吉田道雄 YOSHIDA, Michio
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味な話の素
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 No 95  2011年03月号 (2939-2969)
熊本から博多まで 2011/03/31  2969
 九州新幹線の電車は3種類あるが、最速がみずほ≠ナ、これは熊本・大阪間を2時間59分で走る。3時間を切ったところが売りである。これまで大阪に出かけるときは迷うことなく飛行機だった。しかし、この時間だとなかなか微妙なところだ。新幹線に対抗して、飛行機も料金を新幹線の最安値と同額にした。さらに全日空は1便を増発した。私としては行き≠ヘ飛行機で帰り≠ヘ新幹線という選択肢もある。みずほ≠ヘ東海道ののぞみ≠ニいうところだ。さて、2番目に速いのがさくら≠ナ、これは熊本・博多間では原則として久留米か鳥栖に止まる。東海道線のひかり<^イプである。これだと熊本・博多が38分程度になる。みずほ≠フ33分より少しかかるが、30分台をキープしている。さくら≠ヘ熊本を出ると、鹿児島中央駅まですべて止まるものもある。因みに熊本以南は、新八代、新水俣、出水、川内の4駅がある。そして、3番目がすでに2004年に開業していた新八代と鹿児島中央駅間で走ってきた800系のつばめ≠ナある。これは九州新幹線内のすべての駅に止まるので、熊本から博多まで50分ほどかかる。在来線の最速特急が73分だったから、20分以上は短縮しているのだが、運賃などを考えると熊本からの乗客は欲求不満になるかもしれない。そもそも新幹線だからビュンビュン飛ぶように走るはず≠ニいう思いがある。ともあれ、つばめ≠ヘ熊本から新玉名、新大牟田、筑後船小屋、久留米、新鳥栖の各駅に止まって博多に着く。このうち、新大牟田と筑後船小屋間は5分走ると停車する。2つの駅の距離は17.8kmとなっているから、単純計算で時速は213.6kmになる。さすがは新幹線の走りではあるが、5分というのはいかにも短い。
開業日前日 2011/03/30  2968
 九州新幹線が博多から鹿児島中央までの全線で営業を始めたのは3月12日である。テレビの全国中継はもちろんのこと、沿線の各地で多くのイベントが準備されていた。鹿児島から福岡までの沿線を虹色の装いをした新幹線が走る。それに向かってみんなが手を振ってウエーブで繋ぐ。そんなCMも出来上がっていた。東北地方を中心に巨大な地震が襲来したのは、その前日の11日だった。会議を終えて仕事場に戻ったとき、同僚から大きな地震が起きて、東京でも火が上がっているところがあるらしい=Bそんな話を聞いたのが16時前だったと思う。テレビのスイッチを入れて驚愕した。堤防を乗り越えた海水がなめるように平地に押し寄せている空からの映像だった。家々が流され、ビニールハウスは水に沈む。道路には非難している車がいる。慎重にカットされているようだったが、人が乗っている車も飲み込まれていったに違いない。あのスマトラで起きた津波とまったく同じ信じがたい光景だった。それからは民放もCMをカットして地震を報道し続ける。当然、新幹線の開業イベントは軒並み中止になった。開業日の熊本発の1番列車さくら544号≠ェ56%、鹿児島中央発みずほ600号≠ナ50%だった。定員を超えたのは新大阪発のみずほ601号≠フ135%のみである。それから1週間後には3連休があったが、乗客数は当初の目標に達しない状況が続いているようだ。東北地方の人の中にも九州旅行を予定している人だっていたに違いない。九州側は開業の地元だから、もっと多くの人が関西や東北にも出かけようと思っていたはずだ。しかし、それも未曾有の天災に見舞われてはどうすることもできない。災害が起きるたびに、われわれは自然の力を思い知らされる。
新幹線と高速バス 2011/03/29  2967
 九州新幹線が全線開業した。博多から鹿児島中央駅までの256.8kmが繋がった。熊本と博多はノンストップのみずほ≠ナ33分である。これまでの在来線つばめ≠ェ最速で1時間13分だったから、半分以下とかなりの短縮効果がある。ただし運賃は2枚キップと呼ばれる往復チケットで4,600円だったものが7,000円になった。新幹線の開業で高速バスは厳しいかと思っていたが、こちらは4枚キップをバスの中でも買えるようになったとPRしている。なんと往復で3,200円だというから、新幹線の半額以下で十分な競争力を保っている。しかもバスは1日100往復というからすさまじいのである。新幹線が桁違いに早くても熊本駅が近くにないと33分効果も薄まってしまう。これからもそれぞれの特長を活かして競合することになる。バスは例の高速道路のETC割引でマイカー利用が増えてバス離れが加速するとともに渋滞の影響も受けているという。フェリー会社のなかには廃止に追い込まれたところもある。この時代、公共交通機関に悲鳴を上げさせてはいけない。西鉄バスは高速線で得た収益を地方路線の赤字補填に回していたのだそうな。ところが、割引制度の導入でその高速が厳しくなってきた。そのため、お年寄りが頼りにしている周辺地区の路線を廃止せざるを得ない状況にあるという。それに対応するために自治体が支出するとなると、高速道路の割引は何のためにやっているのかとなってしまう。どうせやるのなら公共交通機関を利用した方が得になるような施策をとるべきだろう。過ちては則ち改むるに憚ること勿れ(論語)=Bまずかったな≠ニ思ったらすぐに改めることが大事なのだ。妙なメンツにこだわって突っ張っていると事態は悪くなるばかりなのである。
騒音効果 2011/03/28  2966
 私が採用するグループの適正人数≠ヘ6名で、それができないときは5名を優先する。理由はグループ活動に要する時間を考えるからだ。たとえば1人あたり5分間の情報交換をすれば6人で30分が必要だ。個々のメンバーは25分間、他人の情報を受けるだけになる。その場の緊張感を維持するにはこの程度が限度だと思う。そして、グループ数も最低3つはほしい。理由は単純で2グループでは隣の声が聞こえて気が散るからである。さらに4グループになれば騒音効果≠燗K当に効いてくる。他のグループの音量がアップするから、こちらも声が高くなる。それが適度の騒音になり、その場を活気づける空気が生まれるのである。細かいことを言えば、部屋の広さや構造までもグループワークの効果に影響を及ぼす。あまり広すぎると全体の声が拡散して迫力がなくなる。その反対に狭すぎると窮屈感があり、やはり隣のグループから声が漏れてくることになる。こんなことまで考えていると楽しくなる。もちろん、個々の研修で細かいことを言ってはいられないから、結果としてはどんな条件でも実施することになる。それならできない≠ネどと言わず、それでもやってみよう=Bこれが私の基本的なポリシーである。条件が厳しければ、それだけ得られる成果も少なくなる。ただそれだけのことである。グループワークの適切な頻度についても質問を受けたが、これはそこで何をするかという目的や置かれた状況によって変動する。私が実践しているリーダーシップ・トレーニング≠フ場合は、基礎研修≠ナ行動目標を決めて職場でそれを実践に移す。その成果が出るには少なくとも3ヶ月程度は必要だと考えている。そこで、フォロー研修≠ワでに3ヶ月の間隔を置いている。
マジカルナンバー7 2011/03/27  2965 Continued from 02/25
 一般的に小集団≠ニいえば、お互いが存在を認知し、コミュニケーションできる程度の人数ということになる。しかし、できる≠アととしている≠アとは必ずしも一致するわけではない。数人でもおはようございます≠フ挨拶すらしていない職場だってある。そこそこの人数がいても、お互いの関係がよければ問題もそれなりに解決できるものだ。よく、マジカルナンバー7≠ニいって、7≠ェ魔法の数字≠フように大事にされる。野球ではラッキー7≠ナ、世界も7つの海≠ゥら構成されている。1週間も月曜日から日曜日まで7日間である。少し科学的なものでは、心理学者のミラーが人の短期的な記憶の容量が7±2≠ニいう数値を報告している。これはチャンク≠ニ呼ばれる記憶単位で文字数ではない。たとえば人の名前は5人〜9人というわけだ。それはともあれ、私がリーダーシップ・トレーニングなどでグループをつくる際には6人を基本にしている。全体の人数でそれが難しい場合は、6人と5人グループの2本立てにする。あくまで7人グループはつくらない。理由は単純で、お互いに情報交換する際に7人では多すぎるからである。ついでながら、そうしてできるグループの数も大事だ。早い話が6人グループ1つでは、何とも少なすぎる。グループ活動では、がやがや≠キる騒音効果≠ェ必要なのである。したがって、2グループでも十分ではない。何分にも隣のグループの話が聞こえてきて気になってしようがない。そちらの方がおもしろい議論≠進めている場合はとくにまずい。そりゃあそっちの方に耳が向いて自分のグループで出される話には興味が失われてしまうからだ。そんなことになっては、グループ活動そのものの意味がなくなる。
試練を乗り越えて… 2011/03/26  2964
 東北地方太平洋沖地震≠ェ発生して15日が経過した。私の手帳には医療機能評価機構フォーラム≠ニあり、キャンセル≠ニ追加されている。本日26日のお昼から、(財)日本医療機能評価機構主催の患者安全推進全体フォーラム≠ナ講演することになっていた。ところが3月11日に大震災が発生した。地震の発生が金曜日午後だったこともあり、月曜日の14日に開催中止を検討するメールが届いた。テレビでその惨状を見ていただけに、こうした連絡が来るに違いないと予想していた。そして、翌日にはご担当者から中止≠フ電話を受け取った。熊本からも日赤をはじめ支援グループが駆けつける事態である。中止は当然のことだ。フォーラムの会場であった東京ビッグサイト≠ヘ22日に避難所として被災者に開放された。あの巨大地震が私の予定に直接的に関わることになった。東京電力によれば、夏場の需要時にも計画停電が続行される可能性があるという。まだ相当に先の話だが、8月には公開講座リーダーシップ・トレーニング≠東京で開催する。このときは1日中パワーポイントを使う。その間に少しでも停電があると先に進めなくなる。いまの時点でどうこう考えても仕方がないが、状況によっては公開講座についても中止を検討する必要が出てくるかもしれない。いずれにしても未曾有の国難である。これからは観光≠烽が国にとって大事な資源ということで、誘致に力を入れて成果も出ていた。しかし、この震災でツアーなどのキャンセルが続出しているようだが、これから長期間に亘って日本を敬遠する動きが出るに違いない。危機的な国家財政にとって厳しい現実だが、この大災害を全国民がすべてを見直す機会だと考えるほかに選択肢はない。
小集団の人数 2011/03/25  2963
 講演後に小集団でトレーニングをする場合の理想的人数、頻度をご教示いただきたい≠ニいう質問を頂戴した。私の回答は、@科学的なデータはありません。私としては自分の経験から6人をベースにしています。その調整ができない場合は、7人よりも5人グループをつくります=Bこれはその集団の目標によって変動はする。メンバーの成熟度も考える必要がある。たとえば子どもの場合、小学校低学年なら4人くらいでグループをつくることもある。学校で人数と言えば、少人数学級≠ェ話題になっている。現時点では1学級当たり40人が基本だが、これを35人に減らそうというわけだ。いまの基準だと、1クラスが41人になれば自動的に20人と21人の2クラスに分ける。同じ計算だから、35人システムになると、36人のところは18人の2クラスができる。すでに地方自治体では自前の財源を使いながら35人学級を推進しているところもある。もっとも少人数≠ニは言うけれど、それはあくまで現行と比較した表現であって、本当の少人数≠ヘもっと少ないはずだ。たとえば10人〜15人くらいなら、文字どおり少人数≠ニいうことになるだろう。もちろん、子どもの数が少なければ少ない方がいいというわけでもない。人間は相互作用することで育つし、多様な人がいること、考え方や価値観も様々であることも学ぶ必要がある。そんなわけで、学校教育≠ノ最適≠ネ学級の人数を一律に決めることはできない。やはり、そのときどきの目標に応じてということになる。だから最終的にはこれが唯一の正解≠ニいうものはない。まあ、人間に関わることは大体そんなものなのである。
機長な写真… 2011/03/24  2962 Continued from 02/01
 私がはじめて飛行機に乗ったのは1970年4月20日のことである。その日が確定できるのは、私が日記を書いているからだ。小学生のときには夏休みなどに日記を書いた。これは私たちの世代であれば誰もが経験していることだろう。その後、中学生のときに当用日記なるものを買ってもらって、1年間フルに書いたことがある。そもそもは父が日記をつけていたことに刺激されたのである。とにかく毎日、何かを書いた。それから高校生になった年、仲良くなった友人が日記を書いているという。そこでまた書き始めたのだが、しばらくして止めた。しかし、すぐに再会したのが、1964年11月19日のことであった。それから昨日まで16,915日になるが、とにかく書き続けてきた。飛行機は我々が子どものころは、スーパー大金持ちの乗り物だった。だから、初めて載ったときの感激はいまでも忘れない。シートは19-Cで通路側だった。それでも上空からしっかり雪を乗せた富士山を乗り出して見た。この初フライトは東京で行われる就職の2次試験のために、会社側がスポンサーになったものだった。その当時、飛行機に自前で乗るなんて、夢のまた夢だったから、それからしばらくは飛行機に乗るチャンスはなかった。しかし、その後も乗ることがあると、今日は○回目のフライト≠ニ日記に書き続けてきた。だから私は自分の生涯搭乗回数を正確に把握しているのである。何ということもないのだけれど、これはこれでなかなか楽しい。初フライト≠ゥら40年を超えて、いろんなおもしろい体験をしてきた。もう12年ほど前の海外でのことだが、飛行中のコックピットに入れてもらったこともある。手元には機長≠ニ撮った貴重≠ネ写真があって、自慢話のネタにしている。
フォロワーシップとリーダーシップ教育 2011/03/23  2961 
 上役が職場は自分の力だけで回っている≠ネんて思い込んでいたら、部下たちだってそれじゃあ、好きなようにやってください。私たちは言われたことだけはちゃんとしますから≠ネんて気持ちになるだろう。それを見ていまの若いモンは指示待ちが多い≠ニ嘆いても仕方がない。そんな状況をつくっているのは自分自身なのである。さて、自分だけでは仕事は成り立たない≠ニいう思いが通じたら、A部下たちの納得度≠確認しながら働きかけていくことだ。ここでリーダーとしては、自分の説得力≠謔閧熨且閧フ納得力≠ノ重点を置きたい。何が何でも説き伏せる≠ニ意気込むよりも、なあるほど≠ニ受け入れられる方が行動に結びつきやすい。また、自分は変わらないが、あなたたちは変わりなさい≠ナは納得≠ヘ得られない。皆さんに変われというからには、私だって変わる覚悟をしてるんですよ=B上役にそんな意気込みが感じられれば、部下の方も私たちもしっかり変わろう≠ニいう気持ちになるわけだ。それに部下たちから上役は自分だけがわかっている≠ネどと思われると、指示や命令にも迫力がなくなってしまう。そして、B部下たちがしっかり反応してくれたときは上役として安心するよ≠ニいった気持ちを率直に表明したいものだ。自分の行動で人が喜ぶのを見れば誰だって気持ちがいい。それが部下たちの有能感≠ノ繋がれば、職場にとってはこの上ない。そして、C部下たちのアイディアや意見を可能な限り生かしていくこともフォロワーシップ≠育てるポイントになるはずだ。こうした日常の積み重ねによって、部下たちのフォロワーシップ≠セけでなく、それがそのまま彼らのリーダーシップ°ウ育にも繋がるのである。
フォロワーシップ教育 2011/03/22  2960 
 私の話を聞かれた方から次のような質問を頂戴した。今回、フォロワーシップという言葉をはじめて教えて頂きました。自分自身のフォロワーシップを意識していくことはともかく、部下のフォロワーシップの教育としてどのようなことを考えていけばよいでしょうか=B職場でリーダーシップ≠ェ大事なことは言うまでもない。しかし、それと同時にフォロワーシップ≠フ育成もなくてはならない。そんなことを講演で強調したのである。対人関係はお互いの働きかけ合いである。リーダーのい言うことはちゃんと聞くから、しっかり頼みますよ=Bこうした受身的態度≠ナは集団がうまく機能するはずがない。リーダー≠ェしっかりすることが第一ではあるが、そのリーダーにキチンと反応するフォロワーの力も必要なのだ。例えば、リーダーの指示や働きかけに対して、よくわかりました≠ニにこやかに反応するだけでリーダーは気持ちがよくなる。それがリーダーの意欲を高め、さらに自分の役割をしっかり果たそうという気持ちになるものだ。優れたリーダーが優れたフォロワーを育てる≠アとは間違いない。しかし、優れたフォロワーが優れたリーダーを育てる≠アともまた大いなる真実なのである…。おおよそこんな内容の話をしたことについて質問されたわけだ。これに対して私としては4つのポイントでお答えした。まずは、@リーダー自身が仕事はリーダーだけでは成り立たない≠ニいう信念を持っていることを伝える必要がある。これは当然のことなのだが、仕事ができる管理者の中には、自分だけの力で職場が回っている≠ニ思い込んでいる人がいる。たしかに相当に実力をお持ちであることは認めるが、組織の管理者は個人プレーのアスリートや芸術家ではないのである。
トップのリーダーシップ 2011/03/21  2959 
 危機管理に際しては、組織全体のまとまりが何より大事になる。今回の原子力発電所に対する対応においても、現実の場で仕事をする方々の士気≠ェ結果を左右する。まさに命をかけた°極の使命感≠ニ責任と誇り≠ェなくては果たされない仕事だ。そして、その気持ち≠左右する大きな要因の1つがトップのリーダーシップである。私のような素人では推測することしかできないが、自衛隊や消防庁のチームには高い士気をもったメンバーと、それを支える第一線の管理者がいるのではないか。わたしは、ある時期の数年間に亘って、こうした仕事に携わる方々の作文を読んだことがある。そこにも使命感∞責任感≠ニ誇り≠ェ充ち満ちていた。ところで、国家レベルの組織にまで目をやれば、総理大臣がトップということになる。新聞に、総理大臣が東京電力に出向いて怒声を上げたという記事が載っていた。部屋の外まで聞こえたという。これを読んで、やれやれ≠ニいう気持ちになった。こんなときに大声を上げても、相手は萎縮するだけだ。申し訳ございません。≠ニしか言いようがない。こんなときは、全力で対応するよう励ますことの方が大事だ。いま、過去のことを言っても仕方がない。とにかくあなた方がしっかりしないと問題は解決しない≠ニ鼓舞するのである。トップが怒鳴るためにわざわざ出かけていくなんてマイナス効果しか生まない。その責任を問うのは問題が解決してからのことである。また、ひょっとしたら東日本は駄目になるかもしれない≠ニいったニュアンスの発言をしたと伝えられる。トップが諦めては、組織全体の士気が低下して解決できるものもできなくなる。いま最も落ち着くべき人が冷静さを失っているのではないか。
一刻も早く 2011/03/20  2958 
 とにかく福島第1原子力発電所が落ち着くことを願っている。自衛隊や消防庁による決死とも言える活動が一刻でも早く成果を生んでほしい。わが国では、チェルノブイリは言うまでもなく、スリーマイル島と同じ事故は起こらないはずだった。この2つのケースは人間の直接的な行動によって引き起こされている。その点に関しては、福島の今回の状況には違いがある。あくまで直接的には、地震という人為以外の原因が引き金になったからである。事実、地震の発生とともに原子炉は運転を停止しているはずだ。そこまではよかった。ただ、そのあとに深刻な問題が起きた。非常時に給水をバックアップする電源装置が動かなかったからだ。おそらく津波の影響でディーゼルエンジンが水をかぶったかのではないか。この水の浸入によるトラブルまで予測できていたかどうか。もちろん、いまはそんなことを言っている場合ではない。いずれ落ち着いてから明らかにされることである。もう一つは使用済みの燃料を入れているプールの水が問題になるほど減ったらしい。そのため、定期検査中でもともと原子炉が動いていなかったところでもトラブルが発生したという。これも給水の問題だから、やはりバックアップ電源が作動しなかったことによるのだろうか。いまから4年前の2007年に新潟で地震が起きたとき、柏崎の原子力発電所でプールの水がこぼれ出る事態が起きていた。つまりは原子炉でないところで、大揺れのために水が失われる可能性を体験したことになる。その後にプールの補強などは行われていたと思うのだが…。そうしたことも落ち着いてから分析が進められるだろう。いずれにしても、一刻も早くトラブルが鎮まってほしい。素人には前線の方々の安全を祈るしかない。
フォロワーシップ 2011/03/19  2957 
 私の話を聞かれた方から次のような質問を頂戴した。今回、フォロワーシップという言葉をはじめて教えて頂きました。自分自身のフォロワーシップを意識していくことはともかく、部下のフォロワーシップの教育としてどのようなことを考えていけばよいでしょうか=B職場でリーダーシップ≠ェ大事なことは言うまでもない。しかし、それと同時にフォロワーシップ≠フ育成もなくてはならないと強調したのである。対人関係はお互いの働きかけ合いである。リーダーのい言うことはちゃんと聞くから、しっかり頼みますよ=Bこうした受身的態度≠ナは集団がうまく機能するはずがない。リーダー≠ェしっかりすることが第一ではあるが、そのリーダーにキチンと反応するフォロワーの力も必要なのだ。例えば、リーダーの指示や働きかけに対して、よくわかりました≠ニにこやかに反応するだけでリーダーは気持ちがよくなる。それがリーダーの意欲を高め、さらにの役割をしっかり果たそうという気持ちになるものだ。優れたリーダーが優れたフォロワーを育てる≠アとは疑いない。しかし、優れたフォロワーが優れたリーダーを育てる≠アともまた真実なのである。おおよそこんな話をしたわけだ。これに対する質問なのである。これに対して私としては4つの回答でお答えした。まずは、@仕事がリーダーだけでは成り立たない≠ニいう信念を持っていることを伝える必要があるでしょう。これは当然のことなのだが、仕事ができるリーダーの中には、自分だけの力で職場が回っている≠ニ思い込んでいる人がいる。そんな調子でやられたら、部下たちだってそれじゃあ、好きなようにやってください。私たちは言われたことだけはちゃんとしますから≠ネんて気持ちになるだろう。
グローバル化の現実 2011/03/18  2956 
 神戸のときもそうだったが、震災後の被災地における治安のよさは海外から高く評価されているようだ。未確認ながら、昨日はコンビニから80万円ほど盗まれたという話を人づてには聞いたが、全体としては略奪や暴動が起きてはいない。ニュースではスーパーでも炊き出しでも人々が整然と並んでいる姿を映し出している。もちろん日常的にも割り込みをする人間やとんでもない事件を起こす者はいる。しかし、総体としてはきわめて落ち着いているから海外から賞賛されるのだろう。こうした行動規範はしっかり維持していきたい。そんな流れの中で多くの国から援助隊が派遣された。資金の援助もある。その人数や援助額は問題にならない。こうした支え合いができること自身が何より大事なのである。この精神が地球上に広がればどんな戦争も避けることができるはずだ。しかしその一方で、厳しい現実もある。昨日は円が1ドル76円という史上最高値を記録した。大震災で日本経済が危うそうなのにどうして円高なのか。日本の企業をはじめいろいろな組織が国内の復興資金が必要になることは疑いない。そこで、海外にある工場や資産を売ってその資金を得ることが必要になる。つまりはドルを円に替えなければならなくなるわけで、一時的にドル売り円買いが進み、円が高くなる。だからいまのうちに円を買って、少しでも高くなったらすぐに売り抜けようという思惑が働いているのだ。それから後で、日本経済が崩壊して円の価値が下がろうと知ったことではないのである。ただひたすら瞬間的な上がり下がりのタイミングをねらって儲けようということだ。グローバル化が叫ばれて久しいが、われわれはこうした凄まじい環境の中で生きていることも自覚しておかなければならない。
稲穂の心 2011/03/17  2955 Continued from 03/14
 人が人の影響力を受け入れる理由、つまりは影響力の源泉≠ノついて5つをリストアップした。このうち、強制∞報酬≠ノよる影響力は、人がある程度の地位に座れば、多かれ少なかれ自然についてくる≠ニ書いた。これが権限≠ニいうものである。ご本人がそれを意識している程度は、その人の性格などもふくめて大いにバラツキはする。権威を振り回す人などは、それを困った方向で意識している典型である。世の中はみんな同じ≠ニいうわけにはいかない。いや人類が存続し続けることを目指すのならみんな同じ≠ナあってはいけない。それが遺伝子の意思≠ナもある。だから、相対的には一般人よりも優れた人がいくらでもいるし、いないと困る。テレビや新聞に登場するスーパースター≠ヘ必要なのだ。こうした人たちが発明し、発見し、また芸能やスポーツで人々を感動させる。私たちもそんな人たちを賞賛し喝采し、尊敬するべきだ。仕事の領域によっては、かなりの経済的報酬を手にすることも認めていい。ただし、その代わりと言っては何だが、ひとつだけ大事なことがある。それを笠に着て威張る≠フだけはやめてほしいということだ。そんなことをしなくても、誰もが尊敬しているのである。実るほど頭を垂るる稲穂かな≠ナある。そして、人から賞賛され、尊敬されることを最大の報酬≠ノしていただきたい。そもそも、優れた能力を得たのはその人の力だけでないことははっきりしている。アインシュタインと同じような脳力を持った人間がジャングルの中にいないとは断定できないし、500年前に生きていたとしてもおかしくない。100mを8秒で走る筋肉を持った人間が今日もアフリカの草原で走っているかもしれない。みんなその時代や与えられた環境との相互作用の結果として、優れた能力を発揮できているのである。とにもかくにも力のある人はまずは感謝のこころ≠大事にしましょう。
遠い関わり 2011/03/16  2954 
 日本医療機能評価機構≠ニいう組織がある。その名のとおり、病院の機能についてさまざまな評価をする機関である。大きな病院では(財)日本医療機能評価機構認定病院≠フ証明書が掲げられているところが多い。今年2月の時点で、2523病院が認定されている。病院の全数が8,708だとのことだから、認定数は30%近くに達している。その機構の中に認定病院患者安全推進協議会≠ニいうものがあり、全体フォーラム≠ニ呼ばれる会合を開催している。今年は3月26日、来週の土曜日がその日に当たっていた。会場は東京ビッグサイト。じつは、私もそれに出席して講演をすることになっていた。ところが、2週間ほど前になって大震災が起きた。その被害があまりにも甚大なため、フォーラムの中止もあるだろうと思った。地震発生が金曜日だから、月曜日には何らかの対応があると予想していたが、その通りご担当者からメールが来て、開催について早急に決定するとのことだった。そして、翌15日に電話があり中止となった。当然の措置である。とくに医療に携わる方々は1人でも多く被災地でサポートすることが期待されている。熊本赤十字病院からも大型の救護車とともにいち早く出かけている。その決定を受けてインターネットで航空券をキャンセルした。その際に、払い戻し手数料≠ェ0≠ノなっていた。おやっ≠ニ思ったのだが、これは今回の震災を配慮してとられた特別の対応だった。秋田を含む東北地方と成田、羽田発着の便についての措置だという。九州は被災地から遠く離れている。新幹線の開業祝賀行事などは自粛されたが、日常的には申し訳なさを感じるほどの平穏さである。しかし、そうした厳しい状況が私自身とも関わっていることを実感した。
石巻と女川 2011/03/15  2953 
 惨憺たる状況に声も出ない。ヒューマンエラーと集団≠ヘ私の仕事の大事な部分である。そのため、安全≠ノ関わる研究会や講演会に出かけたりしている。そうした中で、数年前には福島第1、第2原子力発電所にも行った。いま現地ではきわめて厳しい状況のもとで対応が進められている。とにかく最悪の事態に至らないことを祈るしかない。それにしてもどうして緊急時にバックアップするための発電装置が動かなかったのだろう。まったくの素人だが、ディーゼルエンジンが津波の海水で駄目になったのかもしれない。二重、三重のフェールセーフだったはずなのだが、それが複数の原子炉で同じような事態に至ったのはどうしてなのか。揺れによる物理的な損傷というよりは、海水の侵入が大きかったのではないか。いまはその原因を議論している時間はない。昨年も3月まで寒かったことを思い出す。ちょうど1年ほど前の東北には雪が舞った。そんな気象条件の中を、私は仙石線で仙台から石巻へ行った。市では駅前にあったスーパーが撤退したのを受けて、そこを市役所にしていた。なかなかユニークな発想で、建物の中にも入ってみた。石巻から車で女川にある東北電力の発電所に向かった。その途中に女川の町があった。この一帯がこんなことになるとは…。ニュースで水につかった石巻市役所が映った。建物の色を見て、それとすぐにわかった。石巻の港の辺りは壊滅的な状態のようだ。そして女川もまったく同じで惨憺たる状況である。水は人間にとってなくてはならないものだ。しかし、その水が風や火よりも恐ろしい悪魔になる。すべてを流し、流れたものが建物に激突してさらに破壊を続けていく。どんなに猛烈な台風でも町や村全体を消滅させることはできない。
強制≠ニ報酬 2011/03/14  2952 
 さて、部下が上役の影響力を受け入れる要因として強制∞報酬∞正当∞専門性∞憧憬≠フ5つを挙げた。これはフレンチとレイブンが最初に提起したものだ。これに情報勢力≠加えているものもある。まさに情報の時代である。自分たちにとって重要な情報を持っているかどうかが、リーダーの影響力を決めることは十分に理解できる。ただし、これはすでに挙げている専門性≠ノよる力に含めることができるだろう。さて、5つのうち、はじめの3つ、つまりは強制∞報酬∞正当≠見ると、いずれもが経験と年齢を積んで、ある程度の地位や立場に立てば自動的に外から与えられるものである。もちろん、そのレベルには差がある。とくに強制勢力≠ニいう用語は文字どおり強烈だから、管理者が自分は強制的な力を保持している≠ネんてことを自覚しているとは限らない。しかし、上からの指示を受ける側から見れば、Yes≠ニ言わなければ、自分に不利なことが起きるのではないかといった心配がある。とくに管理職ともなれば、勤務評定する力も持っているわけだ。それは給与や人事異動に影響を及ぼす可能性がある。管理者が自分はそんなに狭量じゃない≠ニ思っていても、部下側から見ればやはり恐い@ヘなのだ。我々の研究でも、リーダーシップに関しては自己評価≠ニ部下評価≠ノズレが生じやすいことがわかっている。こうした事情は報酬≠フ場合にも適用できる。表面的には強制≠ニ報酬≠ヘ正反対に見える。しかし、上役の顔を伺うという点では共通する部分が多い。上司から評価されればいいことがある≠フだ。それが経済面や人事面で効果をもたらすことが期待できる。いわゆるごますり≠ナもしておこうかという気持になりやすい。もっとも、報酬≠ヘ経済的なものだけではない。仕事を正しく評価してくれるといった行動は心の報酬≠ネのである。
5つの影響力 2011/03/13  2951 Continued from 02/26
 部下たちに、自分もあんな人になりたい∞あの人こそ私の目標だ≠ニ思わせる。私としては、そうした力を指す英語のreferent power≠憧憬勢力≠ニ翻訳してみた。心理学では準拠勢力≠ニ呼ばれているものである。ともあれ、このような影響力は並み大抵の努力では身につかない。それには相性といった要因も関係してくるかもしれない。そもそも努力で身につくようなものではなく、あくまで日ごろの人間関係の結果としてそうした力がにじみ出てくるのかもしれない。たとえば、すでに見た専門力≠ノ優れているリーダーは、部下たちにあんな人になりたいという憧憬≠フ気持ちを生み出すだろう。ただし、自分の力をひけらかしたり、部下の育成には関心がないといった態度をとれば、それがそのまま反発≠ノ転じてしまう。さて、影響力の源泉≠ノついて書き始めたのは2月16日のことだ。それから飛び飛びに書いてきたので、その内容がおわかりにならない方が多いに違いない。ご関心をお持ちの向きはスタート日からフォローしていただきたいが、これまで取り上げたものは、強制∞報酬∞正当∞専門性=Aそして憧憬≠ニいう5つの要因である。そこで、取りあえず内容をご承知という前提でお聞きしてみよう。あなたは、こうした影響力の源泉のうち、どの力をどのくらいお持ちだろうか。組織の中でリーダとしての役割を果たすことが期待されている方であれば、そのいずれも持っていません≠ニいうわけにはいかないはずである。ともあれ、ご自分の職場を思い起こしながら、少しばかり考えていただきたい…。さて、それぞれのご回答がどうなったかは置くとして、この4つの影響力の源泉≠ヘ大きく2つに分けることができる。
現実 2011/03/12  2950
 頭の中だけではあり得る≠アとだと思っていたかもしれない。しかし、現実にそんなことが起きるという予感は誰にもなかったと思う。東北地方太平洋沖地震≠フ映像は、これが現実のものか≠ニ驚き、同時に自分の身近に起きたのではないかと思うほどの恐怖感をもたらす。スマトラ島沖地震が起きたのは、2004年12月26日だった。このときの津波の映像は、それが事実だとは信じられないショッキングなものだった。それがわが国で現実のものになった。堤防を越えて押し寄せる水の流れが住宅や車をいとも簡単に流していく。耐震化によって地震の揺れには耐えることができるビルや住宅が増えていると思う。しかし、それも巨大な水の流れにまで対応することはできない。まだ被害の詳細がわかっていないだけで、あの水に飲み込まれた人々の数はかなりのものに達するだろう。そうした方々は地震の被害者ではあるが、直接的には津波≠フ犠牲者ということになる。その後は、太平洋岸とは関係なさそうな長野や新潟でもかなり大きな地震が発生している。太平洋沖の地震との関連は明らかになっていないという。この時点で後ろ向きな言い方は控えるべきではあるが、最新の科学をもってしても、今回も地震そのものを具体的に予測することができなかった。ただただ、自然の恐ろしさ≠ノ声を失うばかりである。わが国の経済が流浪する中、今回の大災害が深刻な厳しさを加えることになる。被害の甚大さを考えると復興までの道のりは長く険しいものになる。また、しばらくは外国からの観光客が日本に来るのを敬遠するに違いない。今日は九州新幹線が全通する日である。本来は華やかな出発式が行われるはずだった。しかし昨日の時点でJR九州はそれを中止した。
おばあちゃんになったら… 2011/03/11  2949 Continued from 02/27
 昨年末の中学生たちに話をしたあとでもらった感謝文の続き。吉田さんがしんけんに話しているのを見ると、『吉田さんはこの仕事を楽しんでやっているんだ』と思ったり、『がんばってるな』と思ったりしました=Bお昼過ぎの時間帯だから、できるだけ生徒たちの眠気を追い払えるようにがんばった≠ツもりではある。そして、この仕事を楽しんでやっている≠アとも間違いない。そのあたりをしっかり見てくれていることが伝わってきて嬉しくなった。ただ、それがしんけんに話している≠謔、に映ったところがおもしろい。自分としてはリラックスして笑顔で語りかけたつもりだったから、しんけん≠ニいう評価には、そんな風にも見えるのかあ≠ニ口元が緩んだ。こんな感想もあった。おばあちゃんになったら、孫を見て喜んでみたいです。でも、お店で1人で笑うのは少しはずかしいので、ちょっと控えようと思います=B話の中で孫のかわいさを強調した。その中で、そうした出会いができることのすばらしさを伝えた。この21世紀になっても発展途上国では乳幼児が亡くなっている。しかし、ここにいる私たち一人ひとりの祖先は太古の昔から子どもができる年齢まで生き延びることができた≠フである。そうでなければ、わたしたちはここで出会うことはできないのだ。とまあ、そんな話を入れながら、生きていることの大切さ≠訴えた。何といっても、その日のテーマは人権だったから、まずは自分を大事にしようという話をしたのである。事実、私自身が長い時間の流れの中でいまここにいる≠アとをすばらしいと感じている。それに応じて、女子生徒がおばあちゃん≠ノなったときのことまで思いを巡らせてくれたのである。じつにほほえましい。
ボトムアップと静脈血栓 2011/03/10  2948
 組織のリーダーたちは、海はもちろんあらゆるところから水を水蒸気にして空に昇らせる太陽であってほしい。しかし、その太陽も雲で遮られれば吸い上げる力を失ってしまう。人間の組織を見ても、リーダーたちが太陽ではなく雲になっているようなケースが少なくない。部下たちの意見を自分のところで止めて上に上げない。止めてはいないものの、その内容を自分の都合のいいように歪めて伝える。それが意識的であればきわめて問題だ。いやいや、ご本人に情報を歪めている意識がなければないで、これまた深刻な話である。情報を途中で止めるなんて、管理者がそんなとんでもないことをするわけがない≠ニ反論される方がどのくらいいらっしゃるだろうか。現実の職場で調査をすれば、自分たちの意見が途中でたち消えて上の方まで届いていない≠ニ嘆く部下たちはけっこういるのである。ついでに言えば、上の方から自分たちに当然知らされているべき事柄が知らされていないことがありますか≠ニいう質問に、けっこうある≠ニ応える部下たちもいる。そして、われわれが蓄積してきたデータは、そうした否定的な回答と管理者のリーダーシップの間には明らかな相関が認められるのだ。こちらはトップダウンの情報だから組織運営にとっては動脈の流れである。ここでリーダーが雲になれば動脈硬化≠ェ起きてしまう。それでは組織の生命は維持できない。これに対応させると、ボトムアップの流れは静脈≠ニ考えることができる。ますは動脈あっての命だが、静脈のスムーズな流れが阻害されては生きていけない。組織のリーダーが雲になるようでは静脈血栓≠ノなってしまう。これもまた深刻で、職場のリーダー自身が血栓≠セというのではお話にならない。
トップダウンと動脈硬化 2011/03/09  2947
 組織運営にとってトップダウン≠ナ指示や命令などの情報を流すのは基本である。そこがしっかりしていなければ、組織そのものの存続が危うくなる。その意味で、トップダウン≠ェ流れるのは太い動脈≠ナある。ところが、人間では加齢とともに動脈硬化≠ェ進んでくる。あるいは不摂生もそれを助長する。これとまったく同じことが組織でも起こるのである。とくにトップから第一線まで、個々のリーダー自身が硬化≠オて組織の活動に悪影響を与えている現実も少なくない。組織はStop the 動脈硬化≠旗印に健康かどうかの自己チェックを怠ってはならない。さて、組織の第一線で働く人たちの見えない∞聞こえにくい∴モ見をしっかり受け止める。それがリーダーの重要な役割である。しかし、そのためには部下たちが自分の考えや要望さらには気持ちをリーダーに伝えてくれなければならない。そのためにはどうするか。自然界で水を蒸発させるのは太陽の力である。これと同じように、組織においてもトップをはじめとしたリーダーたちが太陽≠フ役割を果たすことが大いに期待されるのである。ここで北風と太陽≠フ物語が思い起こされる。太陽はその暖かさを力にして海はもちろん、あらゆるところから水を水蒸気にして吸い上げる。どんなに猛烈な風が吹いても海の水を空にまで蒸発させることはできない。何でもいいたいことは言いなさい≠ニ上から指示を出すだけでは、組織にとって大事な声が聞こえてくるとは限らない。この人に言えば、まじめに考えてくれる。ちゃんと上の方にも伝えてくれる=Bそんな信頼関係がなければ、部下たちは本音を語らない。ただし自然界でも太陽に雲がかかれば水は水蒸気になって昇ることができなくなる。
言いたいことが言える 2011/03/08  2946
 健康で安全な職場を創るためには、仕事をしている人たちが言いたいことが言える≠アとが大事だ。もちろん、言いたいこと≠ノ法令違反をしよう≠ニいった反社会的な発言や職場仲間を誹謗中傷するような問題発言は含まれない。それは当然として、リーダーが言いたいことを言いなさい≠ニ口で言うだけでは何の効果も期待できない。職場に言いたいことが言える&オ囲気がなければ、誰もが内心では問題だと思っていても、それを口に出すのは控えるのである。その結果として最悪の場合は事故や不祥事が起きるのである。こうした事態を避けるため、リーダーは職場にものが言える&オ囲気を創り出していかなければならない。それではどうするか。その答えをトップダウンとボトムアップの視点から考えてみよう。水は低きに流れる。だから組織でも指示や命令、そして必要な情報を上から下に流すのが当然なのだ=Bそんな発想をもとにして、いわゆるボトムアップ≠フ重要性を軽視する人たちがいる。水が低きに流れる≠アとは疑いない。しかし、それだけ≠ネのか。そうだとすれば、川はあっという間に枯渇するはずではないか。しかし、現実の川はよどみなく流れている。それはどうしてか。水が高きに昇っている≠ゥらである。ただし、水は水蒸気≠ノなっているからわれわれの目には見えない。しかし、この循環がなければ地球の自然環境は成立しないのである。組織にとって欠かせない水、それは指示や命令も含めた情報であり、部下たちの声である。組織の健康を維持し、さらには増進していくためにはトップダウンだけでなくボトムアップの流れが必要なのだ。しかし、水の場合と同じように下からの声は目に見えにくく、耳に聞こえにくい。
反対の理由は? 2011/03/07  2945
 教育に新聞を活用すること≠ノついて評価するかどうかを確認し、まずは評価する@摎Rを聞く。さらにその内容まで尋ねて、その上で教育で活用される場合の新聞に対する期待にも言及している。それから、回答者に20歳未満の子どもがいるかどうか≠質問して終わっている。じつに自然な流れのようなのだが、私としてはおやおや≠ニ思ってしまった。教育に新聞を活用する≠アとについて評価しない理由≠フ問が準備されていないのである。うぁーっ、これってまずいですよねえ。小学校に英語を導入すること≠ノ対しては反対の理由を聞いていたのである。まるで評価しない≠ニいう意見は前提にしていない感じだ。実際のデータではどちらかといえば評価しない≠ェ6.2%、評価しない≠ヘ2.1%となっている。これを合わせると8.3%である。回答の回収数が1924人とされているから、ほぼ160人が否定的な回答をしていることになる。結果としてはわずかだとしても、否定的≠ネ回答をした者に対して、その理由を聞く質問を準備していないというのはどうかと思う。小学校への英語≠焉A結果としてはどちらかといえば反対≠含めて否定的回答が11.8%とかなり低いが、それでも反対の理由を聞いている。あるいは否定する理由≠選択肢として提示するのが難しかったのかもしれない。私だって新聞好きの人間だから、教育に新聞を導入するマイナス要因をリストアップするのは容易でない。しかし、それならそれで、ここだけは自由回答≠ニして、生の声を聞けばいい。とくに直接面接したということだから、そのあたりはキチンと確認できると思う。たとえ少数であっても、当事者たちが気づかない大事なポイントがあるかもしれない。
賛否の理由 2011/03/06  2944
 ことし4月から使われる小学校用の教科書には新聞を読んだり、調べた内容を新聞記事にまとめたりする取り組みが多く登場します。あなたは教育に新聞を活用することについて、どう思いますか≠ニいう質問の後半を次のように変えたらどうなるか。これに対して、英語よりも国語の力を育てるべきだと言う意見がありますが、あなたはどう思いますか=B私の推測に過ぎないが、圧倒的に賛成≠ェ多くなるだろう。とくに問題がある≠ニ思えないものについて、われわれは肯定的な反応≠しやすいのである。ところで、記事を読むと小学校への英語の導入≠ノ賛成≠フ回答者にはその理由を聞く問を、さらに反対℃メにも別の問を設けている。賛成の場合は、将来の仕事などで英語が役に立つから∞早めに触れた方が英語を話せるようになるから≠ネど、6つの選択肢とその他∞分からない≠ェ提示されている。また反対に対応しては英語よりも、まず国語の力を育てるべきだから∞中学校からの学習で十分だから≠ネど、同じように6つの選択肢が準備されている。ここまではとくに違和感を感じない。いわゆるアンケート調査でよくあるケースである。そして、その後に1問授業時間の増加≠ノ関する質問があって、それから第6問目で教育に新聞を活用すること≠ノついて評価するか否かを聞くことになる。それを受けた第7問目で評価する理由≠やはり6つ挙げて確認している。社会の出来事に関心を持つようになる∞漢字やニュース用語を覚える≠ネどである。そして、それに続けて問8で新聞を活用した教育として、あなたはどのような内容がよいと思いますか≠ニ尋ねる。さらに問9はそうした教育に対する期待≠聞いている。
とくに反対でなければ… 2011/03/05  2943
 教育に新聞を導入する≠アとに9割が評価しているという見出しの記事を読んでみるとなあるほど≠ニ合点がいった。ことし4月から使われる小学校用の教科書には新聞を読んだり、調べた内容を新聞記事にまとめたりする取り組みが多く登場します。あなたは教育に新聞を活用することについて、どう思いますか≠ニいう質問の回答なのである。こうした聞き方をされてNo≠ニ言う人がいるんだろうかと思ってしまう。回答の内訳を見ると、評価する≠ェ54.5%でどちらかといえば評価する≠フ35.8%を合わせると90.3%になる。したがって9割評価≠ニいう見出しになるわけだ。たしかに間違いない。ところで、問2は小学校の5、6年生に4月から週1回、英語の授業が行われることについての質問である。これに賛成≠キる人が57.9%、どちらかといえば賛成≠ヘ29.2%である。こちらについても合わせると87.1%になるから9割近く≠ェ賛成していることになる。この数値もそうなんだろうなあ≠ニ思う。われわれは明確に反対の理由がないものに対しては肯定的な反応をするものである。おそらく、キーワードをインターネットを活用すること∞日本の文学を活用すること∞様々な分野の専門家を呼ぶこと≠ネどなど、いろんなものを入れても、けっこう高い割合≠ナ賛成≠ェ出るのではないか。もちろん、そこに道徳教育を導入すること∞能力別にクラスを編成すること∞小規模校は整理縮小すること≠ネど、議論を呼ぶようなものにすれば賛否が分かれるに違いない。ここで英語よりも、国語の力を育てるべきだと言う意見がありますが、あなたはどう思いますか≠ニか子どもの負担が重くなる≠ニいう質問をするとどうなるだろうか。
9割の評価 2011/03/04  2942
 私なんぞは新聞なしでは生きていけない。どんなに時間がなくても朝刊を開かないと1日がはじまらない。正直なところ夕刊はなくても困ることはないのだが、それでも夕刊がほしい。だから地元の熊本日日新聞をずっと購読している。いわゆる全国紙としてはかなり前は朝日を読んでいたが、現在は毎日である。ところで新聞でNIE≠ニいうことばをとくに最近は頻繁に見るようになった気がする。Newsper In Education、教育に新聞を≠フキャンペーンである。新聞各社がこれに力を入れている。若者を中心に活字離れが起きていると言われて久しい。出版界はその影響をもろに受けているようだが、新聞もその例外ではない。これにインターネットの普及で状況はさらに厳しさを増している。そんななかでNIEは将来の読者を養成する効果も期待できるから、新聞社が力を入れるのは当然である。私も教育に新聞を入れることは大いに賛成である。ただし、同じことでも新聞によって伝えるニュアンスが相当に違うことがある。そうした差異についても認識する力を持たないと、子どもの情報リテラシーは育たない。個々の新聞社にとってはうちの新聞を≠ニ言いたいところだろうが、それでは情報が偏ってしまう。そんなことを踏まえて、もう随分前になるが、私はNIE≠フN≠ヘNewspaper
s≠ニ複数形≠ノした方がいいと提案した。その考えはもちろん今も変わらない。ところで、元日に「教育に新聞」9割評価≠ニ言う見出しが躍っていた。全国で3,000人を対象に行った世論調査の結果である。電話ではなく調査員が直接面接したというから本格的だ。それはいいのだが、私なんぞは9割≠ニいった数値を見ただけで、まずはほんまかいな≠ニ疑ってしまう。
84名の動員力 2011/03/03  2941
 フレンドシップ事業≠フ中核組織であるメイクフレンズ′巨ャから10年が経過した。それを記念して同窓会≠開催するので出席してほしいとの案内が届いた。旗振り役は初代のメンバーたちである。すでに子どもをもつ親になっていて子連れでやってくるという。この手のお誘いにはすぐ乗ることにしているが、すでに予定が入っていて欠席となるケースも少なくない。そんななかで、今回は私のスケジュールとバッティングしていなかった。そこで即出席の返事を出した。その日が近づいてきたころ代表者から電話があった。そこでどのくらい集まるの≠ニ聞いてみた。還暦を超えたわれわれが昔の仲間で集まろうと声をかけても、まあ20人、いいとこで30人も参加すればすごいなあ≠ニなる。ところが、電話から聞こえてきたのはなんと80人という大人数だった。それぞれが社会に出て10年にもなるというのに、子持ちの初代から現代まで80人ものメンバーが集結するのである。もうそれだけで絆の強さというか何というか、私としては驚くしかなかった。しかも、現在の1年生も参加するという。同窓会なんておじさんおばさんの集まりで、若いモンが参加してもおもしろくも何ともない。そんな会合だって多いというのに、これまた驚きだった。そして当日、本当に84人ほどが集まったのである。しかも、現在の船長がアルコールがダメな年齢の者もいますので、よろしくお願いします≠ニ念を押す。どうです、これだって当然といえば当然なのだが、けじめもしっかりつけているのである。メイフレ≠フリーダーは船長≠ウんだ。フレンドシップ≠フシップ≠ゥらイメージした名称である。それにしても、こうした学生と関われる私は本当に幸せ者だ。
感動を生む関わり 2011/03/02  2940
 メイクフレンズ≠フ学生たちとの間にこんなこともあった。当初は2つの公民館でジョイントしようとはじめた企画があった。ところが、お互いの距離が遠くて子どもたちの移動が大変だということがわかった。それに伴って安全面でも問題があるので、実質的に継続がむずかしくなった。そこで私としては諸条件を踏まえてこの際、連携を解消しよう≠ニ学生たちに伝えた。ところが、これに対して関わりを続けていた学生から大人の都合だけで止めていいんでしょうか。子どもたちは一緒に活動することを楽しみにしているんです≠ニ追及された。これぞ子どもの立場に立った正論である。それを受けて、私は改めて両公民館のご担当者とお話をした。最終的には、やはり解消≠ニいうことになったが、大人の都合論≠ノは痛く感動した。学生たちはそうした気持ちで子どもたちと接しているのである。それは単に子どもが好きだから∞子どもと遊ぶのが楽しいから≠ニいう動機をはるかに超えている。だからこそ感動が生まれるのである。もうかなり昔になるが、教育実習が附属校で4週間に亘って行われていたことがある。最後の退任式は感動的だった。子どもたちの感謝の気持ちが伝わって大学の4年生が涙を流した。附属学校の子どもたちは実習になれていることもあってか、比較的淡々としているように見えたのが少しおかしかった。おっと失礼、そんなこと言ってはいけませんね。時代の変化とともに実習も相対的に小刻みになってきた。このところ退任式に顔を出す機会はないが、あのときのようなシーンは減ってきたのではないかと想像している。その点、メイフレ≠フ学生たちは継続的に子どもたちと関わることで、こころの繋がりまでも築き挙げている。
そこまでやる 2011/03/01  2939 
 フレンドシップ事業≠ヘ教員養成学部の学生が子どもたちと触れあうことを通して教育に関する実践的なスキルを身に付けることを目的にしている。名称は事業≠セが、大学の授業≠ニして単位を認定する。スタートした1997年度からしばらくは、われわれ教員が学校や公民館と交渉して授業を創ってきた。それから3年ほど経過したとき、学生たちから提案があった。自分たちでグループを創って活動したいという。じつに積極的な意思表明であり、一も二もなくOKを出した。こうしてMake Friends=A略称メイフレ≠ニいうフレンドシップ事業の中核組織が出来上がったのである。それから早くも10年の歳月が流れた。この間、学生たちの活動はエネルギッシュでアイディアにあふれ、いつも感動をくれる。彼らを見ていると、今どきの若いモンたちは≠ネんてセリフは脳みその端っこにすら浮かばない。そもそもの動機には子どもが好き≠ネことがあるが、それにしてもここまでやるか≠ニいう徹底ぶりである。また、子どもとの対応が苦手だから≠ニいう学生だっていたりする。年寄りも含めて、人間というものは苦手なことは敬遠したくなるものだ。それを克服しようというのだから、これまたすごいチャレンジ精神を感じさせてくれる。先日も公民館の活動でご指導いただいている社会教育主事の方から興味深いお話をお聞きした。夏に海辺でのイベントを企画して下見に行った。自分たちで砂浜をチェックしていたが、最終的に選んだのは利用する社会教育施設からは遠い方だった。理由はこちらの砂の方が子どもたちにいいから≠ナある。それを聞いて、どっちでもいいじゃないのくらいの気持ちだった自分が学ばせてもらった≠ニいうお話だった。