〟として記録されている。あれはやはり〝事件〟だったのだ。 |
大学入学のころ 2013/10/29 Tue 3966
生来の引っ込み思案(?)について、同意していただくかどうかは別にして、同窓会ではお若い方々にリードされながら、私もその場の雰囲気に包み込まれてきた。そうなると、もともと厚かましさでは負けない商売をしているから、ついエンジンがかかってくる。そして定番とも言うべき〝あの学生時代〟の自慢話がはじまるわけだ。私が大学に入学したのは1967年だが、この年10月には羽田空港での〝佐藤首相ベトナム訪問阻止闘争〟で、デモ隊の中にいた京大生が亡くなった。〝仲間の運転する警備車に轢かれて死亡した〟とされている(Wikipedia)。それは、その後の〝学園紛争の嵐〟を予感させる衝撃的な事件であった。
そして翌1968年1月にはアメリカの〝原子力空母エンタープライズ〟が佐世保に入港することが明らかになる。これを阻止しようとする学生を中心にした勢力が国内から福岡市の六本松にあった九州大学の教養部に終結してきたのである。ヘルメットをかぶり、タオルで顔を隠した集団が列車で博多駅に降りる光景が全国ニュースとして流された。博多駅に着いたとき警備に当たった警官隊が彼等400人と衝突した。これに対して当時の法学部長だった井上正治氏が〝過剰警備〟だとして抗議することになる。その後も井上氏は国との対決姿勢を前面に出して全国にも知られるのである。ともあれ、学生たちは博多駅から教養部へと向かった。当時の学生会館を〝闘争基地〟にして、現地佐世保との間を往復したのである。このときも九大の敷地内に入るのを阻止しようとする機動隊と学生たちが正門前で対峙した。教養部の門は閉じられていたのである。それを突破しようと学生たちが門を破壊したりすれば逮捕されることになる。まさに緊迫した状況となった。 |
同窓会の若者たち 2013/10/28 Mon 3965 Continued from 09/16
大学の同窓会で法学部を卒業した方々と同じテーブルに座った。そのメンバーがじつに若い人が多いのである。およそ同窓会とは年寄りばかりが集まるものと思い込んでいる。その私の先入観が目の前で打ち砕かれていた。〝それにしても、どうして若い人が多いんだろう…〟などと思っていたら、それに答えるかのように1人の女性が名刺を持って私の方に近づいてきた。〝弁護士の○○です〟。なんと弁護士さんだったのである。それからもうお一方は銀行にお勤めだった。それでふと思い出した。このごろは弁護士の数が猛烈に増えて、若い人たちは苦労している。そんな話を大学時代から友人でいる弁護士から聞いたのである。われわれが若いころは、弁護士といえば超少数のエリートだった。わが国で最もむずかしいといわれた司法試験を合格した人たちなのだ。もうそれだけで尊敬され、庶民の手が届かないほどの所得があっても当然だという雰囲気があった。それもいまは昔の物語ということなのだろうか。とにかく厳しい時代を迎えているのだという。そんなことから、同窓会といった機会も活かすことが必要になってきているのだと納得した。
それは銀行にお勤めの方も同じだろう。とくに金融界での競争が激しくなって、銀行も株式や投資信託、はたまた生命保険なども商品として扱うことになった。こうなると、それぞれの業務に応じた資格を取らなければならなくなるらしい。さてさて、かくして、とりあえずは同窓会では理事などという大役を仰せつかっているにもかかわらず、若い方に先手を取られたわけだ。これはご存じの方も多いと思うのだが、私はとりあえずしゃべることを仕事にしている。それにもかかわらず、けっこう引っ込み思案なところがあるわけだ?! |
栄華の末 2013/10/27 Sun 3964
〝書斎〟と呼べるかどうかは別にして、私にも一応の仕事部屋がある。はじめて熊本に来たときは大江の公務員宿舎〝白川住宅〟に入居した。大江は熊本市の中心部だが、住宅は熊本駅に繋がる幹線道路から1ブロック奥に入った閑静なところにあった。お向かいが市立白川中学校で、子どもたちは歩いて1分という願ってもない通学距離を楽しんだ。わが家は中学校に面していて、授業中には教師の声が聞こえてくるほどだった。そのおかげで(?)、わが家の関係者(?)の行状の一端も垣間見ることができたほどである。当事者たち(?)はさぞかし過ごしにくかったのではないかと、いまになって思う。
熊本に来たのは1979年10月である。その翌1980年2月には熊本ダイエーが鳴り物入りで開店した。超大手のスーパーとあって、地元商店関係者の不安と抵抗が大きく、規模を大幅に縮小したということだった。開店当日はもちろん、しばらくは周辺道路が大渋滞していた。創業者の中内功氏もやってきてその盛況ぶりに大満足したらしい。ダイエーはその年に売り上げが業界初の1兆円を突破した。まさに小売業界のトップとして他を寄せ付けない栄華を誇ったのである。あれから34年が経過した。現在もダイエーは存在しているが、経営的には奈落の底に落ち込んで、イオンが44%を超える筆頭株主となり、言わばその傘下にある。〝祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす おごれる人も久しからず ただ春の世の夢のごとし たけき者も遂には滅びぬ 偏に風の前の塵に同じ…〟。中内氏たちが〝おごっていた〟かどうかは知らない。しかし、ダイエーの現状を目の当たりにすると、つい平家物語冒頭の名文が頭に浮かぶのである。 |
納得が第一 2013/10/26 Sat 3963
リーダーシップ調査の結果をフィードバックすると、大多数の方々がその結果を受け止められます。リーダーシップは行動ですから、データをしっかり受け止めて次のアクションをとればいいのです。しかし、その結果が望ましくないときなどは、すんなりといかないケースも出てきます。その典型的な例を二つほど挙げてみましょう。
その一つは〝部下たちがでたらめに回答している〟という見方です。〝嘘だと思うなら私の職場に来てごらんなさい〟と言われても無理な相談です。こうしたときは、それを否定はしません。とにかく〝職場そのもの〟は本当に知らないのですから。ただし、〝それが事実であれば調査の時期が早すぎましたね、これから部下の皆さんがちゃんと回答されるような状況をつくっていただいて、そのあとで改めて調査をしましょう〟とお誘いしています。もう一つは〝そもそも調査する項目に該当する行動があり得ない〟というものです。これもけっこうな迫力があります。〝そんなことはないでしょう〟などと、実情を知らない人間が否定することはできないからです。じつは、こうした反応をはっきりと訴える人もいるのですが、中には口に出さない人もいるに違いありません。こうなると、ご本人は結果を納得して受け止めてもらえないことになります。それでは〝リーダーシップ行動の改善〟には繋がりません。
そんなわけで、私は調査項目のセットを示して、〝これらをすべてクリアすればいいリーダーになれますよ〟と言うのは止めることにしました。そしてあらかじめ準備した60項目程度の行動リストを提示して、その中から〝自分が納得できる行動〟を3つほど行動目標として設定する方式にしています。私としてはこれがベストだと思っています。 |
データのフィードバック 2013/10/25 Fri 3962
リーダーシップは単なる生産性だけではなく、部下たちの働く意欲や仕事に対する満足度、さらには職場のチームワークなどにも影響をおよぼします。また、それが組織で起きる事故にも関わりをもっているのです。これまで実施した多くの組織における調査とその分析によって、こうしたことが明らかにされてきました。そしてPM理論で言えば、PMタイプが最も効果的でpmはその対極にあることも一貫して見出されたのです。こうした結果をもとにリーダーシップの改善を図る〝PM式リーダーシップ・トレーニング〟の開発が進められることになりました。そのスタートの時期に巡り会うことができた私は幸運だったというほかはありません。
ところで、リーダーが目標達成(Performance)行動と集団維持(Maintenance)行動を発揮している程度を測るために、それぞれ10個の項目が準備されています。職場でこれを使った調査が実施することになります。このときリーダーの自己評価よりも、他者による評価の方が真のリーダーシップ行動を測定できるとされています。職場であれば部下が上役の評価をするのです。そこで得られたデータを集計してリーダー、つまりは管理者の各人にフィードバックすることになります。それは仕事場でカウンセリングのような形で行われたり、トレーニングの場でフィードバックされたりします。そしてそれをもとに一人ひとりが分析していくのです。自分のリーダーシップ行動に対する部下たちの回答結果を前にして、多くの方々は、たとえその得点が低くても、〝なるほどそうなんだ〟と受け入れていただきます。つまりはデータが伝える事実にしっかり対面してもらうわけです。私たちもそうなるように事前に十分な説明をしておくのです。 |
PMとpm 2013/10/24 Thu 3961 Continued from 10/10
三隅二不二先生をリーダーにして創り上げられたリーダーシップPM理論は、研究者・実務家を問わず、よく知られていました。その最大の特徴はわが国の風土の中で生まれたものだと言うことです。欧米、とりわけアメリカの影響が大きいのはグループ・ダイナミックスとて例外ではありませんでした。そんな状況の中で独自の理論として、世界中のリーダーシップ研究をまとめたハンドブックでもしっかり取りあげられたのでした。ところで、私もこの考え方をベースにした調査を実施し、その結果をもとにリーダーシップを改善するためのトレーニングの開発や改善に関わってきました。
おおざっぱで恐縮ですが、リーダーの目標達成に関わる行動(Performance)と集団を維持することに重点を置いた行動(Maintenance)について、それぞれ10項目の質問をして、リーダーシップが発揮されている程度を図ります。これまた概略ですが基本的には、P行動もM行動も発揮しているリーダーが最も望ましい結果をもたらすことが一貫して明らかにされてきました。企業組織の場合は、まずは〝生産性〟に焦点が当てられます。それもPMタイプが最も優れているわけです。その対象にあるのが、いずれの行動も〝弱い〟pmタイプのリーダーでした。その中間にPとMタイプが来るのですが、割合としてはMが2番目で、それにPが続くというデーターが多く見られました。ともあれ、まずはPMタイプが最も効果的で、pmタイプがいつも4番目に来ることだけは、どんな組織や集団でも共通しているというのが大方の結果でした。もちろんリーダーシップが効果を及ぼすのは生産性だけではありません。企業であれば、部下たちの〝仕事遂行に対する意欲〟にもリーダーシップが影響します。 |
ふんぞり返る 2013/10/23 Wed 3960
〝態度が大きい、不遜に見えるよ〟。私が家内からよく言われることばだ。これは今に始まったことではない。家内は結婚するまで私の仕事とはまったく関わりのない環境にいた。はじめて私の仲間たちを紹介するために大学へ連れていかれたときのことをよく憶えているという。そこにいた主として大学院生たちは、足を組んで椅子にふんぞり返っていたというのである。それが全員であったかどうか、またどの程度だったかなどまで記憶しているのではないと思う。ただ、別の世界の人間にはそう見えたのである。もちろん私を含めて本人たちは、不遜で他の人たちを高いところから見ているなんて気持ちはまったくもっていなかったはずだ。しかし、他人に〝そう見える〟という事実は認めなければならない。タクシーに乗っても座席にふんぞり返る。人と話をするときも、椅子の背やソファーにもたれかかって、ときには足まで組んだりする。私はそんな指摘を受け続けてきたのである。その甲斐あってか、そうした自分に気づくとすぐに姿勢を正す。しかし、合格までにはほど遠い。これからも毎日が修行なのだ。
そんな私がテレビを見ていて思わず吹き出した。夜のニュースで、消費税を上げることを決めた安倍総理にジャーナリストの岸井成格氏がインタビューしいた。安部氏は向かって左側に座っていたが、心持ち前屈みの姿勢を保ちながら話をしていた。これに対して岸井氏は、椅子の背もたれに体をしっかり預けながらその話を聞いていた。さすがに足を組んではいなかったが、私の目には〝ふんぞり返っている〟ように見えて、それだけでおかしくて仕方がなかった。ご本人が不遜だとは言わないが、事情を知らない者が見たらどっちが首相かわからないだろうなあと思った。 |
もう時間がない 2013/10/22 Tue 3959
個人なら自己破産が確実なのに、それが国のレベルになると問題は先送りされる。それだけ問題は大きくなり、アウトになった場合のダメージも深刻になる。しかもそうした事態を引き起こした人間たちは責任を負わないのである。わが団塊の世代は1000兆円の借金をつくったことから無関係ではあり得ない。もちろん個々人に特定の責任を追及することはできない。しかし、そうした国の政策を選挙を通して許容したのである。そして、そんなわれわれが高齢者になってしまった。このまま〝じゃあ借金はよろしくね〟と逃げてしまっていいのか。しかし、ここまで来てしまったからには、世代を問わず厳しさを覚悟して現実的な行動を取らなければならない。ところが、それでも相変わらず既得権を主張し、自分たちがマイナスになることを拒否する流れは変わらない。
それならいっそのこと、これからも自分たちの利益を主張し、要求をしまくってはどうだろう。そうして少しでも早く破綻を迎えた方がすっきりするのではないか。とにかく極限までいけば、否でも応でもそれに耐えるしかなくなる。そのかわり、まずは弱者をはじめとして一般市民が凄まじい目にあうだろう。かの大戦でも〝大金持ち〟はけっこう豪華な生活を楽しんでいたようだし、〝学徒出陣〟まで逃れることが出来たと思われる人たちさえいたという(岩波ブックレット「学徒出陣」)。これから先だって、〝こんなに国になんか住んでいられるか〟なんて捨て台詞を吐きながら上海でもパリにでも移住する。そんな優雅な生き方をエンジョイできる人たちには、〝日本崩壊〟が現実になっても人ごとなのではないか。一億を超える人間たちが価値観を一致させるのはむずかしい。しかし、もう残された時間はない。 |
人ごとじゃない 2013/10/21 Mon 3958
アメリカは国として膨大な借金を抱えている。それが膨らんでさらにその額を増やさないと債務不履行になって国の財政が破綻する。ただし、そのためには議会で予算が承認されないといけない。ところが下院は野党の共和党が多数を占めていて、これを容易に認めようとしなかった。たとえ対症療法に過ぎないとしても、国が債務不履行になってはアメリカそのものが崩壊することは素人にもわかっている。だから、この法律は必ず承認されるはずだった。それでも共和党が粘ったのは、来年の選挙を前に点数を稼ごうとしたからだという。相手を少しでも譲歩させて、〝自分たちの力で変更を勝ち取った〟とアピールするのだと思う。よそのお国のことながらヤレヤレと思う。どこもここも政治家は自分たちのことしか考えないもののようだ。今回も共和党のパフォーマンスだという見方が定着していたらしい。そのおかげだろうか、共和党の支持率は9月からの1か月で10%低下して28%になったという。
しかし、これって人ごとではあり得ない。どこかの国も1,000兆円という、実感はもちろん、想像すらできない大借金を抱えている。その国だって、原則として国が借金することは認められていない。そこで毎年、国会で〝借金〟そのものである〝赤字国債〟を発行するための法律を採決し続けているのである。そして、参議院で与野党が逆転現象を起こしている時代には、その採決を巡って大いに揉めるのが恒例になっていた。つまりはアメリカと同じパターンなのである。その一方で、借金を減らすための道筋がまったく決まっていない。そもそも現時点では〝赤字国債の発行を減らすこと〟しかできない状態なのである。これが個人であれば、とうの昔に自己破産を宣言されている。 |
引用感謝 2013/10/20 Sun 3957
私はグループ・ダイナミックスを仕事にしているが、とりわけ〝リーダーシップ〟とその改善を目指す〝トレーニング〟の開発と実践を主要テーマとしている。もちろん〝リーダーシップ〟の改善によって組織が活性化することを目指すのである。また、〝活性化〟と並んで重要なものが〝安全〟だ。これには原子力発電所で発生する重大な事故はもちろん、どんな組織にも起こりうる不祥事も含まれる。さらにそうした事故や不祥事を防止するための方策をグループ・ダイナミックスの視点から考えていく。その一環として〝規則やマニュアル遵守〟に関わる問題の分析を進めてきた。病院のスタッフに〝規則やマニュアルが守られないことがあるのはどうしてか〟とストレートに聞いて得られた回答を分析したのである。それを「職場における規則およびマニュアル遵守を阻害する要因
」というタイトルで2本の論文にまとめた。そして今回は年度内に発刊される3本目を書いた。
そんな流れの中で、過去に書いた2本がかなり読まれていることがわかった。おそらくIT系ニュースサイトの〝Business Media 誠〟に杉山淳一氏が連載中の論文で取りあげられたからだと思われる。それは〝なぜJR北海道でトラブルが続くのか〟というタイトルのもので、その5ページ目に〝なぜマニュアルは勝手に無視されるのか。参考になる論文がある〟として私が書いたものが引用されている。〝この論文は病院の事例を挙げているが、人命を預かるという緊張感は鉄道にも参考になる〟というのだ。他の領域の人に活用してもらえるのは筆者としては最高に嬉しい。そんなわけで、私としてもその連載のアクセス先をご紹介しておく。http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1307/26/news016_5.html |
記者と経済学者 2013/10/19 Sat 3956
かなりいい加減な性格であることを自認している。あるいは集中力不足というか、本にしてもあれやこれやと手を出して、挙げ句の果てには10冊くらいを同時進行で読んでいる。仕事でも朝から晩まで一つのことにエネルギーを注ぐことがない。あれをして、これをする。はたまたそれもするといった具合だ。これを要するに〝注意散漫〟なのである。そんなことだからスポーツも長い時間かかるものはほとんどノータッチである。相撲なら10秒程度で決まるから時間的には耐えられるのだが、それも数番程度で〝もういいか〟となる。それにこのごろの相撲はとんとおもしろくなくなった。われわれが子どものころは、うまい下手は関係なく、みんな一応は野球少年だった。小学生のころに、あの長嶋茂雄選手がプロに入団した。西鉄ライオンズの神様、仏様だった稲尾和久投手が鉄腕と呼ばれた時代でもある。そのころからけっこう野球は好きだったが、もうこのごろは2時間を超える時間に耐えられなくなった。そんなわけで、楽天の田中投手のものすごさには感嘆しながらも、どこがどうなっているのかよく知らない。
ところで、春先には野球担当の記者たちが順位を予想するが、これがけっこう外れるから笑ってしまう。ただし、彼らは最終的な結果が出たあとで、〝当たった自慢〟もするが、〝外れた言い訳〟もしている。記事になっているから自分の言ったことが取り消せないのだが、ともあれうやむやにしないところが、まあ一応は潔い。その点で、世の中の経済学者なんぞは、こうした流儀を見習ってほしいものだ。世の中の経済動向や消費税問題、TPPなどなど、あれやこれやとおっしゃっているが、当たったら自慢してもいいので、間違ったらそれなりに総括していただきたいものだ。 |
着く便、着かない便 2013/10/18 Fri 3955
一応、熊本空港で霧が発生しているために、福岡に回るか引き返してくるという条件付きではありました。しかし熊本市内までやってくると、空はスッキリと晴れているように見えました。私は〝なあんだ、なんてことないじゃないの。航空会社は念のため予防線を張ったんだな〟と思ったわけです。その証拠には着陸まで1分を切ったところにある競技場やドームもはっきりそこに見えるのです。ところが、ところがなんです。もうすぐ滑走路が見えるだろうかと思ったところで、突如として窓の外が真っ白になったわけです。そして、翼のエンジン音が急激に強くなりました。私たちが車のアクセルをグーンと踏んだ、あの感じです。すると飛行機はあっという間に急上昇していきます。
ふと窓から後ろを見るとどうでしょう。これまたすばらしい光景が目に飛び込んでくるのでした。とにもかくにも熊本空港の上だけにちょうどソフトクリームのように霧が乗っかっているではありませんか。やれやれ、こんな〝霧の適地〟に空港をよくつくったもんだと感心してしまいました。それに再び熊本上空を飛ぶのですから、これまた市内の遊覧飛行サービスを楽しめるという段取りです。とまあ、かなりの皮肉を言っているのですが、それでも2回目にはちゃんと着陸しました。私は運がいいのだと思います。何のかんのあっても、ちゃんと着くわけです。めでたしめでたしなのです。ところで羽田を出る時間が10分と違わないのに、ANAはなんの情報もないのに対して、ソラシドエアには〝霧の警告〟が出たことがあります。そして、ANAは熊本空港に着きましたが、ソラシドエアは福岡に回ったことがありました。これはレーダーに対応する機器が着いているかいないかの違いのようでした。 |
霧の空港 2013/10/17 Thu 3954
〝熊本空港は霧のため福岡空港に着陸するか当空港へ引き返します〟。ときおり空港でこんな放送を聞いたり表示が出たりします。そのとき、〝すごいなあ、タダで引き返すなんて〟と感動なんてするはずがありません。〝えーえ-っ、そりゃあ困るよ〟と叫びたくなります。しかしそれでも〝ダメなものはダメ〟だということです。とにかく熊本空港は霧が発生しやすいところにあるのです。とにかく霧による欠航率があまりにも高かったため、熊本空港には世界最高水準の計器着陸装置が装備されることになりました。
それはILS(Instrument Landing System)CATⅢbと呼ばれるシステムです。その能力たるやとにかくすごいんです。そもそもILSは機器が航空機を滑走路に誘導して着陸するものですが、その中でもCAT(カテゴリー)Ⅲの場合、着陸決心高度が〝50フィート未満、または設定なし〟というのです。
これだけでも驚きモモの木です。何分にも、50フィートは15m24cmなのですから。飛行機は着陸時でも200km/h以上のスピードが出ていますから新幹線に引けを取りません。それなのに機体が地上から15mほどまでの高さまで接近してから、降りるかどうかを決めるというのです。因みに一般的な着陸決心高度はと200フィートなんだそうですから、その1/4に当たるのです。ここまで来て〝決心が付かない〟ときはゴーアラウンド(着陸復行)になるのです。つまりはもう一度上昇してから着陸のやり直しをするわけです。こうした体験はなかなかできるものではないと思います。ところが私自身はこの〝まれな体験〟が2回ほどあるのです。もちろんそれは熊本空港に着陸するときのことです。 |
バイプレイヤー 2013/10/16 Wed 3953
私が俳優の山崎努を〝おもしろい〟と思いはじめたのは、伊丹十三監督のシリーズに出演しだしたころでしょうか。伊丹監督のデビュー作「お葬式」や「タンポポ」、そして「マルサの女」と、とにかく多彩な役どころを最上級の演技で魅せるのでした。日本語で脇役ということばがあります。英語だと〝byplayer〟だと思っていますが、これは見事な和製英語なんです。まさに〝脇役〟の〝直訳〟というわけです。あちらではsupporting
actor(actress)です。文字通り〝主役〟を〝サポート〟するのですが、彼等の力が映画のできを決定的に左右します。それにしても、私たちはなんと多くのすばらしいバイプレーヤーに恵まれていることでしょう。とにかく予告編を観て〝この脇役が出ているならおもしろいはずだ〟と期待して映画館に足を運ぶのですから、映画業界は彼等が支えていると言うべきでしょう。
そんなわけで名優を挙げていけば切りがありません。このところでは、岸部一徳も最高ですね。相当な悪にもかかわらず、じつは正義の味方をサポートしている。ただし、〝世の中はそんなに甘くはないんだ〟ということはしっかり維持し続ける。その一方では、〝大鹿村騒動記〟のように優柔不断で嫁さんからも愛想を尽かされるような〝おっさん〟もきちんと演じる。〝こんな〝ヤレヤレと思ってしまうような人もいるよなあ〟と妙に現実感をもってスクリーン上に現れるわけです。もうこの時点で〝この映画は合格だ〟と評価している私がいます。このごろは歌舞伎にも遅まきのデビューをした香川照之も、やはり最高のバイプレイヤーですね。どんな台本を与えられても、そのすべてにおいて〝本物〟のように演じる。これぞまさにプロフェッショナルなのですね。 |
山崎 努 2013/10/15 Tue 3952 Continued from 9/21
ゴールデンウィークに観た3本の映画についてお話ししたのは9月のことでした。〝ちょっと一休み〟なんて思っていると、あっという間に時間が過ぎていきます。そう言えば、もう10月ですから退職まで6か月を切ったんです。今年のゴールデンウィークにシネコンへ出かけたのは3回でした。ただ同じ5月中にさらにもう1本の映画を観ました。それは〝藁の盾〟です。とにかくもの凄い内容でした。私がこれまでの人生で観た映画の中で最も救いのないものだったと断言できます。学生たちにも〝もう二度と体験できないほど救いがない〟と強調したためでしょうか、何人かが〝観てきました〟と言ってきました。
私自身は映画の予告編でおもしろそうなストーリーだと思ったことが、それを観た第1の理由ではあります。しかし、私の動機づけを高めたもう一つの大きな理由があります。いやむしろ、こちらの方が大きかったと言うべきかもしれません。それは山崎努が出ていたからです。あの顔と名前を見ただけで〝この映画は絶対におもしろい〟と思ったのです。とにかくすばらしい演技をする名優なんです。俳優座養成所から文学座に入団し、劇団雲の結成にも参加しています。映画のデビューは1960年の岡本喜八監督〝大学の山賊たち〟だそうですが、私が知っているのは、黒澤明監督のの〝天国と地獄〟です。これは1963年の作品ですが、三船敏郎主演で子どもの誘拐事件がテーマでした。まだ新幹線が走っていない時代です。犯人が指定されて乗った特急電車のトイレの窓から身代金を投げ落とす場面が印象的でした。もっともそのとき私は中学校3年生です。この映画を観たのは、あとになってからのことです。山崎努という役者も印象に残っているわけではありません。 |
アンチエイジング 2013/10/14 Mon 3951
いつだったか、NHKが興味深いトピックスを取りあげていた。〝目指せ! アンチエイジング〟といったタイトルだったと思う。〝アンチエイジング〟。日本語には〝抗老化〟とか、〝抗加齢〟などと、やたらに固いことばに訳されているようだが、〝いつまでも若々しく〟ということだろう。これについては昔から女性の関心事だった感があるが、これだけ高齢社会になってくると性別を問わず話題になっても違和感はない。ただこの放送で注目すべきは〝見た目〟を取りあげていた点にある。〝同窓会で『おまえ、老けたなぁ』と言われたら体内の老化にも要注意?!〟と言うのである。これは愛媛大学医学部が行った研究の結果らしい。単純な話、実際の年齢より見た目が老けている人は、血管が老化し、動脈硬化が進行している可能性も高いというのである。こうなると〝見た目なんて個人差があるに決まってる〟などと笑って済ませなくなる。放送ではとにかくこまめに運動することなどが勧められていたと思う。
さてつい先だってのことである。シネコンの入場券売り場で1,000円札を出した。お若い方には申し訳ないのだが、60歳を超えると〝シニア料金〟で、全国どこでも1,000円なのである。その瞬間、私の顔を見たチケット売り場の女性が、ほんの一瞬だけれど訝しそうな態度を見せた。〝えっ、この人60を超えてるの〟という雰囲気が見えたのである。私はにっこり笑って〝おーっ、60歳以下に見えるの?
もうすぐ前期高齢者になるんですよ〟と言いながら運転免許証を見せた。いやあ快感!若いころはけっこう〝老けて〟見られていた私だが、ここにきて少しばかりお返しをしている。それが動脈硬化の進行を押さえてくれるなんて、じつに嬉しい話ではございませんか。 |
発想の転換 2013/10/13 Sun 3950
複雑な年金制度ですから、その仕組みは十分に理解できていません。ただ、共済年金は60歳から支払いがはじまることは間違いないと思います。なぜなら私が60歳になったときに手続きを取るように言われたからです。そして〝年金証書〟なるものが送られてきました。まことに興味深いことに、そこには年金額もはっきり書かれていたのです。ただし、私の場合は〝在職中〟のため〝支払停止〟との注意書きが付いていました。つまり私は間違いなく金額の決まった〝共済組合の年金受給者〟なのです。それが〝給料をもらっているから全額を支払いません〟というわけです。私の場合は65歳が定年ですから、5年間は〝1円ももらわない〟ことになります。
もちろん、この措置は当然のことで、私自身もしっかり納得しています。それは議論の余地がない対応策なのです。何と言っても、この年に至るまで仕事をさせてもらって給与を頂戴しているのです。とにかく、ありがたいことなのです。そんなわけで私としては感謝するしかありません。その上で、〝私は仕事をして収入を得ているために年金は『びた一文』もらっていない。だから、自分は世の中に対して貢献しているのだ〟と少しばかり自慢したい気持ちになるのです。もちろん、それが貢献に値するかどうかは自分で決めるものではありませんが…。年を取っても健康で、それなりの仕事ができる。そこから得られた収入に対して課せられる税金の支払いや、年金の〝停止措置〟を〝納得して〟受け止める。それも元気で、なおかつ仕事がある限りはいつまでも続けていきたいと願う…。何とすばらしいことでしょう。ここで〝長期に亘って年金の支払いをしたのだから、もらわなきゃ損損〟という発想は止めたいものですよね。 |
年金減額と自慢話 2013/10/12 Sat 3949
年金制度は複雑で、サポートなしで書類が作れる人はこの世の中に一人とていないでしょう。もちろん社会保険事務所にお勤めで年金を専門に担当されていた方は除きますがね。ところで年金の支給開始がズルズルと遅れていくことは、もう既定の事実でしょう。はっきり言えば、〝先延ばし〟や〝減額〟などの小手先、その場限りの対症療法などでごまかす時期はとうの昔に終わっているのです。それなのに年金に限らず、あっちもこっちも既得権を手放しませんから、すべてがどん詰まりになる。そして気がついたときは日本崩壊という結末が見えているわけです。それでもそうなってしまわないとわからない。これが人間だといってしまえば、じつに単純明快なのではありますが、それでもいいですかという話です。
これは赤ん坊も含めた計算ではありますが、国民一人ひとりが月1,000円だけ我慢して税金を使わなければ、1年間で1兆4,000億円ほどにもなるんですね。もちろん本当にお困りの方をサポートするのは当然ですが、働けるうちは働いて税金だって納めることが大事でしょう。いまのところ詳しい事情は知りませんが、ある程度働くと年金が減額されるそうです。それは一定の収入がある証拠なのですから立派なことです。そんなときに〝せっかくもらえる年金が減るのは損だから働かないでおこう〟なんてことは考えないようにしませんか。むしろ〝自分は未だに仕事をしていて税金も払ってる。そのうえ、年金だって全額はもらっていないんだぞ〟。まさにお国に大いなる貢献をしているわけです。健康な人たちが、あっちでもこっちでもそんな自慢話をしている。何とすばらしい光景ではありませんか。〝もらえるものはすべてもらう〟。そんな時代は終わりにしましょうよ。 |
前期高齢者 2013/10/11 Fri 3948
私は間もなく〝前期高齢者〟になります。そこで年金の手続きをしないといけないのですが、これがとにかくわかりにくいんです。私の場合は現役ですから、勤務先の担当者の方から強力にサポートしてもらえます。メールで細かいところを何度も確認して、ようやく3枚ほどの書類を書くことができました。すでに退職している方々はこうした援助が期待できないので大変だと思います。私はわずかな期間ですが私立大学でお世話になりました。そうすると、複数の共済組合に所属していることになって、いまの職場だけで手続きが済まないのです。そこで社会保険事務所に問い合わせたところ、これが凄いんです。ざっと10種類ほどの書類や証明書などを準備しないといけないというのです。そのなかには家内の所得証明書といったものも含まれています。それがすべて揃ってから事務所に出かけることになります。ただし、問い合わせた窓口の方はじつに懇切丁寧にお答えいただいたことを書いておかないといけません。
それにしても、ご担当者は同じことをほとんど永遠といえるほど繰り返して説明されているのだと思います。たしかに欠くことのできない大事な仕事なのですが、手続きさえ簡素であれば、もっと他のことに大事な時間が使えるのになあと考え込んでしまいます。ところで、年金の手続きを取ったのは今回が初めてではありません。現在の制度では60歳になると、まずは最初の段階がやってきます。このときも私学共済とのやりとりを含めて、かなり時間がかかった記憶があります。〝喉元過ぎれば熱さを忘れる〟と言います。ややニュアンス違いなところがありますが、人間はややこしいことがあっても時間とともに忘れるんですね。それが強味でもあるのですが…。 |
PM理論 2013/10/10 Thu 3947
さて、〝リーダーシップは行動〟ということを受け入れるとして、それでは望ましいリーダーには〝どんな行動〟が期待されているのでしょうか。こうした問題意識からリーダーシップに関する様々な理論が生まれてきました。そのなかの代表的なものにPM理論があります。リーダーは仕事の目標を達成する行動と集団をまとめ、維持していく行動の2本柱か欠かせない。そこで前者を英語のPerformance、後者をMaintenanceと名づけて、リーダーがそれらを行動として取っているかどうかを測定する。それを二つの英語の頭文字を取ってPM理論と呼ぶのです。これは私の恩師である三隅二不二先生を旗頭にして数多くの研究を生み出した考え方です。日本の風土を基礎にしたものとして、リーダーシップ研究者であれば誰もが知っているはずです。
その柱であるP行動とM行動を図るための尺度も、様々な組織や集団を対象にして固有のものが開発されています。いずれも多くの対象者から得られたデータをもとにして構成されたものですから、その信頼性や妥当性はしっかりしています。項目の具体的な内容ですが、たとえば〝地位にふさわしい専門的知識や技術を持っている(P)〟〝職場に気まずい雰囲気があるとき、それをときほぐそうとする(M)〟など、それぞれ10個の項目からできあがっています。そこでこれを使ってリーダーがPとMにかかわる行動をどのくらい取っているかをチェックしていくことになります。その際に、リーダーの自己評価よりも他者、職場で言えば部下による評価の方が、真のリーダーシップ行動が測定できるとされています。そこで得られたデータを集計して、その結果をリーダー、つまりは管理者の一人ひとりにフィードバックすることになります。 |
特性論から行動論へ 2013/10/09 Wed 3946
リーダーシップを個々人の特性だと考えて、望ましいリーダーシップを発揮するために求められるものを探す。こうした見方を〝特性論〟と呼びます。したがって、リーダーがそうした個人的な特性で優れていればめでたしめでたしとなります。その反対にそれらが備わっていない場合には、問題を抱えたリーダーだと認定されるわけです。しかも、〝資質〟はそう簡単には変わりません。こうして〝望ましいリーダー〟はあくまで望ましいリーダーシップを発揮し続ける。その一方で、いつまで経っても、あるいはどんなに努力してもリーダーとして評価されることのない人が出てくることになります。これではあまりにも夢がありません。もちろん、リーダーシップを夢のあるなしといった基準で評価するのは正しい判断ではありません。そうではなくて、現実として〝あらゆる状況〟に共通して求められる〝リーダーシップの特性〟などないということです。そこで私たちは〝特性論〟の代わりに〝行動論〟と言う立場を大事にしたいと思うのです。こちらは、〝リーダーシップの善し悪しは、リーダー自身の行動で決まる〟と考えます。ここでポイントになるのは〝そのときどきで求められている行動〟をしっかりと取っていることです。その具体的な内容については、状況によって変わってくることは言うまでもありません。しかし、〝とにかく行動すること〟がリーダーシップとして求められているのです。その意味で、特性論では特定の資質を〝もっているか否か〟がリーダーの善し悪しを決めるのですが、行動論では〝しているかどうか〟が決め手になるのです。特性論に立てば、リーダーシップを改善することは困難ですが、行動論なら〝努力すればいい〟ということになります。 |
特性と行動 2013/10/08 Tue 3945
とうとう〝リーダーシップ〟をわずか30問で把握できるチェックリストが完成したのです。さあ皆さま、この調査をお受けになりたいと思われる方は手を挙げてください。この話、昨日からの続きですが、私はリーダーシップに関する講演でこんな呼びかけをします。これまでの経験では、けっこう手を挙げる方が多いところもあれば、ほとんど全員が躊躇される雰囲気のところもあります。とりわけ管理職の方になると手を挙げにくいようです。それはそうでしょう、下手をすると〝リーダーとして不適格〟といったラベルを貼られるかもしれないのですから。じつは、このネタですが、本欄にかなり昔に書いたことがあります。これはリーダーシップの本質を考えるための基本的なポイントになるところなのです。そこで、前回から時間が経過してお読みいただいていない方も多いと思って再び書いてみたのです。
講演ではアンケートを受けるかどうかを聞いてから、種明かしをします。〝みなさん嘘をついて申し訳ありません。じつはこんなアンケートなんぞはありません〟と…。私たちはリーダーシップを個人の資質だとは考えないのです。わずか30問で自分のリーダーシップを判断されるなんていい加減にしてほしいですよね。しかも特性だと言うのですから、一度アウトと判定されれば、永遠にダメリーダーなんて、とんでもないことです。そこには努力の余地さえありません。これに対して私たちは、リーダーシップを〝行動〟だと考えます。リーダーに問われるのは〝行動するかしないか〟なのです。もちろんただ活動的で闇雲に〝行動〟しまくるだけではリーダーシップになりません。それはリーダーとして発揮することが〝期待されている行動〟でないと意味がないのです。 |
リーダーシップの物差し 2013/10/07 Mon 3944
私はずっと〝リーダーシップ〟について仕事をしてきました。そしてついに〝リーダーシップ〟を完璧に測定できる物差しをつくることに成功したのです。何と言っても30年をかけてきた〝大研究〟です。その信頼性には大いに自信をもっています。しかも、それはわずか30問で構成されていて、人によっては3分もしないうちに回答できるのです。私は〝リーダーシップの善し悪しは、リーダー自身の資質で決まる〟という前提に立って膨大なデータを分析しました。その結果、リーダーシップが〝3つの柱(因子)からできあがっていること〟がはっきりしたのです。ここまでがに相当な時間を要したのですが、その後はスムーズにいきました。
回答結果は、それぞれの因子に対して〝プラス反応〟あるいは〝マイナス反応〟として分類できます。そして、3つの因子すべてに〝プラス反応〟の人は〝タイプA〟、2つであれば〝タイプB〟とし、1つの場合は〝タイプC〟となります。もちろん、〝タイプA〟が〝もっとも期待されるリーダー〟であり、現実にもリーダーシップを十二分に発揮しています。これが〝B〟から〝C〟になれば、その〝望ましさ〟は低下します。しかし、とにかく〝プラス反応〟の側面をもっているのですから、現状維持で何ら問題は生じません。したがって、世の中にこの3つのタイプのリーダーしかいなければいいのですが、そうはうまくいきません。ご想像の通り〝マイナス反応〟の人たちがいるからです。そして、〝マイナス反応〟が1個であれば〝タイプD〟、2個、3個と増えるに伴って、〝タイプE〟〝タイプF〟と呼ばれるわけです。こちらはリーダーとして問題を抱えていることが明らかです。とりわけ〝タイプF〟はリーダー失格なのです。 |
マニュアル問題(64):お上のご指示 2013/10/06 Sun 3943
シリーズ物である〝マニュアル問題〟を3日から続けています。そもそもは〝時間に追われていたり、人手がなかったり、どうしてもマニュアル通りにできない〟という自由記述を取りあげたのですが、それがお役所の対応にまで広がってしまいました。いつもの道草になっていますが、もう少し私の体験を追加しておきたいと思います。けっこう驚くことが多いのです。
たとえば、こんなことも経験しました。これまた公的な機関なのですが、あらかじめ謝金を振り込む先を登録しました。ここまでは官民を問わず、このごろは常識になっています。ただ、そのあとで〝振り込みをしたという情報が必要であれば、その旨を下記のアドレスを使って申請するように〟と書かれていたのです。これもかなり驚けました。つまり〝わが方が決めた時期になったら、謝金をお主の口座に振り込むぞ。もちろん当方から、そのことについて知らせなんぞはしない。ただし、どうしてもそれが知りたいというのなら、メールで『是非ともお知らせねがいたい』との申請をしろ〟。もちろん、こんなひどい表現なんてされてはいませんが、性根がひねくれている私なんぞは、そんなニュアンスで受け止めてしまいました。ああ、人間ができてないんだなあ…。そこで私はひれ伏して(?)メールでのお知らせをお願いすると共に、〝このたびのご指示にはビックリたまげてしまいました(もちろん、原文のママではありません)〟と書いておきました。あらゆる面で仕事の効率化を図り、コスト削減に最大限の努力をする。いまや、わが国のあらゆる組織で期待されていることです。こうした対応もその一環に違いありません。しかし、この数日で取りあげた対応は、どれも相手のことについて考えていませんよね。 |
マニュアル問題(63):公共交通機関限定 2013/10/05 Sat 3942
〝交通費の計算はどうであれ、どうせ自分の車でいくのだからどうでもいいけど…〟。こんな〝甘い〟私の考えが間違っていることがすぐに判明します。〝当方では省エネのこともあって車の使用をできるだけお断りしています。また万一にも事故があるといけませんので…〟。あらかじめ交通手段を問われたとき、私は自家用車でお伺いすると回答していたのでした。それに対するご説明というわけです。私もさすがに驚いてしまいました。たしかにそのような〝規則〟といいますか〝基準〟があるのでしょう。その趣旨も〝理解できないこと〟ではありません。しかし、そこへ行くにはバスの本数が限定されているだけでなく、さらに乗り換えまで必要なのです。もちろんバス停は私の仕事場の真ん前にはありません。先方も同じことです。とりわけ夏などであれば汗ダクは間違いありません。
そこで私は、これまで一度として自分から言い出した記憶がないことを言ったのです。〝いやあ参りましたね。それならタクシーを使っていいですか〟。これに対する回答は即座に〝ノー〟でした。そして可能性としてはご自分たちが運転して送迎することはあり得るのだそうです。私はここでも〝うーん〟と唸ってしまいました。そのためにお一人の大事な仕事時間が取られるではありませんか。当然のことながら、そのコストを計算しないといけないはずです。これは推測ですが、このご時世ですから公用車なんぞではなく、ご担当者の車だと思うわけです。そうなると事故ったらそれこそ大変でしょう。一般的には組織体にお伺いするときなど、車で送迎していただくこともあります。そして、それができないときはタクシーになるわけです。事前にチケットをお送りいただくこともあります。 |
マニュアル問題(62):ランクづけ 2013/10/04 Fri 3941
講演で90分間お話しするだけなのに〝債権者登録〟なるものをしないといけない。さらに〝通帳のコピー〟まで提出を求められる…。私も、さすがに〝なんじゃこれ〟と思って、〝そんなことまでしないといけないのなら、謝礼はいりません〟とお伝えしたわけです。その結果、〝通帳のコピーはいらない〟とのお答えをいただきました。それからしばらくしてから〝債権者登録書〟といったものが送られてきました。そこには数年間の期限まで書かれていたので、これまた苦笑してしまいました。とにかくお請けしたのは90分の講演だったのですから。
また、こんなこともあります。交通費の支払いのために、あらかじめ給与のランクを聞かれるのです。原則として公共交通機関を利用することになっているようですから、とくに市内のような近距離では計算のしようがないと思っていました。たとえばバスなら130円だとか200円など、運賃は決まっています。ところが、これが大間違いだったのです。これに〝日当〟らしきものが付いて、その額がランクによって違うというお話しなのです。〝なあるほど〟と、その権威的合理性には感心しました。そこで具体的な金額をお聞きしてみると、バス代と合わせて600円くらいだとのことでした。ここで笑っては失礼だとは思いましたが、それ以外の反応を選択することができませんでした。私の等級号俸をお聞きになってから、先方の給与表と対照してランクを確定し、具体的な金額が出るとのことでした。いやはや、私の給与額まで調べられるのだそうで、そうした手続きを取られる時間だけでもコストがかかるでしょうにと、再び苦笑いしました。もっとも、頭の中ではどうせ自分の車でいくのだからどうでもいいけどと思ってはいました。 |
マニュアル問題(61) 2013/10/03 Thu 3940 Continued from 9/04
規則やマニュアルをどうして守ることができないか。〝それは時間に追われていたり、人手がなかったりして、どうしてもマニュアル通りにできないことがあるから〟と回答した方がいらっしゃいました。いまや世の中の人々が〝時間に追われて〟います。それに〝人員不足〟という訴えも頻繁に聞くようになりました。いつのころからか、あっちもこっちも〝競争社会〟になっているのです。いわゆる〝成果主義〟が前提になり、〝コストダウン〟も日常語と化しました。もちろん、ものごとを効率よく処理することは必要です。たしかにとんでもない非効率的なことがワンサカあります。とくに国や自治体の仕事を指して、〝お役所仕事〟とか〝縦割り〟と呼ばれたり、このごろはあまり聞かなくなりましたが、〝親方日の丸〟なんて言い方もありました。これらのほとんどが、その種の仕事の〝非効率的〟あるいは〝権威主義的〟な側面を批判するものでした。
この点に関しては、私自身もビックリ仰天した体験をもっています。たとえばある自治体でしたが、90分の講演をお引き受けしたことがあります。もう10年ほど前になるでしょうか。このときに、正式な名称は忘れましたが〝債権者登録〟といった手続きが必要だと言われたのです。それが凄いんですね。送られてきた文面から推測すると、おそらく数億円の土木工事を請け負う企業などが作成するものと同じような書類でした。しかも振り込みをする私の通帳の一部をコピーして提出することまで求められました。さしもの私もあきれてしまって、〝そこまでしないといけないのでしたらお支払いはしていただかなくてけっこうです〟とお答えしたのです。もちろん直接のご担当者に責任はないので、お困りになったと思います。 |
今月の2枚 2013/10/02 Wed 3939
まずはコスモスですが、こちらは熊本県の西原村で開催されている〝コスモス祭〟に行ってきました。先日はNHKの天気予報で全国的に紹介されていました。地元ニュースによれば100万本も植えられているとのことです。コスモス園の隣に〝俵山交流館 萌えの里〟があります。いわゆる〝道の駅〟風の施設で、地元の野菜などがたくさん並んでいます。サツマイモもおいしいんです。ここは熊本市内の自宅から50分ほどしかかかりません。すぐそばには〝泉力の湯〟という温泉があって、ここでもしっかり楽しめるのです。それから先に進むと俵山トンネルがあって、それを抜けるともう大阿蘇なんです。俵山そのものが阿蘇外輪山を形成しているのです。そこは久木野村、温泉はもちろん、蕎麦道場なる施設もあって、蕎麦打ちも楽しめます。ここまで達するのに1時間ほどなのですから、われながらすばらしいところで生活していると思います。ありがたや、ありがたや。
もう一枚は電車が並んでいます。ちょっと見には外国のようではありませんか。地元の人はすぐに分かるはずですが、これは秋田駅の一コマなんです。先日、秋田へ出張した際に撮りました。ほとんど見えませんが、右の電車の後ろには秋田新幹線の〝こまち〟が停車しています。こちらは〝ミニ新幹線〟方式なのでホームは在来線と共有しています。ただし、線路幅は1060mmの狭軌を1435mmの標準軌道に拡げています。線路を跨ぐ秋田駅から新幹線と在来線が隣り合わせになっているところが見えました。その幅が違っているのがはっきりわかりました。東京の田町駅近くの跨線橋からも新幹線と在来線が並んで走っているのが見えますが、これほどしっかり並んでいる光景には初めて遭遇しました。 |
私の幸運 2013/10/01 Tue 3938
私の専門は〝リーダーシップ・トレーニング〟の開発とその実践です。私の恩師である三隅二不二先生(1924-2002)は、わが国にはじめて〝グループ・ダイナミックス〟を導入されたのですが、とりわけ〝リーダーシップ〟の研究は国際的にも高く評価されています。その門下生ですから、私もはじめから〝リーダーシップ〟に強い興味と関心をもっていました。これには父の影響もあるのですが、このあたりの経緯については、つい先だって公開された熊本大学のWEBマガジン〝熊大なう〟でも触れてもらいましたした。アクセス先はホームページ表紙に提示していますので、お時間とご興味をおもちでしたら覗いてみてください。私が〝集団力学講座〟に入門したときには、よく知られている〝リーダーシップPM理論〟の基礎ができあがっていました。リーダーシップのタイプによって、集団にもたらされる効果に違いが出ることが明らかになっていたのです。
その上で、それではどうしたら〝望ましいリーダー〟を養成することができるかが次の研究テーマになろうとしていました。私は大学生としてそうした時期と遭遇することになったのです。そのこと自身がとにかく幸運だったと確信しています。そんな流れでしたから、たとえば久留米にあるブリヂストンタイヤの工場で作業長さんのリーダーシップを調査するプロジェクトに参加することができました。これに併せて、リーダーシップの改善を目指す〝リーダーシップ・トレーニング〟の研究がスタートすることになります。当時、大きな会社では自前の保養施設をもっていましたが、ブリヂストンタイヤにも大分県の天ヶ瀬にそれがありました。ここが〝リーダーシップ・トレーニング〟開発の大舞台の一つになるのです。 |
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